王国六騎士団戦そのいち!
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◇
「確か、昨日の…」
「王国六騎士団第6部隊隊長、エイリス・ヴォルテだ。まさか再びこの様な形で相見えようとは思わなかったぞ。よもや貴様が侵入者だとはな」
とうとう王国六騎士団まで出て来てしまった。別に争いたくて来たわけではないから下手に手を出す事が出来ない。
不意に俺の意識を揺さぶる殺意を押し殺し、苦し紛れの言い訳をする事にする。
「違う、どう見ても侵入者はあいつだろ!」
囮と言うか、兵士の足止めをしてくれている剣姫ソードウーマンとやらには済まないけど利用させてもらおう。1階で兵士を薙ぎ倒すソードウーマンを指差して俺が侵入者と言う認識を擦り付ける。
本来なら一瞬でバレてしまいそうなこんな嘘も、エイリスには効いた。
「む、そうか。疑ってすまなかったな」
ふわりと降り立ったエイリスが謝罪を残してソードウーマンの下へと向かう。詐欺とか大丈夫なんだろうか。
「……と、とにかく先に急ごう」
バレるのも時間の問題だ。門番の件もあるから一度だけ振り向き、ちゃんとエイリスがソードウーマンのところへ向かっている姿を確認し、そそくさと前方の扉を通過した。
扉を抜けた先にあったのは壁だ。ただし行き止まりと言うじゃなく、左右を見ると道が二手に分かれていた。外見を見てその大きさは理解していたつもりだけど、こんな明らかに無駄な廊下を作る余裕があるくらいこの城は大きいのか。
「くそ、どっちが正しい道だ?」
「どちらも正しいよ」
視線を右へ切る。右方の廊下の突き当たり、その曲がり角から声の主は姿を見せた。萌葱色の短髪美少女だ。
エイリスと同じく白銀の鎧を着ている。
「でも残念ながら、ここは侵入者立ち入り禁止でね。エイリスはまんまとやられたみたいだけど、僕はそうはいかないよ」
ごめん、エイリスまだピンピンしてますわぁ。今は知らないけど。
「お前は……?」
「王国六騎士団第5部隊隊長、リモラ・ヨーギオス。誇り高きデスモールの騎士だ」
「やっぱり騎士様でしたかー!!」
この流れ、もしかすると王国六騎士団全員と戦わなきゃいけないのだろうか。レーカとの戦いを機に戦闘は自重したいところなんだけど。
どうしようか少し考えたところで俺はふと気付く。これって単純にリモラとは逆の左側の廊下から行けばいいんじゃないか、と。
一瞬だけ背後をチラ見。誰も来ていない事を確認すると俺は再びリモラと対峙した。
「……もしかして君って馬鹿なのか?」
「ばばば、馬鹿違うし!?何で急に罵りだした!!」
「いや、馬鹿じゃないか。君、今左側の通路から行けば助かるとか考えてたよね?」
「ぬぁっ、んぬぁわけねえし!?」
図星過ぎてつい震えた声でそう返してしまった。リモラの言う通り馬鹿丸出しだ。
「一瞬確認したね?」
「してない!!してないから!!本当だから!!」
「……ちなみに言っておくけど、そっちの廊下にも侵入者対策はしてあるからね」
「はあ!?何晒してんのお前!?」
「先に考えを晒したのは君じゃないか…」
このやり取りに飽きたのか、それとも既に話す事もないとでも言うのか。リモラは静かに左手を此方に向けて目を細めた。
「さて、そろそろお話も終わりだ。何が目的かは知らないけど君にはここで退いてもらうよ」
「くっ…エイリスって奴みたいにもう誤魔化せやしないか…!」
ここまで来たらもう腹をくくるしかない。もう戦う戦わないを考えている暇さえ与えてもらえないだろう。リモラは本気だ。本気で俺と言う侵入者を排除しようとしている。
リモラから漏れ出す火山での修行以来感じ取れる様になっていた気のような力はレーカさえも上回っている。最早逃げる事は出来ないと判断した俺は覚悟を決め、拳を構えた。
殺意に呑まれるな、正気を保て。俺の意識が染め上げられるより早くリモラを倒せばいいだけなんだから。
「躍れ、僕の巣の中で」
リモラが左手を薙ぐ様に動かすと少し遅れて俺の頬に痛みが走った。何も見えなかった故に、呆然とするしか出来ない。
「なっ……」
「驚いたかい?無理もない。君は得体の知れない攻撃によって傷付けられたんだからね」
「何したって聞いても、教えてくれないだろうな」
「当たり前だよ。敵に手の内を晒すのは馬鹿がする事さ」
そう言って今度は両腕を機敏に動作させるリモラ。また、遅れて俺の身体が傷付いた。それも全身の規模でだ。
顔の傷は見えなかったけど、今度の傷は確認する事が出来た。まるで糸で切ったかの様な切り傷が俺の身体の至る場所に作られている。
どんな傷が出来るのかは分かった。それでもやっぱり何をされているのかさっぱり分からない。俺はもどかしさを感じつつ、このままされるがままでは負けてしまうと思って足を1歩前へ踏み出す。
「あ、言い忘れてたけど…動くと危ないから気を付けてね?」
「ぬっ…ぐ、ぁああああああああああっ!!」
気付いた時には遅かった。あっと言う間に身体に纏わり付く何かに締め上げられ、身動きを完全に封じられてしまう。傷が増えて増えて増えて、血が滲んでようやくその正体を理解した。
「――魔力の、糸か…?」
「よく分かったね?そうだよ、これは僕の得意とする魔法であり、武器でもある魔力の糸、魔線」
リモラが意外と言った表情をして軽く拍手する。もう終わったものだと気を抜いているのが丸分かりだ。
唇が触れ合うんじゃないかと思う程の距離まで歩み寄って来たリモラが人差し指を立てて俺の唇に押し当てる。素肌じゃないのが惜しまれるところだ。
「この事は地獄に言っても、内緒だよ?」
初めて見せる女の子らしい小悪魔的な笑みに鼓動が激しく波打つ。くそ、改めて見ると可愛いなこいつ。
至近距離になった事でハッキリと認識出来るリモラの容姿は、敵ながら天晴れなものだった。
「た、たまらん!」
美少女最高!リモラたんマジ萌え!
度重なる戦いでしばらくお休みしていた本来の職業である学生としての俺が戻ってきた。よくよく考えればこんなの想像具現化で余裕で覆せるよね。
「悪いが形勢逆転させてもらうぜ!想像具現化!」
「そんな、僕の魔線が消えて…!?」
「ふ、全ては油断させる為の演技だったのさ!」
異世界巻き込まれモノの主人公のチートってやつを見せてやるぜ。魔線が俺の想像具現化によって使用不可になって驚いているリモラに対し、俺は髪を掻き上げて清々しいまでの決め顔を披露してあげた。
次回、急展開!?瞬パで城落とすはwww、お楽しみに!!




