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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第1章 ようこそ異世界へ
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気が付いた時、俺は草原に座りこんでいた。

当然さっきの制服姿で、帰宅時に上着とマフラーだけ脱いでネクタイはしている状態だった。

下は黒の長ズボンである。

その俺が何故こんな所にーー。

此処はゲームの中の世界なのか?


見れば蒼色のバッファローのようなモンスターの群れが前方にいた。

草食獣だろうから襲っては来ないだろうけど中々圧巻だ。

その数、およそ三十頭。

草を食べているものから、側にある池で水浴びをしているものもいる。


そしてその後方。

見事な山々が景色を彩っていた。

それにしても風が気持ちいい。

そして空気も綺麗だ。

何処か中学の修学旅行で行った北海道を連想させる。

草原の奥には森みたいな場所もあるし、此処は異世界と見て間違いないだろう。


なんてこった、さっきまで平和な日本だったのに!

なんとかして帰る方法を見つけないと最悪死ぬ事になりそうだ。

先ず食べ物が心配だ。

そして気温。

二十五度は下回らないだろう。

アフリカと北海道のハーフか?

異世界だからそう単純にはいかないだろう。

俺は白い長袖のシャツを腕まくりし、靴が無いことを懸念していた。


まあでも大自然を満喫しない気にならなくもない。

蒼色のバッファロー達はクネクネした二本の角と首筋の紅い模様が特徴的だった。

体長は四メートルほどで、巨体である。

せっかくだから近づいてみるか……。

俺は二十メートルほどあった彼らとの距離を詰めていった。


ファンタジーゲームの世界だから剣と魔法の世界なのか?

いつかこういったモンスター達と戦う日も来るのだろうか。


(絵になるな……この世界での経験も作詞に役立つ可能性がある)


俺が呑気にバッファロー似のモンスターまであと五メートルまで近づいたその時だった。


モォ゙ォ゙ーーー!!!


一頭、また一頭と此方に近づいて来たのだ。

何だよ草食獣だから大人しいんじゃねぇのかよ!

三十頭の群れ全部がゆっくりだが確実に、此方に接近してきたのだ。

相手は巨体故にノロい。

でも凄い迫力だ、逃げろーー!


俺は靴もないまま、全力で森の方へと駆けていった。

足が速くて助かった。

あの鼻息荒いバッファローの顔見たか?

一瞬死すら覚悟したよなー。

流石に森まで辿り着けば奴らは追いかけるのを辞めるだろう。

俺とモンスターの群れの間隔は徐々に広がっていき、ラグビー時代につけたスタミナが役に立ったと言える。


俺は若干息を切らしながら森へとたどり着いた。

草食獣たちとの間にはかなりの距離がある。

一先ずこれで安心だろう。

それにしても木の上に、水色の綺麗な鳥。

それも綺麗な声で鳴く。

クチバシは黄色で、鳴き声は喩えるなら「ヒョロロピーヒョロロ」って感じだ。

此処は素晴らしく自然豊かな場所だ。


ファンタジー世界。

ならば人やエルフといった種族も存在するのだろうか。

早く靴を手に入れたいもんだな。

武器や装備といったものにも当然関心はあるし、この世界での冒険を楽しむ余裕はまだないけど、一度きりの旅だエンジョイしないと。


ん?あの鳥着いてきてって言ってるみたいだな。

鳴き声を上げながら木から木へ移動して此方を見てる。

もしかしたら人間のいる所へ案内してくれるのかもしんない。

俺は元気よく水色の鳥の示す方向へ歩を進めた。

バッファロー達もとっくに俺を追うのを辞めている。

この先肉食動物に会う可能性もあるわけだけど、取り敢えず人間との接触を先に完了させないと。


俺はやや足の裏が痛くなるのを感じつつも、森の奥へと進んでいった。

冬と夏なら断然夏派なのでこの気温は最高の気分だが、不安だらけの冒険になりそうなのは間違いない。

所々真っ白のキノコが生えていたが、毒の可能性も無視できないのだ。


進んでいくと木でできた一軒家が目に止まった。

デカした綺麗な鳥!

そこまで大きな家ではなかったが明らかに人が住んでいそうだ。

何よりあの鳥が紹介する人だ、凶悪な人柄じゃないだろう。

俺は好奇心の赴くまま、ドアの前へと足を運んだ。


「おじゃましまーす……」


日本語が通じる保証は完全ではなかったが言ってみる。

あのファンタジーゲームは日本製だ。

大丈夫、きっと大丈夫……。


返事がないので一応ドアを開けてみる。

それにしてもドアの周りは綺麗にガーデニングされており、女の子のお家って感じだった。

パンジーって言うのかな、よく分かんないけどピンク、紫、黄色の花が咲いてる。

俺晩飯まだだったんだ、林檎でも貰えるかもしれない入るぜ。


ドアを開けた俺は木の家の中に入っていった。

中には銀の食器の積み上げられた食器棚にテーブル、椅子などが配置されていた。

十二畳ほどの大きさで、奥にはベッドらしき物も見受けられた。

決して大きな家とは言えないがよく整理されている。

ドレッサーもある事から女の人の家である事は間違いなさそうだ。


それにしても女性の家に勝手に上がって悪かったかな〜。

しょうがねぇよだって腹減ってるんだもん。

後できちんと説明すれば分かってくれる!


残念ながら目当ての食べ物は見当たらなかったため、ため息をついた俺の隣に金の粉が浮かび上がっていた。


(何だ、コレ!?)


俺が驚いているのも束の間、金の粉は人間へと姿を変えた。

褐色肌黒髪。

エジプトのクレオパトラを連想させる美貌に、俺は一瞬息を呑んだ。

顔立ちと言うより、そのオーラに俺は言葉を失ったのだ。

服装は踊り子?っていうのかな。

紫をベースに緑色の装飾品で着飾ってある。

思春期の俺には刺激が強いのは確かだ。

化粧もしており、年齢は高校生くらいかな?


「女の子の家に勝手に上がるなんて無神経すぎ」


彼女の言葉に俺はどう返せばいいか分からなかった。

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