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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第1章 ようこそ異世界へ
3/20

「いや…………その……さ。腹減ってたから」


「あ、お腹空いてたの?」


あれ、案外すんなり機嫌が変わった。

純粋で優しい印象だ。

でも、まだ分からない。

特に女の子は。


「何か食べ物ある?」


「丸一日お腹を満たす豆ならあるよ」


「それでいいや。ありがとう助かった!」


俺は少女がポケットから取り出した豆を受け取った。

薄緑色で枝豆みたいだ。

でも少女は金色の粉から化けて現れた。

一日腹持ちするという破天荒さくらい嘘じゃないだろう。

豆を口に含む。

すると本当に胃の中で膨張している感じがした。

流石は異世界の豆、何処の薬局にもこんなの売ってないぜー。

俺は感心しながら自身のお腹をポンポンと叩いた。


「此処は……魔法の世界なのか?」


「うん。私魔女だよ」


「名前は?俺、ソラって言うんだ。歳は十七」


「クレラ、十六歳」


身長は百六十センチくらいで、化粧のおかげかちょっと大人びて見えた。

それにしてもこの世界で最初に出会う人が魔女だなんて……。

俺はクレラの放つ独特の雰囲気に若干呑まれつつも、言葉に詰まらないよう会話を続けた。

まつ毛が長く、チークの化粧もキュートときている。

アイラインは緑色で髪はボブという表現が一番近かった。


そう言えば俺の顔については話してなかったな。

結構ハーフ顔で濃いめだ。

しょうゆ顔ってやつなのか?

よく分からんが眉毛は綺麗に太い。


と、とにかく!

少女にどうすれば元の世界に帰れるか聞き出さないと。

いきなり聞くのも失礼だよな?

せっかく巡り会えたわけだし。

先にこの世界の成り立ちでも聞いてみよう。


「この世界は魔王ラグナロクによって創られたんだよ。邪悪が蔓延る世界だった。その時代を終わらせたのが私の父モリガンと勇者ソーイアロ、そして竜騎士アレサンドロ」


魔王か。

如何にもゲームの設定って感じだな。

そして竜騎士といった単語は、厨二心を(くすぐ)らないでも無かった。


「父モリガンは魔術師の長で、ソーイアロは騎士団の団長だった。アレサンドロの跨る竜は銀色の鱗の巨竜だった。三人は持てる力を全て出し切って魔王を殲滅したんだけどそれと同時に亡くなったの」


「クレラの親父スゲーなぁ、ってか亡くなっちゃったのか〜」


「うん……まだ私が産まれて間もない頃の話。シングルマザーに育てられて今年から独り立ちしたの」


「恐ろしくしっかりしてるな。俺なんかコンビニのバイトでやっとなのに……」


「コンビニのバイト?」


「何でもねぇ気にすんなって」


「もしかしてソラ、異世界から来たの?」


「まあな。帰り方が分からなくて困ってんだ」


「それならこの国の主要都市『アーディス』に訪れたら?何か分かるかもしれない。私もこれから向かう所だったの。一緒に行こ」


主要都市『アーディス』か。

騎士団なんかもいるのかな?


「その前に武器を手に入れたいね。この近くには英雄ソーイアロの大剣があるよ」


さっき言ってた三人組の一人だな。

武器のスペックにしては申し分なさそうだ。


「そうと決まれば早速大剣を探しに行こうぜ!クレラちゃんがいて心強いよ」


俺は頭の後ろで手を組んで言った。

それにしてもクレラとは高校で話す女子の誰よりも波長が合う。


フフッと笑うクレラ。

十六歳にしては賢そうだし何より心が綺麗な感じがする……この……相手を尊重する感じ。

実は何処か俺に似てんのかな……。

まだ話して数分だけどピンと来るものはある。


そもそも俺は面食いだが、顔だけで恋に落ちたりしない。

価値観等を含む「性格」も恋を大きく左右する。

そして頭の良さ。

馬鹿な異性と話してると「あ、コイツ駄目だな」ってなる。


小学校の時はとにかく可愛い子が好きだった。

中学、高校と進むに連れて今のような判断基準に変わったんだ。

理想高いのかな。

いや、そんな事ないぞ。

俺は異世界に来て一人目の女性に恋心を抱き始めている。

鳥の導きがあったとはいえ、偶然にしては運が良すぎる。


この世界って「アルテマ」って言ってたよな。

アルテマではこんなにスペックの高い女子ばっかなのか?

いやでも相性、共通点に関してはゲームのキャラにしては出来すぎている。

何にせよ俺はこのままクレラと旅をしていきてぇ。


人生初の彼女はクレラであってほしい。

俺の脳内はそこまで飛躍していた。

男子の恋心は燃え上がるのが速いとはよく言ったものだ。


「私魔女だから魔法使えるんだよ。この世界には七種類の魔法があって、それぞれ攻撃系の黒魔法、回復系の白魔法、能力低下の青魔法、能力上昇の緑魔法、時を操る時魔法、モンスターを召喚する召喚魔法、そして禁術である裏魔法だよ。私は黒魔法と白魔法しか使えないんだけど、パパは裏魔法以外の全部が使えたみたい」


「へぇ~魔女ってカッコいいな!俺が剣士になったとしても魔法を齧る事は可能なの?」


「もちろん!ソーイアロは青魔法も使えたみたい」


気づけば椅子に座って談笑していた。

此処から少し太陽の昇る方角、東に行った所にダンジョンがあるそうで、そこの奥に大剣ソーイアロはあるそうだ。

ダンジョンか〜敵もいるのかな。


草原に放り出された俺が先ずクレラちゃんと出会えたのは本当に運が良かった。

黒魔法はアレだろ?

ファイアボール的なやつだろ?

そして白魔法で傷を治癒する……。

うん、とんでもなく頼りになりそうだ。

出来ればアーディスって場所に着いた後も一緒に居たいけど……それを決めるのはこれからの俺次第ってわけだな。


ここは剣と魔法の世界アルテマ。

そこで紡がれる「アルテマサーガ」の一ページが刻まれようとしていた。



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