言い訳が苦しい娘
この話は、なんとなく納得いかないので、
大まかな流れはそのままに、後日修正予定です。
診断結果の書類と共に知らされた、雄一君の血液型。
春菜と雄一君は、共にA型。生まれる子供はA型かO型のみ。
しかし、花蓮はAB型。血液検査が誤りでもしない限りあり得ない。
一つだけ可能性は・・・ある。
しかしそれは・・・
「それが何だって言うのよ!」
まだ理解していない娘が激昂を飛ばす。
既に妻の娘を見る目には、失望の色に染まっている。
「両親がAだからって、Bが産まれないのが絶対って誰が証明したのよ!」
よく見れば、娘の顔色には焦りが見えていた。
娘も理解しているんだ、ただ、断罪から逃れる為に、支離滅裂な事を口走っているたけだ。
そんな娘の言い分を・・・
「まぁ、そうですね」
認めちゃうの?
娘を含め、皆が驚愕の眼差しで美香さんを見る。
あぁ、雄一君とあちらのお母さんだけは冷静でいるな?あ、孫娘もだ。
どういうつもりだろう?
「十年前の医学の常識が、今の非常識、というのもありますし。
80億人の全人口を調査すれば、類似した例がでてもおかしくはありませんね」
「そ、そうよ!そうなのよ!だから・・・」
「でも!」
美香さんの強めの口調に、娘は言葉を止めた。
美香さんはそのまま、2枚目の書類を出した。
「雄一さんと、花蓮ちゃんとの、DNA鑑定書です」
0%の文字がはっきりと見えた。
血液型で既に解ってはいたものの、それでも現実という名のスマッシュブローを脳幹に打たれた気分だ。
娘は15年前に……
「待ってよ!それだって100パーセント絶対じゃないでしょ!
その結果が絶対、絶対!正しいって言えるの!?」
またも娘の悪足搔きが続く。
私も妻も、二重の意味で赤っ恥だ。
いっそ、娘の息の根を止めて……
「世の中に『絶対』はあり得ない事は、否定はしません。
DNA鑑定もまた然り、です」
美香さん?
いくら何でも、娘の言い分が苦し過ぎると小学生でも解りますよ?
「ですので、こちらも含めて、否定なさればいいでしょう」
そして美香さんが出したのは……
雄一君が先天性の無精子症の診断書。
「花蓮ちゃんの生誕後をも含め、25年間出来なかったと聞いて、雄一さんに検査を受けていただきました」
まさか、出来なかった原因は雄一君の方にあったとは、考えもしなかった……。
「勿論、それでも『花蓮ちゃんが雄一さんの子供』である可能性は、有るか無いかと言われれば、『ゼロでは無い』と言えますが。
ですが、それを裁判で言えますか?」