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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第3章 旅立ちの時
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此処から目的地までかなり距離があるようだが、例えば巨竜に跨がれば一瞬で着くのか。

だが歩いていく事に抵抗はない。

この道は俺を強くしてくれる。

困難の無い旅など逆に面白みが無いといった具合だ。


草原はまだ続く。

南の方に山々があるのは相変わらずだがこの草原を越えれば砂漠があるようで、黒人レダスの出身地「リエコス」は砂漠のその先にあるようだった。

先ずはリエコスに向かい、それからガゼドだった。

正直ガゼドに着くまでに雪山すら越えていくようで、ゲームの世界とは言え果てしない旅になりそうなのは確かだ。


大剣ソーイアロを手にしたダンジョンは此処から南の山にあり、俺達が進んでいるのは南東だそうだ。

地図が頭に入っているフォックスによると南東のリエコスに着いた後、そのまま東に行き港町へ。

船で北東へ進み別の島に着かなければならないそうだ。

まあでも全行程でどれだけ長く見積もっても一ヶ月は掛からないだろうとの事だった。


ん?前方に首の長い恐竜のような生き物が。

ハンマーヘッドシャークみたいな頭部をしている。

背中には鎧のようなトゲトゲがあり、中々圧巻だった。

体長は何と二十メートル程だ。


「ハンマーヘッドザウルスよ。大人しいから普通にしてれば大丈夫」


とクレラ。

因みに体長四メートルの水牛は「ブルーバッファロー」と言うそうだ。

これらの草食獣は危害を滅多に加えてこない上見応えがある。

特にハンマーヘッドザウルスは現実の世界では絶対にお目にかかれない分、写真でも撮っておきたい気分だった。

池の上で「グララララーン」と鳴き声を上げる。

海の生き物とも若干関連性を感じさせるような、超音波に似た鳴き方だった。


俺達七人が見惚れていると馬に乗った旅人が通りかかった。

長い黒のドレッドヘアー。

カッコいい黒魔道士を連想させる装備だったが、武器は大剣だった。


「やあやあご機嫌麗しゅう。僕の予感が正しければ此処に異世界人がいるんだけどなー」


穏やかな喋り方と引き換えに何処か強い響きがあった。

敵か?味方か?

何にせよまだ異世界人だとは伏せておいた方が良いだろう。


「僕名前はハイディス。もう今年で四十になる」


四十歳には見えない中々の色男だった。

アニキ以来のオーラの持ち主だし、パーティの誰かがこの人を知っていてもおかしくない。


「まさかあの歴史から抹消された四人目の伝説……本物なの?」


アスカちゃんの声は若干震えていた。

ソーイアロ、モリガン、アレサンドロと並び、オマケに生還を果たした男だと言うのか。


「悪魔で噂だったけど私は耳にした事がある。第四の男ハイディス。黒い馬に跨り孤独な旅を続けてるって」


そのハイディスが異世界人の俺に何の用だ。

黙っていても直ぐに俺だと気付かれそうな予感がした。


「実はユーザーって君だけじゃないんだよ?僕の相棒キヨシもゲームユーザーだ」


ハイディスの相棒がゲームユーザー?

それだと話は変わってくる。

直ぐにでもキヨシに会わせてくれ。

俺達は手を取り合うべきだ。

俺が身を乗り出して俺が異世界人だ、と言おうとしたその時だった。

背後のハンマーヘッドザウルスが馬ごとハイディスに噛みつこうとしたのである。


ーー大剣の閃光斬りーー。


一瞬の早業に一同は言葉を失った。

一撃で恐竜の首を斬り落としたのである。

あの大人しいハンマーヘッドザウルスが噛みつこうとしたのは珍しい出来事だろうが、これほどまでの男がキヨシとやらとタッグを組んでいるのか。


キヨシーー名前からしても日本人だ間違いねぇ。

でもその時レダスの言葉が頭を過ぎった。

「善なる者」……もしかしたら全ユーザーが清き心を持っていない可能性もあるのだ。

此処に来て第二のユーザーの登場。

まだどんな姿をしているかも分かったもんじゃないが、彼の相棒ハイディスの力は本物だ。


「キヨシに言っててくれ……共に魔王復活阻止に向けて立ち上がろうと。俺達はまだ会わない。力を付けたらその時は団結しよう」


「フッ……分かったよ」


最後は俺が異世界人だとバレバレだった。

だがハイディスは馬に乗ったまま去っていき、俺達の旅は続くのだった。

もう少しで草原地帯から砂漠地帯に変わる。


クレラの持っているお腹を満たす豆を皆で分け、休む間もなく歩き続けるのだった。

この薄緑色の豆は独特な味がする。

特別美味いというわけではないが、エネルギー補給という点に関しては間違いないだろう。

魔女だけが持っていそうな、なんとも便利な豆だった。


キヨシとハイディス。

第二のゲームユーザーと、歴史から抹消された英雄。

中々強力なタッグだが、俺とアニキの団結で追い越したいものだった。

それだけアニキは印象的だったし、俺も自分の伸び代をいつからか信じられるようになっていた。


冥道クロス斬り。

放てたのはフォックスとクロウの紫色の魔法陣が傍にあったからとの解釈を最終的にはされたようなのだが、アレは大剣ソーイアロと俺の息の合ったコンボだと俺の中では結論づけていた。

まあ闘技場の事はどーでもいいよ。

これからだこれから。

このアレサンドロの鎧を着ている限り、いやこの鎧なんて無くてもいつか自分の足で立ってみせる。


おっ、草原を越え今度は砂漠だー。

この先にあるリエコスにレダスの奴はいるのかな。

アイツも何処か意味深なのには変わりない。


学生服はアーディスの王宮に置いてきた。

あの街の希望になれてたらいいな、なんて。

異世界人ソラ本格的に始動だ。

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