ギルド、再び
リベンジ編はささっと終わらせてしまいたいですね。
◇
一応説明しておくと、俺は最初に行った城下町、グレイセルと言うらしいが、そこで情報収集をした後に空を高速移動してここまで来た。途中に何があったとかもう色々あり過ぎて忘れてしまったけど、既に2日は経ってるのは間違いない。
だってここまで来るのに陽が2回沈んだのを見ているからな!
つまり言わせてもらうと、2日分のここまでの経路を覚えていない俺はマーガレス火山から出て早々迷ったわけだ。
しかも麓には長々と続く岩道。此処を歩くとなれば足首に負担待ったなしだ。
「飛ぶか?デタラメに」
『ごめんなさい、山から出るのは久し振りですので私も役に立てそうにないです……』
申し訳なさそうに火の鳥が謝罪してくる。何だか謝られるとこっちまで申し訳なくなってくる。何でマッピングとかしなかったんだ俺。いや、そんな余裕無かったのは俺自身の事だから理解してるんだけど。
検索すれば出てくるかな?って思ったところでふと1つの名案が浮かび上がった。
「もしかしたら、何とかなるかもしれない」
まだ実感しきれていないのか、すぐに自分が持つ力の事を忘れてしまう。俺には想像具現化って言うチート能力があるじゃないか。
この力を持ってすれば転移なんて朝飯前の筈だ。
「想像具現化!」
何時如何なる状況でも全ての干渉を拒絶して、名前もしくはどんな場所かを指定すれば転移出来る。そんな転移を想像してみる。十分チートな仕上がり具合だ。後は自分に能力付与するのみ。
「命名、ドロン!」
煙の様に消える。まるで忍者にでもなった気分だ。指定した転移先は当然ながら、グレイセル。ギルド
ニャンニャンが存在する城下町だ。
星実ごと転移した俺の目の前に広がったのは見覚えのあるグレイセルの関所だった。その関所には誰もおらず、外から襲撃でも来れば簡単に侵入出来てしまう。
聳え立つ城壁と言い、防衛意識高いのか低いのか分からない国だ。
『凄い能力ですね。それがあるなら不老不死なんて目と鼻の先では?』
「そうなんだけど……別に俺はそれを求めてないからな!」
『そうなんですか?てっきり私を探してたのもそれが理由かと思ってました』
「修行の為にぶっ殺そうと思ってただよ」
『たったそれだけの為に私の住処を半壊させたんですか!?』
「さーて、中に入るか!」
『ちょ、ちょっと誤魔化さないで下さい!?』
火の鳥の声を完全に無視して関所を通る。この声は俺にしか聞こえていないのか、擦れ違う人達は一切見向きもしない。
1歩1歩ギルドに近付く度に鼓動が高まっていく。そしてギルドの前に到着した頃には既に俺の中は殺意で満ち溢れ、狂喜までもが芽生え始めていた。少しの期間が空いただけなのに、やけに久しく感じる。
「――待たせたな」
狂喜に満ちた満面の笑みで、俺はギルド、ニャンニャンへと足を踏み入れた。
とうとう戻ってきました。ギルド、ニャンニャン!成長し過ぎた神斗とレーカの戦いをとくとご覧あれ!