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最弱の賢者  作者: 心響 紲
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第1話ー異世界エンリル

書き直しをした方のやつです。自己満なのは変わりありませんが今の自分の全力でございます。

最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 2015年6月下旬。

 まだ6月だというのにうなだれたくなる暑さ。連日ニュースは熱中症を報道する様になる季節の始まり。気温は30℃後半を叩き出しコンクリートに溜まった地熱が陽炎を作り出している。

 道行く人は皆険しい顔をし、大量の汗を掻きながらコンクリートジャングルを行き交う。


 そんな中の誰よりも一層険しい顔をしながら、ふらふらと人ごみを進む学生服の少年が一人。

 少年とすれ違う人は心配そうにみる人や迷惑そうにみる人さらには遠くから少年を指差し「あれやばくない!?救急車読んだ方がいいんじゃね!マジで!」などと騒いでるJKまでいる始末。

そんな周りを他所に歩み続ける少年。


 彼の名前は白山(しろやま) 勇里(ゆうり)18歳。高校3年生だが絶賛不登校中である。


 そんな勇里が何故学生服を着て歩いているか。

それは勇里が不登校になった『原因』ゲームを返してもらうためだ。

つい先日学校から電話がきて没収したゲームを返したいのとその時に指導した教員が吐いた暴言について謝罪したい為学校へ来て欲しいと言われた。

学校側が謝罪したい為来て欲しいという理由だけだったら勇里は行かなかっただろう。

 しかしゲームを返してくれると言うなら学校へ行くという選択肢以外勇里にはなかった。

ーーー没収された当時ハマっていたゲームなら尚更。


勇里はその覚束ない足取りで10分程歩き続けあともう少し歩いて一つの坂を登れば到着というところまで来ていた。

坂の前の信号が赤に変わってしまい仕方なく信号待ちしてると突如勇里の頭に無機質な女性の声が流れた。


「Congratulations。貴方は7人目の賢者に選ばれました。これから貴方を転移させます。」


そう無機質な声が言い終わると同時に視界が白く染まり意識が遠退いて行くのをかんじた。



◼︎◼︎◼︎



「お……て……ゆ…り。」


(この声さっきの……)


「起き……さい…勇里」


(誰だお前は。)


「起きなさい勇里」


意識の底に響いた声に意識が呼び戻され勇里は気がついたら先ほどの横断歩道ではなく白い場所に立っていた。


「おはよ勇里」


かけられた声に意識が完全覚醒し勇里は目の前に少女が居るのに気がついた。


「その声………」


「こんにちは、白山勇里くん。」


「あぁ、ってなんで俺の名前を……」


「知ってるのも当然よ。私が貴方をここに呼んだんだもん。」


(呼んだ?どうして……)


「(それはね、面白そうだからね。貴方の才能実に興味深いわ)」


目の前の少女の声が勇里の頭に直接響いてきた


「っ!?(声が頭に!それに心読まれた!?)」


「驚く事はないでしょう。さっきだって勇里にこうやって話したんだから。」


「そうだ。さっきの声も横断歩道の時も」


勇里はこんがらがってきた頭を掻き毟りそんな勇里を少女は楽しそうに眺めていた。


「てかお前誰だよ。」


「今さら!?」


勇里の本当にいまさらなセリフに流石の少女も()頓狂(とんきょう)な声を上げてしまった。

少女はあからさまにため息を吐き


「私はエンリル。貴方の『居た』世界とは別の世界エンリルを見守っている者よ。そして神様♪」


世界と同じ名前なんてありえんのかよと思わなくもないがここにいる時は彼女に筒抜けになるので勇里は考えるのをやめた。


「神様?そんな風には見えないな」


「テレパシーとか貴方の心を読んだりしたじゃない!」


「なら超能力者とか言われたほうが納得する。で、俺が行く世界はどんな所なんだ。」


「何よ超能力者って!まぁいいわ。貴方の住んでいた世界よりずっと過酷よ。完全に力がモノを言う。」


「弱肉強食って事か。って事はそこにいるのは人だけじゃない。」


「あら。そうよ。エンリルには人以外には魔獣や魔族、他にも様々な種族がいるわよ。」


勇里はその言葉に引っかかりを覚えた。地球のファンタジー小説の設定にそっくりすぎると。


「もしかしてだけど科学とかよりも魔法のほうが発達してないか?」


「よくわかったわね。人は魔法を使えるわ。だから魔族や他種族に虐げられずに済んでるだもの。中には魔法が使えない人も大勢いるけどね。ただ私が地球からこちらの世界に転移させた人たちは違うわ。魔法適性に差はあれど少しは魔法を使える見込みがある『人たち』を選んだから。」



ーーー『人たち』

つまり勇里以外に地球人がいるということになる。


「さぁ話はここまでにしましょ。そろそろエンリルに転移させるわ。」


「ちょっ!まだ聞きたいことが沢山ある!」


「嫌よ!話してるのも疲れるし飽きるの!それにこれ以上ここにいると死ぬわよ。それじゃあ新しい人生すぐ死なないようにね。貴方の活躍をここから見てるわ。」


エンリルが勇里の肩に触れた途端、視界が真っ白に染まり意識が沈んでいくのを感じた。


「クソ……幼……女が!……」



◼︎◼︎◼︎



「誰がクソ幼女よ!だけどこんなに長くここに止まっている人間がいるなんて……白山勇里か……頭も切れそうだったしこれからどんな事をしでかすか楽しみね。」


勇里がエンリルに転移させられた直後、彼女は誰もいない真っ白な世界で1人ほくそ笑んでいた。



◼︎◼︎◼︎



勇里の意識が再び戻ったのは森の中にある洞窟の入り口でだった。


「クソ幼女が………頭おかしいんじゃねぇの……しかも転移させるならさせるで時と場所を選べよ。」


外を見てみると音や光など一切無く、あたり一帯静寂に静まっており世界が暗闇に支配されたようだった。


「とりあえず洞窟の中で寝よ……疲れたし精神的」


初めての夜はゴツゴツの地面で寝るという最悪の夜であった。



◼︎◼︎◼︎



まだ太陽が昇り始めたばかりの頃勇里は自然と目を覚ました。

少し体を伸ばすといたるところからバキバキと音がなった。

硬い地面で寝ていたので体の色々な場所が悲鳴をあげていた。特に腰と背中が。

体が痛くともずっとここにいるわけにはいかないので立ち上がり制服に着いた土を払い勇里は洞窟を後にした。


「洞窟を出てみたものの、どこかもわからない場所で何をどうしろってんだよ。」


そう1人で言ってみたものの『自称神幼女』を思い出しイラッとしたので他の事を考える事にした。



「少なからず魔法の適性がある程度ある人間を人選してるとか言ってたよな。って事は俺にも少なからず魔法が使えるってことだよな!」


勇里はガッツポーズをしていた。

それも無理はない男子だったら「お前は魔法を使える」と言われれば少なからずワクワクしてしまう。


「となると使い方を教えてくれるやつ探さないとな〜まず森を抜けることだな。よし!右にいこ。」


行く方向になんの根拠もないただ右が好きだからという理由だけだった。

この後どんな事が勇里を待ち受けているかも知らず。



Twitterをやっております。詳しくは活動報告をご覧ください。


最後までありがとうございました。

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