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二日目・夜

1→16

2→15

3→15

4→16

5→15

6→15

7→11

8→16

9→11

10→15

11→15

14→16

15→11

16→11

17→15

18→16

19→15


投票結果が現れる。

そして、大きく「15」と表示されていた。

「№15が追放されます。」

「嘘!」

真澄が叫んだ。途端に、パッと照明が落ちる。そして、ガシャンという金属音がした。

「いや、違う!私は…きゃああああああ!!」

また、声が遠くなって行くのが聴こえる。要は、ぎゅっと目を閉じた。真澄は、要の隣の席になるのだ。否応なく、遠くなって行く悲鳴と、金属の音、そしてモーター音と振動が、まともに要に伝わって来る。

パッと照明が着き、声が言った。

「№15は、追放されました。それでは、夜時間に備えてください。また、明日こちらでお会いしましょう。」

昨日と、全く同じ。

要は、息苦しさを感じて、大きく深呼吸した。自分の両脇が空いてしまった。真澄の席は、椅子ごと跡形もなくなっていた。

投票結果を書かないと。

まだ、モニターに映ったままの番号を、要は震える手で書こうとした。すると、いつの間にか側に来ていた博正が、首を振った。

「オレが書く。お前、ちょっと休め。」

要は、疲れてないと言いたくなったが、それでも手が震えている。素直に頷くと、博正にペンを渡した。

皆、重苦しい空気の中、一人、また一人と立ち上がって応接室を出て行くのが見える。

要は、手で顔を覆った。どうか黒でありますように。だが、真澄は白かった。恐らく真澄は、人狼ではない。投票ばかりは、自分が一人では決められない…。

彰の手が、要の肩に乗った。

「仕方がない。私も彼女では無かったと思うぞ。でも、こればっかりはどうしようもないからな。多数決だ。ま、明日の霊能結果次第だ。もしかしたら、思い違いかもしれないし。」

要は、頷いた。彰が、本当に真占い師のような気がする。いや、そうあって欲しいという願望なのだ。要は、彰を見上げて、懸念していることを言った。

「彰さん、明日のことだけど、狼が噛み合わせ…」

彰は、笑って言った。

「ああ、分かってる。だがな、それをすると今の狼にはキツイはずだ。考えてもみろ、何人露出している。占っていないが、一人が吊られ、一人…いや、二人見えてる。最後の一人が探し出されるのは時間の問題だ。その上、まだ狐も残っている。吊縄を減らしたいはずだ。だったら、噛み合わせなどしている場合ではない。それでもして来るなら、こちらにとってはラッキーだ。無駄死にする村人が出ない。」

圭一が、出て行こうとしていたが、振り返って言った。

「嚙み合わせ?」

彰は、圭一を見て頷いた。

「呪殺だと断定されて真占い師が確定しないために、狼が占い指定された狐を噛む行為のことだ。それをすると、表向き死体が1つしか出ないから、それが襲撃で死んだのか呪殺されたのか判断が着かない。私は別に噛み合わせられたって構わない。もう一人の狐を、呪殺するだけだ。」

彰は、自信満々に言った。圭一は、そんな彰を眩しそうに見て、苦笑して首を振った。

「君は前向きだな。どこまでも自信に満ち溢れていて。オレとは、えらい違いだ。」

彰は、フッと笑って圭一の肩に手を置いた。

「それが私の生き方だ。このために捨てた物の方が多い。君はその生き方を選んでるんだから、誰かを羨むのはやめたらどうだ。羨むぐらいなら、別の方向へチェンジしたらいいじゃないか。簡単なことだ。」

圭一は、彰に押されてドアを出ながら言った。

「簡単じゃないぞ。君は本当に…結婚は?」

彰は、廊下へと出て食堂へ向かいながら言った。

「していない。誰も私を理解出来ないからな。そんなことより、一緒に食事はどうだ?そう言えばここに来てからゆっくり君と過ごしたことが無かったな。」

圭一の声が向こうから聞こえて来る。

「や、別にオレは君と仲良くしようとは思ってない!こら、占ってからにしろ、お互いに信じられないだろうが!」

要と博正、真司はそれを遠く聞きながら、ため息をついた。みんな信用出来ないなんて。少しは、誰かと仲良く交流して、息抜きだって出来たらいいのに…。

要がそう思っていると、博正がノートをポンと要に放って寄越した。

「ほら、書いた。オレ達も飯食って来よう。」と、真司を見た。「お前は雅江さんの白だからな~。信用出来ないって言ったらどうする?」

真司は、からかわれているのを感じ取って眉を寄せた。

「こら。別に占ってもらってもいいが、オレは村人だよ。何の力もないね。」

「みんなそう言うからなあ。」と言ってから、苦笑した。「みんなには疑えって言ってるのに、お前は疑えないな。というか、黒要素が全くないから疑いようもないんだが。」

要が、立ち上がって歩き出した。

「そんなことは後で。今は友達同士でいいんじゃないかな。ご飯食べて、元気にならなきゃ!」

博正は、要の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「お前、可愛いんだよなあ。」と、小さな声で囁くように続けた。「美沙が助けてあげてと言うはずだよ。」

要は、後の数言が聴こえなくて、え?と耳を寄せた。

「何?」

博正は、首を振った。

「別にぃ~。子供だなってさ。」

要は、頬を膨らませた。

「もう、うるさいな!どうせ子供だよ!」

そうして、いつの間にか誰も居なくなっていた応接室を出て、三人は食事をするために食堂へと上がって行ったのだった。


食堂では、圭一がずっと彰に絡まれていて、雅江は、こちらで倫子と真紀、それに芽衣と留美子と一緒に食事をしていた。文香はまだ青い顔をしていて、亜希子に庇われながら一緒に食事をしている。それでも、あまり食は進んでいなかった。

賢治は、啓太と田畑、昭弘と共に静かに食事をしていた。こちらは打ち解け合っているというよりも、残り物が一緒にテーブルについただけのような感じだった。啓太も、最初あれだけ仲が良かった昭弘と距離を置いているようだ。皆、誰も信じられなくなっているのは、それを見て分かった。

要は、そっと真紀を見た。真紀は、まだ共有COしていないが、恐らく勘の良い人ならば透けて来ているだろう。彰は特別だが、恐らく真紀のことを気取っている。人狼側にそんな機転の利く人が居たならば、もう目星はついて来ているはずだった。

そろそろ、COして守ってもらうようにした方がいいのだろうか。

要は、そう考えた。だが、占い師も霊能者もまだ残したい。狩人の護衛先が広くなり、人狼もチャレンジして来るだろう。そうなった時、守れているとは思えなかった。

要が考え込んでいると、博正が要の眉間を指で突いて言った。

「こら要。お前ここに皺出し過ぎ。その歳で老けるぞ。」

要は、恨めし気に博正を見た。

「博正さんは共有者のしんどさ知らないからさ。何でもかんでもこっちへ振られて、責任感じるんだよ。みんなの命を背負ってるような気がしてさ。村人は、一人も殺したくないし…。」

真司が、苦笑して言った。

「それは無理だ。最初20人から始まったんだぞ?二人が死んで、18人でゲームは始まったがそれで役欠けが出来た。そっからその人数を見極めて行くのに、人外だけを吊ろうってのが無理な話なんだ。村が勝ったらみんな戻って来るんだろう。勝てばいいんだよ、結局は。少しぐらいの犠牲は気にするな。」

博正が、頷いた。

「そうだぞ。もしオレや真司が死んだとしても、お前はオレ達のために戦ってくれ。大丈夫、勝ちさえしたらって信じてるからな。お前なら、肝心なところは間違えないよ。」

要は、顔を赤くした。

「そんな、適当なこと言われてもさあ…。」

言いながらも、要はくすぐったい気持ちだった。みんな、殺したくない。でも死んでしまったら、それを取り返すために勝てばいいんだ。姉ちゃんだって、きっと待ってるから。

要は、そう気持ちを切り替えて、またノートへと視線を落としたのだった。

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