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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第2章 主要都市アーディス
9/20

朝。

フォックスはもう居なかった。

こうなったら街を探索してみるか。

俺はグーッと伸びをし、立て掛けてある大剣ソーイアロに手を伸ばした。

ほんとラッキーだよな冒険の序盤で英雄の剣を手に入れられて。

フォックスが触ると火花が散るみたいだけど。

フフッ、取り敢えず宿屋を出てみよう。

久しぶりに腹も空いてきた。


宿屋に朝食のサービスは無かったようで、俺はクレラを求めて噴水広場に足を踏み入れていた。

あの薄緑色の豆は一日分の腹を満たすようだけど、せっかくだから異世界の一般的な食事を摂ってみたいな〜。

流石に日本食には遠く及ばないだろうけど。


噴水広場にはターバンを付けた黒人がいた。

アルテマって砂漠もあるし若干アフリカっぽいんだよな。

まあゲームの世界だし黒人がいても何らおかしくない。

クレラも黒人と白人のハーフみたいな肌の色してるし。


「こんにちは、善なる人……お会いできて光栄です」


「あ、どうも……」


黒人は中々筋肉質だった。

身長も百八十センチはある。

それなのに腰が低いのは見かけによらずと言ったところか。


善なる人……って俺の事だよな?

異世界人だから大剣が抜けたはまだ納得がいくけど、俺というゲームユーザーが善ってどう判断してるんだろう。


「もうすぐ騎士団長エリザベス様がお見えですよ。因みに私はレダス。以後お見知りおき」


黒人のレダスはやや見窄らしい服装をしていたが、戦闘ではとんでもない力を発揮する可能性もあった。

見ろよこの太い腕。

俺だったらこの人と闘いたくね〜。


「俺、ソラって言うんだ。レダスさんは何処から来たの?」


明らかに歳上のレダスに対し、さん付けで会話する。

どう見ても砂漠の果てから来た事を感じさせる頭のターバンだった。


「リエコスと呼ばれる砂の町から来ました。今日は騎士団を一目見ようと此処へ……」


「エリザベスさんってもしかしてソーイアロの娘?」


「様を付けた方がいいですよ。そうです、その大剣の主である勇者ソーイアロの一人娘です」


ソーイアロの一人娘。

俺も見ていった方が良さそうだ。

リエコスにも向かう時が訪れるのだろうか。

何にせよ騎士団長には挨拶すらしていってた方がいい。

今大剣は自分の元にあるのだ。


「一緒に見に行こうぜ、せっかくだし」


「分かりました。今日は貴方に話しかけて良かった」


悪い人じゃなさそうだけど裏があったら嫌だな……。

って考え過ぎか。

まあ取り敢えずレダスと一緒に中央通りへ……。

既に沢山の人達が花道を作っていた。


「アスカちゃん!」


「フン!」


人集りの中偶然アスカちゃんと遭遇したが、まだ打ち解けていない。

おっ、騎士団の到来だ。

三列縦隊で行進してくる騎士団の先頭を行くのが桃色髪の女性だった。


「アレは?」


「騎士団幹部セレナという女性です。中々強力ですよ!」


レダスは俺が何も知らない異世界人だという事を理解しているかのようだった。

それにしても幾ら俺が英雄の剣を手に入れたとて、この世界に強者は多い。


「見て!エリザベス様よ!」


アスカちゃんも思わず声を上げていた。

え、あの顔何処かで見たことがある。

あ、そうだ!ダンジョンの壁画として描かれた少女の成長した姿なんだ。

ソーイアロの娘エリザベス……へぇ。


エリザベスはセレナと同じで兜は身に着けていなかった。

だが首から下は銀色の如何にも騎士団って感じの装備だ。

雪のような白い肌をした金髪ロングのエリザベスは、俺と大剣を見るなり首を傾げていた。


穏やかそうな人だな〜。

セレナは騎士団向いてると思うよ?

まだ分からんねーけどそれなりにね?

でもエリザベス姫はソーイアロの娘ってだけで無理矢理騎士団を率いさせられている感じだ。

つーかあのオーラお姫様じゃん!


「…………あ……っ」


エリザベスと目が合った俺は昨日に引き続きテンパった。

でもほっとけねぇ。

騎士団は全部セレナに任せるなりして戦いから遠ざけてやらないと。

いやでも権力問題とか色々あるのか?

もし仮にセレナが悪い奴なら全部委任するのは良くないと。


あ〜頭がこんがらがってきた!

でも今日お目にかかれて良かったよエリザベス様、いやエリザベス姫。

魔王がもし復活したら倒すのはアンタらの仕事じゃねぇ。

俺達の出番ってわけだ。


「エリザベス様、元気ないですね」


とレダス。

彼も何か感じ取るものがあったのだろう。

それにしてもレダスにセレナか。

いそうもないバケモノがいるもんだ。

一応仲間になるかレダスに聞いてやってもいいが、何となく彼は単独行動を選びそうだった。


そして騎士団のパフォーマンス。

対魔王復活に向けて、強気な姿勢の現れだ。


「魔王復活阻止に向けて、俺達は具体的に何をすればいい?」


「情報収集は勿論、邪な心を持つ者たちを倒す為に力を付けねばなりません」


レダスは神妙な顔つきで腕を組んで言った。


「そうよ、私のお姉ちゃんめちゃくちゃ強いんだから!アンタも強くなりなさいよね」


ツンデレもここまで来ると可愛く見えてくる。

彼女のお姉さんが何故本名を隠しているか。

いずれ分かる時が来るだろう。


「私は独りで行きます。さらば善なる者とそのお仲間さん」


騎士団のパフォーマンスが終わるとレダスは早々に去っていった。


「そう言えばクレラは何処にいるんだ?」


「早朝から魔法図書館に行ってるわ。今から一緒に行く?」


「おう!」


好感度が高いクレラには今直ぐ会いたかったし、魔法図書館って場所にも興味がある。

それにしてもフォックス……朝起こしてくれてもいいのによぉ。

ってそこまで打ち解けてないか彼とは。

フッ……レインもホワイトロックも優しそうだし、旅の人間関係は一先ず良好か。

俺とアスカはクレラを訪ねるべく魔法図書館へと足を運ぶのだった。

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