アイデアの源 【月夜譚No.420】
掲載日:2026/09/20
修学旅行生と擦れ違った。男女六人でマップを見ながら歩き、一人が冗談を言って全員が笑う。
そんな青春を垣間見て、青年は思わず振り返って微笑んだ。自分も十年ほど前は、周囲からあんな風に見えていたのかもしれない。
ふと高校時代の友人を思い出す。
悪戯好きな彼はクラスメイトをよく揶揄っており、それに留まらず教師にも悪戯を仕掛けていたから、廊下の端で叱られているのも日常茶飯事だった。そんな彼も成人して結婚し、性格が随分丸くなった。数年前の同窓会での彼の優しげな笑みが、まだ記憶に新しい。
近くのカフェに入り、コーヒーを注文して空いている席に着く。それを一口含んでから、取り出したタブレットにペンを走らせた。
つい先日任されたのは、十代を対象とした商品の企画だ。修学旅行生のお陰で当時の気持ちを思い出し、良い案が浮かんだ。早くこのアイデアを形にしたい。
現代の若者も、当時の自分等も、そして親世代も笑顔になれるような、そんな商品を作りたかった。
集中する青年の瞳には、かつての輝きが灯っていた。




