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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第2章 主要都市アーディス
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錆びた扉を開けるなり、レインはハープを演奏した。

ポロンポロン……と独特な音色が地下道に響き渡る。


この道を抜けるといよいよスラムの住宅地にあたるようなのだが、敵は早々に発見された。 

三人の賊のような男達。

レインの演奏でたちまち深い眠りにつく。

だがハープの音はレイン以外の全キャラに適応される。

この俺も勿論例外じゃない。

後で叩き起こしてくれよ……ムニャ。


叩き起こされた時前方には左右を刈り上げた黒髪セミロングの男がいた。

穏やかな印象だったが、目には不思議な力があった。

それにしてもこの男にはレインのハープの音の効果が適応されなかったと言うのか。


「皆、起きろ。殺し合うことないよ」


「ア、アニキ。でもホワイトロックって女、裏魔法を習得したんでさぁ。そんな人間アニキ一人で構わないと思いません?」


「そんな事で殺し合ってたら獣と同じだぞ」


アニキと呼ばれるこの男、なんと裏魔法が使えるのか。

言われてみればオーラも独特で、彼の仲間達にはかなり慕われているようだった。


「ん?君は……異世界から来たのか?」


不意に「アニキ」が神妙な顔つきになった。


「君と話がしたい。久しぶりにシャバの空気を吸おう」


「まさか黒髪のまま裏魔法を習得したって言うの?」


ホワイトロックが驚きの声を上げる。

規格外のバケモノか。

そんな男と二人きりで話か……緊張しないでもない。


階段を上り高架下に出た。

アニキは「鎧が欲しいなら、闘技場に出たら?」と言ってきた。

眼は緑色で、吸い込まれるような気さえした。


闘技場。

中央通りを少し東に抜けた所に存在するのだが、出場するには仲間が必要との噂だった。

金網での戦いは過酷さを彷彿とさせるが、金を得るには手っ取り早いわけか。


「アンタは出ないのか?」


「僕は出禁だよ。絶対優勝しちゃうから」


恐るべき男だった。

それに強さへの奢りが感じられない。

口調は穏やかで、彼はボロボロの布切れを巻いていたがそれすらもファッションと化していた。

アニキが言った。


「もう直ぐ君の仲間が此処に通りかかる。その三人で闘技場に参加するんだ。きっと道は開かれる」


暫くすると本当にフォックスとクロウらしき人物が通りの向こうから現れた。


「死なないで」


もう一度見た時アニキは消えていた。

スラム街に帰ったのだろうか。

気づけばもう少しアニキと話していたかった自分がいた。

まあでも彼のアドバイス通り、闘技場に参加しよう。

いつか「アニキ」に追いついてやる。

見ればレインとホワイトロックも此方へと歩いてきていた。

集合するなり、フォックスが口を開いた。


「これが俺の旧友クロウだ。翼があるので飛べるぞ。武器は見ての通り剣と盾」


頭は人間の姿をしていたが半分鳥人という言い方で差し支えなかった。

闘技場に出よう。

俺はいきなりフォックスとクロウに切り出した。

クロウは物静かな印象で、頬から首筋へと続く炎柄の入れ墨はイカツかったが、特別悪人面をしてるわけじゃなさそうだった。


「良いだろう。いつまでもそのふざけたちょっとダサめの紳士服着て一緒に歩かれたらこっちが恥ずかしいからな」


コレ学生服!

まあ鎧が必要なのはお見通しだった。

それにしてもフォックスの口調がやや攻撃的なのは今に始まった事じゃない。

クロウも参加には抵抗がなかったようで、これでアニキの助言通り実行か。


それにしてもホワイトロック以外に裏魔法が使える人がいたなんて。

よく見れば腰に肌色のひょうたんのほかに剣も佩いてたし、アニキが闘技場に出禁なのはよく分かる。

いつかまた会えるかなー。

恋心とはちょっと違う、でも確かな関心が俺の中で彼へと向けられていた。


まあでもクロウさん優しいなー。

俺の二つ歳上くらいか?

フォックスから話は聞いていただろうが、会ったばかりの俺に助太刀してくれるなんて……。

金網での戦いに恐怖が無いと言えば嘘になるけど、男として乗り越えなきゃな。


俺達五人がスラム地域から離れ中央通りに出た時、クレラとアスカちゃんが目に留まった。

これで冒険を共にする七人が揃った事になる。

クロウについては知らない事だらけだが、これから知っていけばいい。


(アニキ……いつか強くなってからもう一度会いに行くよ。今の俺じゃあアンタを誘うには役不足だ)


よく見ればクレラがいつもにも増してニコニコしているのが分かった。

どうしたんだろう。

アスカちゃんとの会話がそれほど楽しかったのか?

まあいいや……深くは詮索しないでおこう。

それより俺は闘技場での戦いに意識を集中しないと。


「闘技場の敵ってどんな奴ら?」


俺は歩きながらフォックスに尋ねた。


「ただの囚人から二メートル超えのトロールまで色々だ。俺が観戦した時の敵はオークだったな」


トロール、オーク。

昔読んだファンタジー本にも出てきたなー。

オークと言えば緑色の皮膚をしたゴブリンのデカい版で、武器や防具を身に着けがちだった。


「え、ソラ闘技場に出るの?」


とアスカ。

普段はツンツンしているが心配してくれるのだろうか。

クレラの方は俺を信じ切ってるって感じだ。

俺の代わりにホワイトロックが出場すれば勝率は恐らく上がるだろうが、自分の鎧は自分で手に入れないと。

まだアスカちゃんの怪力は未拝見なわけだが、旅をするにつれいずれ目の当たりにするだろう。


おっ、闘技場が見えてきた。

女子三人が見る中勇敢なとこ見せねーと。

ラグビーでの経験を活かす時!


俺達は受け付けに足を運んだ。

闘いは夕方からでそれまではアーディスに待機か。

ホワイトロックの着ている鎧は俺が着るには小さいようで、本当に学生服で出るしかなかった。


「それにしても……私のハープの音をシャットアウトしてみせた奴初めて見たでな」


レインは「アニキ」の事を言っているようだった。

アニキ……アンタの助言通り俺は鎧を手に入れてみせる。

闘技場はどうやら王も観戦するようだった。






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