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三日目・朝

1彰→16文香

2賢治→15真澄

3圭一→15真澄

4真司→16文香

5留美子→15真澄

6倫子→15真澄

7雅江→11亜希子

8博正→16文香

9芽衣→11亜希子

10昭弘→15真澄

11亜希子→15真澄

14要→16文香

15真澄→11亜希子

16文香→11亜希子

17真紀→15真澄

18啓太→16文香

19雄二→15真澄


要は、この投票先をずっと見ていた。前日の投票を合わせて、何か違和感を感じるんだがなぜだろう。

そう思いながらも、何がおかしいのか分からなかった。

こうして見ると、もう共有も狩人の位置も、なんとなく透けて来ているのが分かる。こちらが指定するので、そこに入っていない上に人狼でもないとしたら、きっと数は限られているのだ。

人狼から見て、恐らくまるわかりだろうが、それでも噛んで来ないのは、恐らく狩人に人狼が出ているからではないか。

要は、そろそろ狩人のことにも言及して行かなければいけないな、と思いながら、鍵が開錠されるのを待っていた。

カチリ、と鍵が回る音がした。

その瞬間、待ってましたとばかりに要は廊下へ飛び出した。すると、みんながみんな同じように廊下へと出て来ていて、寝起きのぼさぼさ頭のままで出て来ている者もいた。

彰が、いつものように完璧な姿で出て来て、言った。

「さあ、点呼取るぞ!番号、1!」

賢治が手を上げた。

「2!」

へなへなと圭一が言った。

「3!」

「4。」

真司の声。順番に皆が番号を読み上げていると、ふと、止まった。

「…6は?」

皆が、回りを見回す。圭一が、顔を曇らせた。

「…雅江だ。」

そう言った圭一は、ドアノブに手を掛けて、それを回した。

そこには、雅江が眠っていた。シーツにくるまり、背を丸めている後ろ姿が見える。まだ寝ているのかと、皆が遠慮して入口から覗き込む形になっていると、圭一が入って行って、声を掛けた。

「雅江。起きろ、みんな出て来ているぞ。」

反応はない。

圭一は、イライラしながらその肩を掴んだ。

「おい…、」

冷たい。

圭一は、驚いてその手を放した。後ろから、博正が覗き込んでいる。

「なんだ?病気か?」

圭一は、その声に弾かれたように振り返ってから、また雅江を見た。そして、意を決したように雅江の首辺りを探ると、じっと脈を探った。そして、その手を放すと、言った。

「…死んでいる。外傷は見当たらない。」

何人かの女子が、口を押えた。吐き気を堪えるような感じだ。彰が、後ろから険しい表情で言った。

「呪殺か。オレが昨日、占ったからだろう。」

要が頷こうとすると、亜希子が言った。

「でも、こうして見ると雅江さん以外はここに居るわ。人狼の襲撃と占い先が被ったんじゃなくて?」

彰は、亜希子を見た。

「昨日要と話してたんだが、これを噛み合わせという。呪殺が確定して真占い師が村人に見えないために、狼がそこを噛むんだ。恐らく、この前の夜に狼が噛んだのは雅江さん。それで、護衛が入ってないのに噛めなかったから、狐だと知った。オレが占うってことは、昨日公開されている。オレの真占い師が確定するのが、人狼は嫌だったんだろう。村人を噛むより、オレを確定させないことを選んだんだ、狼は。」

倫子が、じっと考え込むように言った。

「でも…そうとは言い切れないわね。これでは、呪殺だと確定出来ないわ。狂信者と人狼は繋がっているから、お互いに話し合って動いているだろうし、そういう風に言えばいいからと言われているのかもしれないし。」

彰は、ちらと不機嫌に倫子を見た。

「君は、オレが狂信者だと?」

倫子は、肩をすくめた。

「分からないわよ。あなたほど頭が切れたら、どうにでも持って行けるでしょう。人狼が未熟でも、あなたの指示に従っていたらきっと村人を丸め込める。まだ黒だって引いてないし、霊能者と繋がってもないもの。雅江さんが真占い師で、殺されたのかもしれないわ。そうなって来ると、あなたの白も疑わしくなって来るわ。」

博正が、割り込んだ。

「もう、いい。とにかく、雅江さんが死んだのは確かだ。みんな昨日の夜の結果を持って、着替えてすぐに食堂へ。もうこうなって来ると悠長にもしてられないぞ。数が減って来た…狐が消えたのかどうか人狼と狐にしか分からない。しっかり考えないと、村の勝ち筋がなくなるぞ。さあ、ここは出るんだ。ほら、食堂へ!」

みんな、博正に押されてその部屋から出た。圭一は、まだじっと動かなくなった雅江を見ている。見た限りでは、苦しんだ様子も全くなく、ただ眠っているだけのようだった。本人は、何が起こったのかきっと分かっていないだろう。

博正は、そっと圭一を置いてそこを出た。これを乗り越えて行かなきゃならない。これが、リアルの人狼の、推理だけではなく直に感情に訴えて来る怖さなのだ。


みんなが揃ったのは、20分後だった。

言われた通り、さっと着替えて皆、大慌てで部屋を出て来たらしい。博正に至っては、寝間着のジャージのままでそこに座っている状態だった。

要は、息をついて背筋を伸ばした。

「雅江さんが死体で見つかりました。では占い結果をお願いします。彰さんから。」

彰は、厳しい顔で言った。

「さっきも言った通り、雅江さんを占って白だった。」

要はメモりながら、頷いた。

「圭一さん、お願いします。」

圭一は、硬い表情だ。雅江が死んだのを見たばかりなのだから、当然だろう。皆が同情する中、圭一は言った。

「文香さんを占って、黒、人狼だった。」

口元が、微かに震えている。文香が、驚いたように口を押えた。近くに寄り添っていた、亜希子が慌てて文香から離れた。

「え…あなた、狼なの?!」

しかし、要が眉を寄せた。

「相互占いをしたいと言ったのはあなたじゃなかったですか、圭一さん。どうして、文香さんを占ったんです?」と、ぺらと昨日の投票を確認するようにノートをめくった。「あなたは昨日、真澄さんに投票してますし、文香さんを疑っては無かったですよね。」

圭一は、表情を固めたまま言った。

「…彰は、疑いようがないじゃないか。昨日話していて、そう思ったんだ。オレに占われるというのに、構える様子もなかった。だからオレは、無駄占いではなく、黒を探そうと思った。同じ占い師同士、彰は狐を呪殺してくれるだろうと。それなら、オレは黒を出さなければと。だから共有も彰も投票していた16…文香さんを占ったんだ。」

彰は、息をついた。

「まあ結果的に黒を見つけたのだから良かったと言えるが、オレの白も証明して欲しかったんだがな。狐でもないとね。」

要は、せっせとノートへと書き込んで顔を上げた。

「議論は後で。霊能者の結果は一斉でお願いします。せーのっ」

「「白。」」

芽衣と賢治が同時に言った。要は、グッと眉根を寄せて頷いた。

「わかりました。狩人の護衛先は、今朝聞いてます。狩人1は圭一さん、狩人2はオレです。」

亜希子が、手を上げた。

「あの、昭弘さんが狩人だと昨日真澄が公言してしまって、そのせいで吊られたみたいな感じでしたけど、狼はなぜ狩人を噛まなかったんですか?やっぱり怪しくないですか?」

要は、首を振った。

「昨日は人狼にとって特殊な日だったと思う。オレは彰さん真を追ってるので、雅江さんで呪殺が起こって真占い師が確定するのを嫌って噛み合わせて来たんだと思っている。狩人どころじゃなかったんだろう。なので、狩人のことは明日以降で見極めて行きたいと思っているし、今日は黒が出ているのでまずは文香さんを吊る。それが、セオリーなんでね。いくら人狼でも、二人一度に噛めない。霊能者は噛まれたとしても一人残るから、今なら圭一さんの真も確定出来るかもしれないから。」

真紀は、首を傾げた。

「でも…あ、そうか。狂人じゃなくて狂信者だから、人狼が誰か知ってるのよね。黒誤爆は無いか。」

要は、頷いた。

「そう。狂信者だったら黒を打つメリットは無いからね。もっと進んでからなら縄を消費させるために、自分を吊らせようとそんなことするかもしれないけど、今はまだ早いだろう。だから、吊って明日色を見て、それで圭一さんの真贋が分かる。だから、今日は文香さん吊りだ。」

文香は、見るからにガックリとしていた。まさか、占われるとは思わなかったのだろう。確かに、指定とは別の方から来たので、噛む暇も無かった。きっと、文香が人狼だ。

要は、またため息を付いた。

「そんなわけで、今日はこれで終わりだな。占い先は、占い師に任せる。でも、今日の終わりにはそっとオレに知らせて欲しい。もう一匹狐が居るから、呪殺が起こったらそれを知らせることが出来るから。ちなみに、オレの相方にもそれは知らせておくので、オレが死んだらそっちから聞いて欲しい。以上だ。じゃあ、今日は話し合うこともないので、5時50分のカウントダウンの前に、応接室で。」

みんな、ぞろぞろと席を立ってキッチンの方へと歩いて行く。何も食べていない…何だか、疲れて。

要が、ぼーっとそんなことを思ってソファに座っていると、真司がパンとペットボトルの紅茶を持って来てくれた。

「ほら、要。お前が脱力しててどうするんだよ。まだ先は長いぞ?人狼、これで二匹目だ。狐は彰を信じるなら一匹。オレ目線でもラストウルフは見えてるが、グレーの狼は誰だと思う?」

要は、パンの袋を破りながら言った。

「…初日の投票先が分からないんだ。」

真司は、両方の眉を上げた。

「誰の?」

要は、パンにかぶりつきながら小声で言った。

「オレは倫子が怪しいと思う。でも、倫子は初日、裕則に投票してるんだ。狼だとしたら、かなり重い一票だよ。投票を洗ってみたら、明らかに怪しい投票を重ねてるのは留美子さんと亜希子さん…だけど、狩人はどっちも同じ動きをしているんだよなあ。」

彰が、コーヒーを手にして来て、要の前に座った。

「…要。」

彰は、そう言うと要のノートの、投票先を指した。そして、ページをめくって前の日の物にも、同じ人の所を指した。

「…え?疑ってるんですか?」

要が驚いたように顔を上げると、彰は、苦笑した。

「知っていたが考えに入れずに居た。だが、今日、思った…私は噛まれない。護衛は、他に回せ。」

彰は、そういうとまた立ち上がって、部屋を出て行った。要と真司は、顔を見合わせた…彰が指したのは、圭一の投票先だった。

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