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レインと初めて出会ったのがアルテマ西砂漠、今いる場所がアルテマ東砂漠だった。
急に日本で言う真夏の気温となり、流石はゲームの世界「自然の摂理」を無視してくる。
例えば此処から雪山にワープしてみろ、病気になんぞ。
俺達七人はアルテマの砂漠を真っ昼間にも関わらず歩いており、喉も渇きがちだった。
水ならクレラの水魔法がある。
だが彼女の黒魔法は限度を知らない。
破壊力満点の勢いで噴射される。
つまり真上に発射するしかないのだ。
遥か上空にまで達した水は、俺達に土砂降りの雨のように降り注いだ。
ここらで旅の仲間についておさらいしておこう。
クレラは基本優しい娘だ。
変わり者の部分があるのは否めないが、かなり頭もいい。
相手を圧倒する黒魔法の他に、まだお世話になっていない白魔法つまり回復魔法が使える。
チームの要と言っても差し支えないだろう。
フォックスは第一印象とは裏腹に気遣いができる大人な部分を見せていた。
まだ力の全貌を見せていないが、彼の補助魔法には何度か世話になっている。
頭の回転も速く冷酷な一面もありそうだったが、俺は彼を少しずつ信じ始めていた。
レインは陽気で明るい印象の男性だ。
ハープの音の威力は絶大で眠りの他に麻痺の音のバージョンも存在するらしい。
そして「回復の音」を現在開発中だそうだった。
決して前衛とは言えないがサポート力は凄まじいと言っていい。
アスカちゃんは「斬鉄拳」と呼ばれる拳法を使うようなのだが、未だにその力には世話になっていない。
この地域に生息するトゲトゲな身体のサボテンマンには素手では戦えないだろうし、もう少し様子見だ。
ただのツンデレってわけでもないらしく、今後彼女についてもっと知りたいと思っているのは確かだ。
ホワイトロックさんは魔導師というよりは弓使い(アーチャーといった印象が強かった。
結構上品で、クレラやアスカちゃん以上に王道ヒロインの座に相応しい気がしないでもないが、彼女が今俺を恋愛対象と見ているかは何とも言えないといった具合だ。
クロウはこのメンバーで一番口数が少ない人物で、オークを一撃で葬った剣の腕は中々のものだった。
また空を飛べるのも大きなアドバンテージで、盾も所持しており主力候補になり得るのだが、如何せんあまり笑わない男だった。
この六人に俺ソラを加えた七人がアルテマを旅している。
この中で異世界から来たのは俺だけで、他のメンツはゲームのキャラに過ぎないのだが、だとしたらかなり性格は作り込まれていると言っていいだろう。
とんでもないゲームに手を出してしまったもんだ。
キヨシと呼ばれる男の他にもまだ探せばゲームユーザーは出てきそうだが、何とかしてゲームをクリアしなければ、そしてその間の旅をクレラ達と楽しまなければ、そういった心の状態だった。
でも焦ることないさ。
命を落とさないように徐々に強くなっていくうちに作詞力も上がってくるかもしんねーし。
冒険を楽しむ余裕があるかは半々だけど、とにかくクレラ達が可愛い。
いやもっと言えばエリザベスもナギサもマリちゃんも皆可愛い!
俺はナギサちゃんの面倒見ても良かったけどよぉ。
なんか昔にプレイしたファンタジーゲームのパーティが六人や七人だったからそれで断っちゃったんだ。
いや、勿論彼女の事を心配はしたのは嘘じゃないよ?
そしてこの旅はある意味過酷だ。
俺達が砂漠を歩いていると前方に町だか廃墟だか分からないものが見えてきた。
まさかリエコスーー?
見るとあのレダスが頭から血を流していた。
「あのハウルという男、一対一なら相打ちに持ち込めました。でもあの銀竜まで居ては……」
「しっかりしろ!クレラ早く回復魔法を」
「うん!治癒!」
クレラの手元から発射された緑色の光が、レダスを覆った。
みるみるうちに傷は癒えていき、倒れていたレダスは立ち上がった。
「ありがとう。私は君達に賭けています。魔王との戦いに区切りを打てるって」
「アンタ、何者なんだ?」
騎士団の幹部セレナの実力だけでなくハウルの名前も知っていた。
何だろう……この全てを知ってる感じ。
「私はレダスの名で登録したゲームクリエイターです。このゲームのバグ要素として生まれたユーザーを巻き込むシステム。私はゲームクリアを手助けするため黒人の身なりをしてこの世界に溶け込んだというわけです」
なるほどな……元々なんか裏がありそうな気がしてたんだ。
でもクリエイターなら最強ステータスに変更みたいな荒技もできそうなもんだけどねぇ。
そこがこのアルテマの難しい所なのか。
「このゲームの名はご存知の通り『アルテマサーガ』。迷惑を被った事を詫びると同時に、暫くの間貴方がたパーティのサポート役として同行するとします」
俺はレダスを責める気は起きなかった。
なんか途方もない感じなんだ、此処まで作り込んだゲームの世界に溶け込めさせるのって。
勿論恋愛だけの話じゃない、全てにおいてこの世界での冒険はかけがえのない体験になっている。
「ハウルはガゼドの者と見て間違いないのか?」
「魔王復活を企んでいると見て、先ず間違いないでしょう。他にも仲間がいそうですし」
「クリエイターと言えど、全てを知っているわけじゃないのか」
「敵味方問わず色んな方面の者がそれぞれの方法で手を組んだり成長したりしています。貴方がたも例外ではありません」
「そうか……」
此処から東に進んだ所に港町があるそうだ。
せめてそこまではレダスと一緒に居たい。
それにしてもリエコスで闘技場で得た金貨を使おうと思っていたのに……想像以上の崩壊具合だ。
アーディスに比べ規模はずっと小さいが、クリエイター「レダス」にも思い入れはあったはずだ。
この世界は想像以上の速さで変化している……絶対に生き残ってみせる。




