ソコからキミがキエタなら。
「もしも…さ、私が消えたら、どうなるの?」
ユキが私に問いかけた。真っ白な病室という小さな世界の中で。
「もしも、シュンが消えたら、この世界はどうなるの?」
ユキは白いベッドの上からシュンに問いかけた。
「もしも、ユキが消えたり、シュンが消えたりしたら…」
たぶん私は泣くよ、と私は呟いた。ユキは何も言わず、顔を背けた。
ユキは病気だ。余命1年。
彼女の肩は、震えていた。
病院からの帰り道。私とシュンは寒さに震えながら歩いていた。私も彼も何も言わず、ただ、黙々と。足の下で雪がサクッ、サクッと音をたてる。
「もし、シュンが死んだら…?」
私は誰に言うでもなく、口に出していた。シュンは立ち止まった。
「泣くんじゃない?ハルカなら。」
「泣くかな、私。」
たぶん、と彼は聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。
「もしも、私が死んだら…?」
シュンは何も言わず、また黙々と歩き出した。
次の日は久々に晴れていた。
昨日の雪はすっかり消え、ただ寒いだけの日だった。
私はユキのためのクリスマスプレゼントを買いにデパートに向かう。今年はきれいな色のマフラーをあげよう。何色がいいかな、そんなことを考えていた…はずだ。
「危ない!」
そんな声が聞こえた。
私を大きな衝撃が襲う。誰かの甲高い悲鳴が聞こえた気がした。
気づくと私は固い道路の上に倒れていた。生暖かい液体が指先に触れる。体が痛い。
「もしも、私が死んだら…」
暗闇に落ちた。
私は宙に浮いていた。真っ白な病室。
(あぁ、死んだのか。)
唐突に思った。ベッドの回りにたくさんの人がいた。お母さんとお父さんの姿があった。泣いているようだ。ユキとシュンがいる。二人は静かに座っている。
私は窓から病室を出た。
外にはいつもと変わらない日常があった。
Q,私が消えたら?
A,両親・・・泣く。ただひたすらに。
友達・・・呆然としてる。悲しんでるかはわか らない。
世界・・・何も変わらない。日常的。普通。
Q,アナタが死んだら…?
Q,ソコからキミがキエタなら…?
私はそこまで書くとネットにアップした。私は小説家だ。まだ人気はあまりないけど。
「ユキ、お昼よ~。今日はハルカちゃんのところに行くんでしょう。早くしなくていいの~?」
「わかってるよ!今行く!」
私はお母さんの声に返事をするとパソコンの電源を落とした。
今日は入院しているハルカのお見舞いに行くのだ。ハルカは病気だ。余命1年。
ふと窓の外を見ると、静かに雪が降り積もっていた。
はじめまして、ラウです。読んでいただいてとてもうれしいです。初めて小説みたいな物を書きました。これからもたまには投稿(?)をしていきたいと思うので、よろしくお願いします!m(_ _)m