いつかの少年
お約束、ご都合的なヒーローモノです。所々パクリ感が滲み出てたりするかもですが読んで貰えたらこれ幸い。
今回は思い出話。
-社長室
「はい、今回の報酬よ」"まどか"にご苦労様といった感じの顔で紙袋を渡された。
「まいど」
受け取った紙袋には札束
その額およそ"200万"。
「いつもご苦労様。ちょっとだけ色をつけておいたわ。」
これは俺に支払われる給料みたいなもんだ。
金額は一月に"オーガ"と戦った回数で決めているらしい。確かに諭吉さんが四人ほどあぶれてる。
「今回はどうするの?」
「あぁ~‥200で」
俺は質問に応える。
「了解、そう手配しておくわね」
俺には親がいない。孤児院育ちだ。
"オーガ"と戦うことで報酬を受け取り、ちょいと返金する。
孤児院に"西条財閥"から寄付って形で金を送ってもらっている。
「‥んじゃ、ちょいと出かけてくる。何かあったら呼んでくれぃ」
「わかったわ」
俺は諭吉さん四人を財布にしまい、社長室を後にする。
-永谷園
ここは俺が18まで住んでいた孤児院だ。暇が出来るとたまに顔を出す。
「あ~!昇兄ちゃんだ~。」
サッカーやってたガキんちょ共が俺に群がってきた。
「よ~、お前ら元気だったか?」
近寄って来た男の子の頭を撫でながら言う。
「園長先生!昇兄ちゃんが来たよ!」
女の子に手を引かれ園長先生-"永谷 道子がやってきた。
「園長、ご無沙汰です」
少しかしこまりながら挨拶をする。
「まぁまぁ、昇くんお帰りなさい」
園長は優しい笑顔で迎えてくれた。
「最近どうなの?お仕事は順位?」
「あ~…はい、まぁぼちぼちっスね」
何かしら仕事に就いていることにしておく。
間違っても人喰いの化け物と戦って報酬貰ってるなんて言えない。後ろめたい気もするけど仕方ないよね?
(仕方ないね)
頭に某妖精の三信が浮かんだとこで
直ぐに本来の目的を思い出す。
「園長、今日はアレを掘り起こしに来たんです」
「…あぁ!アレね!昔、埋めた!」"埋めた"だけだと変な誤解を生みそうだけど確かに埋めたんだ。
"タイムカプセル"
園内のサッカーグランドその隅っこに。
スコップを借りて園長の許可も下りた。
頭にタオルを巻き、軍手をつけた。
「さて、と」
おもむろに堀はじめる。
…数時間後
「ふぅ~…やっと出てきたか」
思いのほか苦戦してしまった。
あたりは夕暮れ時になってた。
土の中から出てきた四角い菓子箱の蓋を開ける。
中に入ってたのは盾型の黒いペンダント。
ー子供の頃、俺はいつも1人だった
自分の殻にこもり誰とも関わらず、
周りからも何を考えてるかわからない奴と気持ち悪がられ、
それすらも慣れてしまっていた。
中学に上がり一人の少年と出会った。
"月島 夕也"
不良から優等生問わず人気者。
悪い表現をすればお調子者の八方美人
俺はそう思っていた。
ある日、一人校舎の屋上で昼飯を食っていたら
他校の生徒が数人殴り込みをかけて来た。
あれだけ騒ぎ目立っているのに
教師は何もしない…どうかと思う。
近所でも有名なワル共が
なぜか俺の名を叫びながら校舎へ突入して来た。
「テメーだな!昨日うちのモン可愛がってくれた糞ったれは!あぁん!」
屋上で俺を発見するなり1人ががなる。
身に覚えがないのでシカトする。
「すかしてんじゃねーぞ?」
一人が俺の胸ぐらにつかみかかる。
流石にイラついてすかさず殴った‥無言で。
「テメー!」
ワル共は一斉に襲いかかって来た。
…殴り、蹴り、殴られ、蹴られ、乱闘、
そこに一人見た顔が飛び込んで来た。
「うぉりゃああ!」"夕也"だった。
数分後、ワル共は捨て台詞を吐き去っていった。
「糞ったれ!覚えてやがれ!」
何人か返り討ちにした…が、
6対2だったせいか俺も夕也もボロボロにやられてた。
「…お前ってなかなか強いんだな」
夕也は大の字に転がりながら言った。
「…そんなことないよ」
なぜだろう?
自分でも驚くほど自然に応えた。
「…‥ぷっ、はは、はははは!」
「…?」
突然楽しげに笑いだした夕也を見て少し首を傾げた。
「っ…いや、はじめて声聴いたなって‥はははは!」
「…ぷっ、ははははは!!確かにそうだな、しかもこの状況で‥ははは!」
不思議だった。
顔が痛いハズなのにおかしくてたまらなかった。
夕也とはそれ以来ずっと連んでた。
アイツは憧れだった。
アイツのおかげで俺は変われた。
このペンダントは昔アイツが俺の誕生日にくれたもの。
今じゃ唯一の形見。
掘り起こした土を元に戻し終えると
あたりは夜になっていた。
「ごちそうさまでした!」
園長の好意で夕飯をいただいた。
「昇くん、もしよかったら今晩泊まっていかない?子供達も喜ぶわ」
「ん~…そうですね~」どうしようか考えはじめた刹那、携帯が鳴る。
「昇!緊急招集よ!×××町付近に向かって!」
まどかがキリッとした声で場所を指定きた。
「わかった、すぐ向かう」
「お仕事?」
園長が少し寂しげに聞いてくる。
「はい、スイマセン」
「あ、いいのよ気にしないで。それよりお仕事頑張ってね」
園長は優しい笑顔でそう言ってくれた。
「園長、ありがとう」
俺は愛車にまたがり駆け出す。
「ガン!グリ!フォン!」
今夜は何時になくやる気だ。
不謹慎かもしれないけどあの日の乱闘の気分だ。
俺は夜の町に溶けていく。
あざっ~す(・ω・)/