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蹴球の皇帝  作者: 86
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第2話 クラスメイト

 入学式が終わり俺たちは元のクラスへと戻ってきた。


 にしても校長先生の話が長すぎて退屈で寝てしまいそうになってしまった。


 今日は授業をやる予定が無い事をパンフレットを見て知っていたのでもう帰れるのかと思っていたところ担任が余計な事を言い始めた。


「みんなはまだ緊張してるだろうから自己紹介しよっか!そしたらすぐ仲良くなれるだろうし!名前と趣味だけでもいいから出席番号1番の子からお願いできる?」


 そして唐突に始まった自己紹介大会。


 俺は面倒臭すぎてため息を吐いてから他の人の自己紹介を聞き流そうとしたが、いきなりの歓声で目を向けざるを得ない。


 目を向けた先には超がつくほどの美少女がいた。


 金に染まった髪の毛はポニーテールに結んであり、目はパッチリと開いている。そして何よりもスタイルがいい。見た目の印象だけ言えば陽キャだ。それも俺の比較的苦手な部類に入るギャルに当てはまる。


 これは男どもが喜ぶのも無理はない。


 高校生活を平和に過ごしたい俺からしたら関わる事がないだろう人種だ。


 しかしどこかで見たような気がしなくもない。


「えっと、あたしの名前は天城千秋(あまぎちあき)。趣味とかはあんまないけど、ネイルしたりプリクラ撮ったりする事は結構好きかも。あと中学の時から読モやったりもしてたな〜。とりまみんなと仲良くしたいし、いっぱい遊びに誘ってね!て事でよろしく!!」


 元気のいい自己紹介である。


 それに妹の天音が見てた雑誌で見た事があるのを思い出した。


 まぁ読モやってる美少女が同じクラスだと男子達が浮き足立つのも理解はできる。


 俺はそれからは自分の自己紹介の番が来るまで窓の外を眺めながらやり過ごす事にした。


 自己紹介を聞き流していたがいかにも陽キャっぽい奴といかにも陰キャっぽい奴というのは声を聞くだけで大体分かるもんだ。


 そして遂に俺の番がやってくる。


 俺はとりあえず立ち上がり自分の名前と趣味でスポーツ観戦してる事を伝えるとすぐ着席する。


 パチパチとまばらな拍手を受けるがクラスメイト達は俺から興味が失せたようにすぐに次の人に目を向ける。


 しばらくして全員分の自己紹介が終わると先生が「それじゃあ今日はここまで。気をつけて帰るんだよ」とだけ言い残して教室を出て行った。


 それを見届けてから1人の男子が立ち上がり、周りを見渡しながら大声を上げる。


「んじゃみんな同じクラスになったよしみとしてカラオケ行こうぜ!」


 確か名前は、荻野祐希(おぎのゆうき)だった気がする。さっきの自己紹介で確実に陽キャだろうなと思った人間の1人だ。


 その声を聞いて何人も賛成の声を上げるが基本的に陽キャの連中だ。


 逆に陰キャと思われる人種は皆、そそくさと荷物をまとめて教室の外へと出て行っている。


 ちなみに俺も荷物をまとめて教室の外へと出たクチだ。


 どうやら俺は陰キャよりだったらしい。


 それから俺は校舎の外へと出て帰ろうとするが、とある様子が飛び込んでくる。


 それは少人数によるサッカー部の練習の様子だ。


 とてもサッカー部とは思えないレベルで人数が少ない。


 しかし何故か目を離す事ができなかった。俺はまだ未練があるのかもしれない。


 10分くらい経った頃だろうか。


 さっきから周りに指示を飛ばしていたキャプテンらしき人と目が合った。


 俺はその真っ直ぐとした視線を受けて少し気恥ずかしくなって逃げるように帰路につく事にした。

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