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二日目・夕方

1彰→13裕則

2賢治→16文香

3圭一→16文香

4真司→13裕則

5留美子→15真澄

6倫子→13裕則

7雅江→13裕則

8博正→13裕則

9芽衣→5留美子

10昭弘→15真澄

11亜希子→5留美子

13裕則→5留美子

14要→13裕則

15真澄→5留美子

16文香→5留美子

17真紀→13裕則

18啓太→15真澄

19田畑→5留美子


一日目の投票先だ。

おそらく、この日人狼は人狼に入れていない。入っていたとしても、恐らくは一票ぐらいだろう。

だとしたら、この中で裕則に入れていない者達をピックアップして行って考えたらいい。

要は、そう考えて書き出して行った。そうして、その中のグレーを調べた。

その準備をするにあたって、真紀に相談したのだが、真紀は困ったように笑って、任せる、とだけ言った。要が、どうにかして自分を守ろうとしているのを感じたからだろう。

5時になって、みんながぞろぞろと応接室へと入って来るのを見ながら、要は自分のノートを握りしめて言った。

「今日の話し合いなんだけど、さっそくだが吊対象のことで提案があります。」要は、早口に言った。「裕則さんは人狼だった。そこから考えて、昨日裕則さんに投票しなかった10人の中から、グレーの人を上げます。留美子さん、亜希子さん、真澄さん、文香さん。その中で、留美子さんは裕則さんから投票されているので除外しますので、亜希子さん、文香さん、真澄さんの三人の中から決めたいと思っていますが、どうでしょうか。」

一番気弱そうな、文香が一気に真っ青になった。亜希子が、言った。

「そんな…まだ私達の他にもグレーが居るのに、どうしてこの三人なの?!私達は、ただ裕則さんが同じスタッフだったから、信じていただけよ!」

真澄も、ガクガクと震えながら言った。

「そうよ…昨日だって対象に挙げられて、気が気でなかったのに。どうして私達ばっかり、こんなことに。占い師が黒を探せないのが問題なんでしょう?!占い師は、もしかして役欠けしてて一人しか本物が居ないんじゃないの?それで、二人が人狼に白を出してるのよ!」

要は、冷静に二人を見た。

「その可能性も考えて、今日は一日捨てて占い師の相互占いをする予定です。初日、知らずに彰さんが圭一さんを占って白を出しているので、今日は彰さんが雅江さん、雅江さんが圭一さん、圭一さんが彰さんをそれぞれ占うことにしています。これで黒か、呪殺が出るかもしれない。でも、狂信者だったら意味はないんで、賭けなんですが。」

「私はそれでいいと思うわ。」留美子が、腕組をして真澄と文香、亜希子を見ている。「それでなくてもこの子達は、私に黒い要素なんか何もないのに仕事仲間を助けたいばっかりに私に投票してたのよ。村人だとしても、そんな冷静に考えることも出来ない子達なんか、ノイズでしかないわ。」

亜希子が、キッと留美子を睨んだ。

「あの時は、人狼だなんて思わなかったから!今はちゃんと考えてるわ!」

留美子は、亜希子をにらみつけて言った。

「そう。だったらあなたの仲間の文香って子も真澄って子も、人狼の可能性はあるのよね。それも考えてるんでしょうね?あなた、この二人のうちどちらかに投票するつもりなんかないんでしょう。でも、自分が吊られないためには、そうするしかない。ここに私が入っていたら、また迷いなく私に入れたはずよ。それが無いから困ってるんじゃないの?違う?」

亜希子は、グッと黙った。要は、息をついた。

「申し訳ありませんが、オレはこの中に、人狼が一匹は居ると思っています。だから、それを吊りたいんです。なのでこの一時間は、三人でご自分の白要素をアピールしてください。」

要は、じっと黙って聞く体勢に入った。それを見た亜希子と真澄は顔を見合わせる。文香は、あまりの恐怖に震えるばかりで声も出ず回りを見る余裕もないようだ。

みんなが三人を見て、この三人の中から吊る事は撤回出来そうに無かったので、亜希子が覚悟をしたように口を引き結ぶと、背筋を伸ばして言った。

「私は村人よ。みんなに情報をもらって、考えるよりなかったわ。だから白要素と言われても出せないから、昨日の夜から考えた事を話すわ。それが村目線なのか人外目線なのか、判断してくれたらいい。」と、要を真っ直ぐに見た。「あなたは信じられるわ。共有だもの。でも、占い師はハッキリ言って誰も信じてない。彰さんはあまりに決めつけて来る気がするし、圭一さんは静か過ぎる。雅江さんは出方が不自然過ぎるし何も話さないから一番疑ってる。だから彰さんが狂信者で雅江さんが狐か狼、圭一さんが真かもしれないなってなんとなく思ってる。ただ、圭一さんだってただ怖がってる狂信者かもとも思うけど。そんなわけで占い師は誰一人として信用出来ないでいる。でも、昨日狩人の護衛が成功してるとしたら、彰さんが噛まれそうになったのかなって思ったりもしてる。そうだとしたら、彰さんの占い指定に入ってた二人…ええっと、誰だっけ?」

要が、ノートを見て言った。

「昨日彰さんに指定したのは芽衣さんと倫子だよ。」

亜希子は、頷いた。

「その二人とか怪しいのかなって思ったりもする。」

要は、首を傾げた。

「芽衣さんは霊能でしかも白だったし、倫子は占われてないからグレーだけど、初日に裕則さんに入れてるからね。人狼だとすると、かなり危ない一票で、実際人狼が人狼を殺したことになる。だから、無いと見るのが普通なんだ。まあ、自分のために仲間に投票して、結果的に集まってしまってその票が致命的になったってことも無いとは言えないけど。」

亜希子は、肩をすくめた。

「じゃあ、私には分からないわ。私の考えは以上よ。」

要は、亜希子に言った。

「これは他の二人にも聞きたいと思ってるんだけど、じゃあ亜希子さんから見て人狼って誰だと思う?今怪しいなって思う人でいいから。」

亜希子は、うーんとみんなを見回した。そして、顔をしかめながら、言った。

「分からないなあ。話してない人が多いし…村人だろうなって思う人なら、裕則さんが人狼でめっちゃショックを受けてた田畑さん、怯えまくってる文香、芽衣ちゃん…は霊能者だっけ。それぐらいかなあ。この村、寡黙な人が多いから。」

要は、頷いた。

「ありがとう。じゃあ次は、隣りの文香さん。」

文香は、びくっと体を揺らした。もう涙目になっていて、どうしたらいいのか分からないらしい。要は、優しい口調で言った。

「文香さんは、誰が怪しいと思ってますか?」

文香は、しばらく下を向いていたが、要がじっと待っているので回りのみんなも自分を見て待っているのを感じて、仕方なく顔を上げた。

「あの…分からないんです。今朝、裕則さんが人狼だって知った時で頭が真っ白になって。話すのはスタッフ仲間だけだし、他の人はあまり話さないから、分からなくて…。」

すると、少しイライラしたような感じで、彰が言った。

「分からない?村人なら人任せにしないで人狼は誰かと必死に見るだろう。襲撃されるかもしれないのに。恐怖という感情は、感覚を鋭敏にする。だから、常より見えているはずだ。君が怖いと思っているのは、人狼なのか、人狼だとバレて吊られることなのか、どっちなんだ?」

文香は、その強い口調にびっくりして一気に涙をぼろぼろとこぼした。博正が、あーっと面倒そうな顔をして言った。

「彰さん、言い過ぎだよ。泣いたら話にならないじゃないか。結果的に話が聞けなかったからこの子吊ろうってなるんだからさー。ちょっと考えて喋ってくれなきゃ。」

それを聞いた真澄が、横から慌てたように言った。

「なに、話が聞けなかったから吊るって。そんな理不尽な話あるの?」

すると、意外にもそれには要が頷いた。

「あるよ。村人目線で語れない狼は、うっかりぼろを出したら駄目だから黙る傾向があるんだ。それを逆手にとって喋って前に出る人狼も居るけどね。寡黙はだから、吊り対象になるから、村人なら積極的に喋った方がいいんだ。どっちにしても、怯えたり泣いたりしている人は、残っていても村の力にならないって理由で、吊られることも多いし。だから、積極的に喋った亜希子さんより、今の時点で文香さんの方が票を集める可能性があるよ。少なくても、少し人狼に詳しい人ならそうするかな。」

真澄は、急いで言った。

「あの、じゃあ私がしゃべるわ。その間に、文香は気持ちを落ち着かせて人狼は誰なのか考えて。」と、要を見た。「いい?」

要は、頷いた。

「どうぞ、真澄さん。」

真澄は、頷いて皆の視線を受け止めた。そして、言った。

「考えてみたら何も怖がることはないのよね。私は、村人なんだもの。あの、昨日から思っていたことを話すわ。昨日、昭弘さんが変な行動したのに、残すことになったでしょう。あれ、おかしいと思うの。だって、真っ先に吊り対象になっててもおかしくないのに、あっさり回避って、いったいどんな技を使ったのかってすごく考えたわ。それで、思ったんだけど昭弘さんって狩人なの?」

要は、顔をしかめた。博正も、ムッとしたように黙り込む。彰は、呆れたようにため息をついた。そんな空気に真澄は不安そうな顔をした…何か分からないが、いけないことを言ったのだろうか。

真司が、そんな空気を見かねて言った。

「それは、あのタイミングなんだし、ちょっと人狼を齧ったことがある人ならみんな分かっていたと思うよ。それでも、もしかして分かってないかもしれない狼に知られないために、黙っていたんだ。狩人のことは、言うべきじゃない。これは、大原則だ。」

要は、大きく肩で息をついた。

「言ってしまったものは仕方がない。だがもう一人は伏せておく。狩人を失ったら村にとって大損失だから、君はとても困ったことをしたんだ。でも、それももしかして判断材料になるかもしれない。」と、小さくなっている真澄を見た。「それで、怪しいと思っているのは?」

真澄は、おずおずと小さな声で言った。

「分からないけど、留美子さんがやたらと突っかかって来るから今日は怪しいと思った。倫子さんもずっと黙ってるから何を考えてるのか分からないなって思う。亜希子と文香は村人だって思うし、いっつも芽衣ちゃんをやさしくフォローしてる真紀さんも村だろうなって思った。」

要は、頷いた。

「ありがとうございます。じゃ、文香さん?もう、大丈夫かな?」と、チラと備え付けの時計を見上げた。「…もう時間が迫って来てるから、早めにお願いします。」

真澄が、文香を気遣わしげに見た。文香は、涙を拭って言った。

「裕則さんが人狼だなんて思いませんでした。昨日は吊りの瞬間に真っ暗になって、裕則さんの悲鳴が聞こえたのを忘れられなくて…夜、ずっとその声が耳から離れなくて。それから、思っていたことですけど、彰さんと圭一さんは、とても村のことを真剣に考えてる風なのに、同じ占い師で出ている雅江さんが怪しいなと思いました。黙っているし、雅江さんの占い先は信じられないかなと思います。白って言われてる中に、人狼が居るのかも。」

要は、文香を見た。

「つまり、占い師の中では雅江さんを疑ってるってこと?」

文香は、頷いた。

「はい。他は…わかりません。」

要は、頷いた。

「わかりました。ありがとうございました。」と、要はまた時計を見上げた。「そろそろ10分前のアナウンスが始まります。皆さんは、今の弁明を聞いて、おかしいと思った人に投票してください。」

そういうとすぐに、パッとモニターが着いた。

「投票、10分前です。席について、投票の準備をしてください。」

また、10:00からカウントダウンが始まる。と同時に、昨日と同じように窓の外のシャッターが閉じ始めた。

「これ、明らかにこの中を真っ暗にするためだよな。照明が落ちた時はモニターまで真っ黒だからほんとにないも見えないもんよー。」

博正が、ブーブーと文句を言う。彰が、言った。

「そりゃあ暗くないと見えてたらみんなにそれだけ衝撃が加わるからじゃないか。それでなくても結構追い詰められてるのに、そこまではな。」

真司が、ふんと鼻で笑った。

「初日に二人目の前で死んだのに?今更だ。」

カウントダウンが進んで行く。じっと固まって待つ一同の耳に、あの女声が歌うように言った。

「投票してください。」

みんな、一斉に腕輪に向き合った。

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