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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第2章 主要都市アーディス
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摂った昼食はベーコンエッグトーストで、悪くない味だった。

若干焦げ目が付いており、目玉焼きは半熟。

ベーコンもそこそこの肉を使用していた。


だがそんな事よりもクレラやアスカと同じ時間を過ごせたのが良かった。

交わした言葉数は少ないが、確かな温かみがそこには存在した。


「食べ終わってから暫く経つね。先に店出る?」


「え?」


「私アスカと話があるの」


幼馴染同士の込み入った話か。

ならば何も言うまい。

俺は昼食代を出してもらった事に礼を言い、レストランを出るのだった。


まだ十一時半くらいか?

この世界にも当然時計は存在し、それは現実世界のモノと酷似していた。

大きな日時計の側に人集り。

見れば虹髪のレインが子供達に吟遊詩人として語り部をしているのだった。

行ってみよう。

俺は彼のハープの音が好きだ。

それにこの世界の歴史にも関心はある。

高校での得意教科はここだけの話世界史だった。


例えば伝説の三人の一人「竜騎士アレサンドロ」ってアレクサンドロス大王と同じ名前だよな?

おっともし読者さんが小さいお子さんなら存じ上げないか?

でも名前だけなら聞いたことがあるでしょ?

このゲームのクリエイターが何故アレサンドロと名付けたのは謎だけど、よっぽど強力な設定の竜騎士だったに違いない。

それに比べたらソーイアロやモリガンといった名前の方が謎といえば謎だった。


俺はレインの声に耳を傾けた。

どうやらホワイトロックについての物語らしい。

おおっ、これは興味あるぞ。

だが既に語りは終盤に差し掛かっていたようで、「裏魔法に手を出し髪が白くなった。それを政府の裏の者は恐れ、彼女は本名を隠している」の部分だけ聞けた。


まあおかしな話本名を隠してもホワイトロックが有名だったら身の危険は防ぎきれねーけど。

でも政府を恐れさせた裏魔法かー、カッケェェ!

そう言えばクレラの父モリガンですら裏魔法は習得して無かったって言ってたな。

しかも弓矢使えるんでしょ?

どんだけ有能なんだよ。

しかも彼女は真っ直ぐな心の持ち主の印象だ。

クレラやフォックスのような天才的な頭脳は無いかも知んねぇ。

でも男も惚れるカッコいい女だね。


俺は感心しながらレインの話を聞いていた。

所々笑いを入れるのは俺には出来ない流石の芸当だったが、語りはもう終わろうとしていた。

ハープの音にも優しさが籠っている、と感じた。

俺は子供達が去った後レインの近くへと歩み寄った。


「良かったよ」


「おー、次回は一から聞いてやー」


「ホワイトロックの命は俺が護ってやりたいと思ったが」


アスカちゃんの実の姉。

旅の序盤で巡り会えたのは運命としか言いようがない。

アスカも「お姉ちゃんめちゃくちゃ強いんだからー」とか言ってたな。

今になって納得だ。


それにしてもこの世界には政府の裏の者といった者も存在するのか。

魔王と手を組まれるとこの上なく厄介だなー。


俺がレインのハープを試しに弾いているとホワイトロック本人が現れた。

本当に綺麗な澄んだ目をしている。

クレラやアスカじゃなくてこの人に昼食奢ってもらえば良かった男気ありそうだし。

って幾ら歳上だからって女性に奢ってもらうのがそもそも良くないか。


「スラム街に私の命を狙う者たちがいるって情報、手に入れたよ」


政府だけでなくスラム街にも……。

二つの組織が繋がっているかは定かではないが、雲行きは良くなさそうだ。

今こそクレラとアスカを呼んで総力を上げる時!


「妹のアスカまで敵に変に恨みを買ってお尋ね者にしたくない。三人で行きましょう」


ったくフォックスどこほっつき歩いてんだ。

いや、彼もクロウとの再会といった目的があって行動してるはず。

俺、レイン、ホワイトロックの三人でスラム街に突撃するしかない。

でもホワイトロックさんと手を組んだ時点で俺もお尋ね者にされる可能性すらある。

知ったことか。

俺はこの「目」を信じる。


レインもおちゃらけてそうで、内には深いものを持っていそうだった。

ただの語り部じゃない。

このハープで彼は戦える。


クロウを除くパーティ六人は団結しつつあった。

レダスやセレナといった者たちとの関係もこれっきりでは決してなさそうだし、もっと言えば王やエリザベスとも関わっていきそうな予感がした。

大剣ソーイアロはエリザベスの父の忘れ形見的な立ち位置の剣である。


伝説のモリガンの娘やホワイトロック様といった者たちが強力なのは言うまでもないが、自分もこの大剣で役に立ちたい。

あのフォックスすら拒み俺を選んだ「ソーイアロ」。

スラム街だろうが砂漠の果てだろうが何処までも一緒に行ってやる。


俺達は狭い高架下へと続く道へ出た。

階段を降り、窮屈な道へ。

そこを抜けると地下道への秘密の階段だった。


この下に、ホワイトロックの命を狙う者たちが。

戦闘は避けられないかもしれない。

狭い通路で大剣が戦いづらそうなのも事実だ。

いや、ロックさんの弓矢ですら、本領発揮とはいかないだろう。

レインのハープ頼みか。

眠り効果などが期待できるようなのだが、頼んだぜ……!

今にも演奏を開始しそうなレインと共に、俺達は階段を下った。


昨夜部屋干しした学校の制服。

ホワイトロックの着ている藍色の鎧に比べて防御性能など無いに等しいのも確かだ。

金儲けの方法があれば是非実践し、鎧を手に入れたいものだった。

そうでないと、本当に死ぬ可能性すらある。

これから対峙するスラム街の敵ですら、決して油断ならないのだ。

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