王国六騎士団戦そのさん!
ちょっとした隙間から入り込んでくる48歳の男性の命を弄ぶ剣を持つ微笑女剣士アトラス。
◇
「右下からの斬り上げ!」
「ふぁっ!?」
「後ろからの突きぃ!!」
「ぅおっ!?」
「正面から振り下ろし!」
「っぶね!!」
「左右からの同時突き!!」
「いなばうあー!!」
「くそ!何故当たらん!?」
全部口に出してるんだから当たり前だろと言ってやりたかったけど今の怒濤の攻撃を全て回避して体力を消費してしまっている為、呼吸を整える方を優先した。
これが言葉とは全然違うフェイント攻撃だったら危なかったかもしれない。馬鹿正直な奴らでよかったぜ。
「み、見え見えなんだよ」
「よぅし、分かった分かったぁ。じゃあやり方変えよっかぁ」
俺が無駄に強がりを見せると同時に騎士様が手を叩いて階段を降りてきた。
「完全命令式戦術、その円」
騎士様の一言で再び俺を取り囲む様に陣形を整える兵士達。それはさっきまでの滅茶苦茶な並びではなく、1人1人が無駄のない位置取りをしている。
これから何が始まるのか。俺はちょっと汗を垂らす。
「突き」
また、一言。兵士達は微塵のズレも見せないタイミングで同時に突きを繰り出して来た。さっきの猛攻の際に左右から突いてきた時も感じたんだけど、この兵士達、絶妙に息が合っている。
剣と槍、それぞれ長さの違う筈の武器でさえも綺麗に円を描いて俺に迫り来る。飛び上がれば回避は容易いだろうけどその後が怖い。この数だし下手すれば狙い撃ち、串刺しだ。
ここは防御一択だな。某RPGの経験値モンスター的なあれで行こう。
「想像具現化!」
全身を鋼よりも硬く、より強度なものへと変質させていく。そうして硬くなった俺に突き刺さった剣や槍が折れ、あるいは砕けた。
完全に某モンスター真似てたら幾らかダメージが入って死んでたかもしれないと思うとゾッとした。
「後退、突き」
それでも指示を止めない騎士様。正気か、と目を向ければなんと指示を出すだけ出して騎士様は再び階段で横になっていた。しかも背を向けて。
「くっ…!余裕ぶっこいてられんのも今のうちだぜ!行け、落雷!」
想像具現化で生み出した落雷は何もない空間より現れ、騎士様目掛けて落とされる。
「んー、なんだこれぇ」
騎士様がそっと翳した剣に落雷が直撃。そのまま感電、もしくは武器破壊までいくかと思っていた俺はその後の光景に驚かされる事になる。
落雷が、刀身に纏わり付いたまま消えなくなった。
「嘘だろ…」
「魔法とは違うみたいだけど、そっかぁ。これが魔法付与ってやつかぁ」
起き上がってまじまじと自分の剣を見ていた騎士様が何やら無邪気に笑んで剣を薙ぎ払う様にして振るう。何がどうなって鳴っているのか、ピィィィンと言う甲高い音が広間に響き渡った。
「試し斬り、付き合ってもらってもいいかなぁ」
「お断りします!」
「……でも、結局侵入者は斬り捨てなきゃいけないんだぁ。だから、ちょっとだけ、ちょっとだけぇ」
「斬りたいだけだろお前!!」
「うん」
「うんじゃねえよ」
「じゃあ行くよぉ」
「ちょっとまっ」
殺る気満々の騎士様の姿が雷となってその場に残留する。想像具現化により視力強化した俺はすぐに騎士様の姿を目で追って見逃さない様に必死になった。
まるで高速飛来する虫の様な動きで雷が広間中を走り回り、その後を視線で追っていた俺はそう言えば兵士達律儀に広間の隅っこで待機しているな、などと気が取られてしまい、とうとう騎士様が視界から逃れる事を許してしまう。
しまった、と思った時には既に騎士様は死角から剣を振るっていた。強制的に魔法付与した挙げ句それを初めてで使いこなすとは恐れ入った。でも、生憎ながら今の俺は硬いからその凄さはただ凄いだけで終わる。
「――満足したか?」
問い掛けるも、騎士様は続けて第2撃を繰り出す。勿論、俺の硬度の前に剣は弾かれる。
3。4。5。6。そうやって繰り返していくうちに騎士様の剣は折れ、砕け、柄を残して役割を失ってしまう。
「もう、やめとべぶぅ!?」
「直撃、シュッシュッ!」
「いた、いだっい!!」
騎士様が柄を放り投げてとうとう拳で殴打と言う暴行に出た。それも俺の硬さすら貫通してくるレベルの。
「こんな筈じゃ…!」
「防御無視の攻撃が得意なんだぁ」
「天然チートだと……!?」
これはまた厄介な相手が出て来たぜ。
前書きに特に意味はないです。
次回、タッグマッチ!?お楽しみに!!




