超長いタイトルがまるで本文のようなので短いタイトルにする、「異世界転生にトラックを使うのは反対だ!トラックは悪くない」
物語上の設定として主人公の所属する国の場合の貴族の慣例として 当主が伯爵の場合 後継子は子爵相当の位を持つが その他の子は男爵の位とみなされる
権限は無く、みなされるだけだが 他領の当主男爵と相まみえた場合一段格下とされる、当主が準男爵の場合は準男爵より格上
不幸続きのおっさんが、さらなる不幸に見舞われるところから始まるとあるおっさんの起死回生の物語である、
ところで皆さんは原木運搬車というものをご存じだろうか、
太い丸太を運搬する大型トラックのことであるが このトラックはめったに都市部には現れない、なぜならば丸太など都市には全く需要がないから
だが件のトレーラートラックはなぜか都市部を走っていた、というより暴走しているのだ、
何となれば後方をパトカーが数十台がサイレンを盛大に鳴らしながら追走していた、
先回りするでもなくなんとなく及び腰に見えなくもないのだがまあ無理もないか
原木を満載したトラックが道路を右に左に蛇行しながら暴走してるのだから 追い越すどころか
先回りすることすら出来はしないだろう、
どうしてこうなったかといえば、時を二時間ほど戻すことを許して欲しい
とある地方都市の高速道路のパーキングに車体を休めていた原木運搬車、
ちょっと生理現象で我慢の限界を超えそうになった運転手エンジンも止めずドアも開けっ放しで
トイレに駆け込んだ隙にその原木運搬車を盗まれてしまったのだ、
その間にたまたまその場所に来たイカレ野郎にトラックをかっぱらわれた、
この男、他のトラックに同乗させてもらっていたのだが同乗させてくれた運転手と揉めて叩き下ろされるという実に不愉快な目にあってぶちぎれて、そのエンジンかけっぱなしの原木運搬車を盗んで目的地を目指したが、すぐさまに通報されて追跡されて段々と都市部近くに、料金所を無理やり通過して下道でだんだん追い詰められてから更に暴走中という次第、
そのことはいったんおいて さて、主人公たる人物を紹介しよう
鈴木 章 58歳 大手自動車部品会社の下請けの下請け、まあ孫請けってやつ
そこでプレス工をしている、まあ鉄板を金型で打ち抜くと言えば早いだろう
午後五時に仕事が終わるはずなんだが、小さな会社で、まあその日も残業があった。
小さな会社だと残業は喜ぶべきことなんだよね
彼はその日は11時に残業が終わり汚れた作業服をクリーニングボックスに叩きこんで
曲がって蓋の閉まらないロッカーから通勤で着ているいるジャージに着替える
くたびれた格好はますますくたびれて行く、
タイムカードを押して工場の電源を落とし施錠を確認してからひとりごちる「さて 帰るか」
ママチャリを押して工場の鉄の門扉を閉じて施錠を済ませると
やおらママチャリに乗り込みペダルをこぐ、
ここからアパートまでチャリで半時間、途中でコンビニに寄って弁当と明日の朝食の
サンドイッチと牛乳を買って足取り重くママチャリは進む
「夜はライトの分重くなるんだよなあ、アシスト付が欲しいな」
「それにしてもパトカーのサイレンか、うるせえな」
独り言が多いやつである
彼、鈴木章が信号で止まる、いつもこんな時間だと無視しちゃうんだが
警察がいっぱい来そうだし、止まったのだろう、この判断が彼の運命の歯車を狂わせた、
前方に見えてきた大型車のライト、光の奔流のようなパトライト
が彼を照らし出し、サイレンが耳朶を叩く
目の前に手をかざし前方を注視する鈴木章、
だがトラックは100メートルほど先にある一つ向こうの信号機と電柱に大音響とともにぶち当たって
それをなぎ倒し運転席を原木と鉄柱に挟まれ運転手は即死、
さらに対向車に突っ込むトラック
対向車の乗用車には回転寿司から帰宅するサラリーマン一家5人が乗っていた
その他にも信号待ちの車が・・・・・・・・
誰一人無事では済まなかった・・・・
ジャックナイフから横転、原木運搬車は路上に真横になってバウンド
荷台から解放された原木の群れは勢いづいて
まるで津波のように棒立ちの彼を飲み込んで、さらに信号傍の会社のビルの中に
割りばしの束のように突っ込んでいく、運搬車と原木は建物と路上の車を巻き込みながら
200メートルも進んでやっと止まった、
パトカーは回転灯を点滅させながら急停車し警察官がバラバラと降りてくる、
ここで彼、鈴木 章の薄幸な人生は終焉を迎えた、
彼の遺体の一部が見つかったのは翌朝のことだった、 遺体だったものと言っていいと思う
これほど徹底的に損傷した遺体は911以来のことだろう、
この事故?での死者は18名 重軽傷者33名
車の中で災難にあった人の状態はまあ言うまい
警察が救急車やら応援を呼んで事故対応を始めたころにどことも言えない、うすぼんやりとした空間におかれた畳の上で鈴木章は覚醒した。
「? 知らないてん、いや天井が無いな?どこだここは、あれは何だったんだ、」
「聴くがよい、説明しよう」「お~~びっくりした~」
「お前は事故に巻き込まれて死んだ」 「やっぱり、あれは死ぬな」
「というよりなんで俺ここで生きてるんだ?あんた誰?顔がないけどどうやって喋ってるの?」
「我はお前たち人間が神だとか仏だとか言う存在だ」
「俺神も仏も信じてないし、」
「まあそれは良いとするが、 お前生き返りたいか?」
「へ? 生き返れるの、俺の体たぶんめちゃくちゃだろう?俺を生き返らせる訳は? ありがたいことだが」
「そうだな、我が弟子、見習い神の愚かさが招いた事、お前はもっと幸せに生活するはずだったが
我が弟子がいたずら心を起こしてお前の幸運をマイナス補正してしまった。この度ログを調べたところお前が失恋を繰り返しながらも何とか一人の女性と結婚したが
その女性が病気になり、なんとか快癒したがお前たちの生活はさらに悪化していき、彼女は耐え切れず
お前を捨てて男を作って逃げてしまったな」
「ああ、あの女のことは未練はあったんだが今は思い出したくもない」
「彼女とお前は添い遂げられるはずだったがこれも弟子のしたことだ」
「お前の両親がお前を捨てて失踪したのも、孤児院に拾われたが虐待を受けたのも
いじめを受けながら何とか中学を終えられ、今の会社の社長に拾われたが
やはりろくなことはなかっただろう?フォークリフトにつぶされかけたのも
落ちてきた天井クレーンフックに右肩を砕かれたのも、そこで入院した手術で医療ミスがあったな
「ああ 体内にガーゼを忘れやがった、壊疽を起こして死にかけた、そのミスの示談金で
少し助かったと言えなくもないけど」
「去年、プレス機で指を失ったのも我が弟子の仕業だった。」
「やたら腰が痛いのも?」「そうだ、それはすい臓がん末期だからだ」
「ひどいな、その馬鹿弟子はどうなった?」
「暗黒空間に閉じ込めている、」
「俺に殴らせてくれないか、死ぬまで殴ってやりたい」
「罰はこっちにやらせてくれ、腐っても神だしな
してその償いをしたい」
「そっか 殴れないのか、残念だが じゃあいいかぁ
きつい処罰を与えてくれ、地球滅亡までマントルにでも浸けておいてくれ」
「まあそれよりはかなりきつい罰だ、最後は消滅させる」
「わかった、しょうがねえが任せる」
「お前が望むなら新しい体を与え生き返られるが」
「ほぉ、体を与えてくれるって どんな体でも良いのかな?」
「良い」「希望を云っても?」「良いと言っている、」「ちょっと考えてもいいですか」
「良い」 3時間ほど考えて
「まず若い男で、生き返る世界での容姿は良い方3パーセントに入れて
年齢は やっと大人になれる歳、頭が良くて一度見たり聞いたりしたことはすべて覚えられる
当然健康であり怪我もしない病気にもかからない、25歳を超えたら歳を取りにくくして
音感も絶対音感で戦闘技術は見たことのある戦技はすべてできて
強さは人間では最高に、できればどんな種族よりも強くしてくれ、
どんな世界かわからないしな 保険だよ、それから」
「まだあるのか?」 「当然です」
「今回の事故の被害者にも何らかの救済を、それは絶対だ」
「ほお、そこに気がつくか」「当たり前だ」
「わかった手厚く保障しよう」
「それと髪の毛の色、 眼の色 肌の色は両親とその先祖からで、黒目黒髪は迫害されるというのがラノベの定番だ」
「さらに言えば生まれ変わりか何かは知らないけど、育つ環境も選びたいのだが」
「あきれた強欲だな」「そんなことはないさ原因を思えばね、今までがひどすぎたからな」 「うむ、良いだろう」
では、 資産階級の上位 貴族なら大きな国の王とかの国のトップの覚えめでたき
有力な侯爵か伯爵か辺境伯、そして気楽な三男以降でお願いします。」
「商人なら国で一番の大商人で貴族位持ち」
「もうよかろう?」 「いやもう少し、行く世界には魔法はあるのか」
「魔法とな、そんな世界が希望か? あるにはあるが 使える者はわずかだぞ」
「あるのか、ならば全属性最強で 裏があるならそれも使えるように頼みます、神様」
「急にへりくだりおって」
「そこはやっぱり楽しく暮らしたいじゃないですか」
「もういいだろう、他の神たちにもう良かろうとの声が来た」
「なら仕方がないですね、しょぼいけどこれでなんとか暮らします」
「何を言うか、神もうらやむような力を得ておいて」
「今から希望ですが転生でお願いします、記憶が目覚めるのは5歳の誕生日の前日で」
「この細かさはお前の来たところのラノベとかの影響か?」
「やめてください、俺の黒歴史を暴くのは」
「・・・では送るぞ思い出したら自分自身を鑑定してみることだな」
「ありがとうございます、ではお願いします。」
=========== 転生 =============
章自身は胎内にいた記憶はないのだが出生の瞬間は後に思い出す
声が出たのだろう思いっきりイキりちらした気がする
何やら布で包まれ耳を塞がれ生暖かい液体?に体が沈められる
こうして彼、鈴木章の新しい人生がはじめられた、
ペリシャ伯爵家三男、クロード・ザロメンドとして
その後の俺クロードは寝て起きておっぱい飲んで
また寝て うんこして泣いて きれいにしてもらってまた寝て
すくすくと成長した、聴いた言葉もすぐに覚えた
意味はさっぱりわからなかったが音の連なりとして記憶できた、
そうそう! この間歌を聞いた、声が高くなったり低くなったり
聴いていて心地よかったので直ぐに眠ってしまった・・・
そうして俺はハイハイから寝てる場所でつかまり立ちができた、
時間の観念などは持ち得なかったので気がついたら母親 乳兄弟、乳母 メイド 父親 長兄 次兄 長
女が見分けられるようになった、
母親はママ 名は知らなかった、 名乗らないしね みんなには奥様と呼ばれてたし
乳兄弟のアッシード 乳母のケィト、 御付きメイドのエリナ、父親はエドとママには呼ばれていた
ほかのみんなはオヤカタサマ?と呼んでいた、
父親に抱かれた記憶は二度ほどあった、鼻の下に変な毛があった
長兄のグラッス、次兄のザッシュ、姉のメリッサが俺のところで絵本を読んでくれるようになって
急速に言葉と知識が増えていく、俺は絵本を読んでくれるようにせがんだ、
姉のメリッサの読み方はぎこちないが懸命に読んでくれた、
灰被り姫とかの話で兄弟 姉妹を理解できたし話の中の欲深さもわかった、
メリッサの困ったところはやたら頬擦りすることだ、時々乳母のケイトに見つかっては
叱られてしょんぼりするところはなんだか可愛いので許すことにする、
長兄のグラッスは「僕のことは兄上と呼ぶんだよ、わかった?クロード」
「うん、 グラ兄上」「兄上だけでいいんだよ、グラはいらない」
「わかりました 兄上」「クロードはおりこうさんだなあ 大きくなったらクロードの
兄上の僕を助けるんだよ」「助けるって?」「僕の言うことを聞くっていうこと」
そこで次兄のザッシュが口をはさむ「兄上を助けるのは僕の役目だって父上が
おっしゃってたよ、だからクロードはいっぱい勉強して王様を助ける役目に就くって」
「だから、その時までの話だよザッシュ」「わかった」
こうして時が過ぎ明日が僕の5歳の誕生日、初めての誕生日のお祝い
どうやら一般的には5歳から誕生日を祝うらしい、無事に誕生日を迎えられるのは半分くらいらしい、
病気や事故、怪我が原因で早世するらしい
誕生日には伯爵家の中にある礼拝堂に司教様というエケベリア教の偉い人を
呼んで僕にギフトとやらを授けてもらい併せてスキルやらそんなのを見てくれるらしい
長兄のグラッスは馬上槍と長剣のスキルがありギフトは秘密という
次兄のザッシュもスキルは同じでやはりギフトはわからない
どうもギフトというのは 自分自身と教会、王宮、両親まで知らせられるらしい
何かまずいような、いやな予感がする、不安な日中が過ぎ家族で晩餐を終えて
入浴して明日に備えて少し早くベットに入れられた、精神的につかれていたのですぐに眠った
窓のカーテンが少し空いていてそこから月の光が机の上の聖書のページを照らしていた
あ
頭が痛い、 頭が痛い、 痛い 痛い
アダマガイダイ!!! あまりの苦しさにからだが
エビぞりになってしまい、悲鳴さえ上げることができなかった、そこまでは覚えていた、
俺が目覚めたのは 誕生日を三日過ぎていた、
ギフトを授ける聖別儀式はいったん中断されたが別に誕生日でも無くても問題はないそうだ
砂糖と塩少し混ぜた水を飲まされた、うまかった 人生で一番の飲み物だと思ったよ
前世の記憶がインストールされていた、
糞つまらない人生、工場のプレス工としての生活、
一緒に暮らしたことのある女のこと、 諸々のつまらない人生と
どうでもいいような知識、それが終わった時の神とやらのやり取り
そういえば この時が来たら自分自身を鑑定しろとか言ってたな
「鑑定、対象は自分自身 クロード」
☆クロード・ザロメンド ペリシャ伯爵家三男、 男 5歳
状態:健康 身長100セントメルト 体重 25グリ
表示順不同
魔力:∞ 知力:250
戦闘力1000 指揮能力1000 策謀1000 天恵1000
絶対音感 絶対記憶 状態異常無効 コピーアンドペースト
加護: 戦の神 歌の神 愛の神 詩の神 命の神 楽器の神 破壊神
白魔法全属性上級 黒魔法全属性上級 無属性魔法 理外魔法
魔法は上級!俺の望んだ以上になっている、神様ありがとうございます。
俺は心からの感謝を捧げた、
そして来るべきギフトが授けられる聖別の儀が三日後行われると父上から告げられた
「三日後お前の聖別の儀を当家礼拝堂にて執り行う、支障なきよう準備せよ」
「うん あ はい!」
「ゆっくり休むが良い」「ありがとうございます 父上」
「そのように丁重に挨拶をせぬでよいぞ、 ふむ誰に習った?」
「はい メイドの・・」「エリナは貴族の礼など知らぬが、まあ良い 休め」
父上に言われ俺はベッドに入る、父上を鑑定する
国上位伯爵
ペリシャ伯爵家当主 なんとか ザロメンド
エリナが水差しを差し出してくれて
俺はありがたく飲んで枕に体を預け寝たふりをする
エリナが部屋から下がったのを確認してから 俺はさっそく諸々を偽装する
☆クロード・ザロメンド
ペリシャ伯爵家三男、 男 5歳
状態:健康 身長100セントメルト 体重 25グリ
魔力:∞ 知力:250
↓ ↓
魔力:157 知力:134
戦闘力1000 指揮能力1000 策謀1000 天恵1000
↓ ↓ ↓ ↓
戦闘力33 指揮能力75 策謀54 天恵33
絶対音感 絶対記憶 状態異常無効 コピーアンドペースト
↓ ↓ ↓ ↓
絶対音感
加護: 戦の神 歌の神 舞の神 詩の神 命の神 楽器の神 破壊神
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
加護: 歌の神 舞の神 楽器の神
魔法:白魔法全属性上級 黒魔法全属性上級 無属性魔法 理外魔法
↓ ↓ ↓ ↓
魔法: 土魔法上級
こんなものか? 兄上たちを鑑定した時の感じに近くして置いた、兄上たちには
やや劣るレベルで、ただ加護は 歌の神 舞の神 楽器の神だけはそのままにした
そして、平民の乳兄弟のアッシードにこっそりコピーしておいたのは舞の神の加護
歌の神の加護 平民の彼の聖別の儀は数十人がまとめて行われるため
今から30日後、領都の教会で華々しくで行われるということらしい
その時に彼に加護が現れる、平民の彼に加護が2つ もしくは新たに授けられるかもしれないから
かなりの確率で3つの加護
国全体でさえ 二人といない 現王と第二王子だ、 まだ名は知らない
そのうちに知るだろう、
アッシードは俺の計画には欠かせない、 これで仕込みの第一段階を終わった。
そしてとうとう聖別の儀、 司教様が父伯爵の前に立ち何か話している
金箔を施した革ひもが付いた革袋、お布施というものらしい
それに小さな革袋、筒になっていて金貨が整然と包まれている
こっちは司教様個人への金子らしい、聖別前に渡すのが慣習らしい
加護が得られないと、えてして渡したくなくなるからこうなったらしい
何とも人間的な話だ、
祭壇前に特別にしつらえた仮の祭壇 聖別の儀式専用
司教様が金の鎖でつるされた金の甕から聖水を指に少しつけて
俺の頭にピッピと指をはじく、そういえなこんなのがキリスト教に無かったかな
入信するときだったっけ?
益体もないことを考えていたら 頭の中に声がした
「鈴木章だった魂を持つクロードよ、息災で何より、無事隠蔽したようだな
一安心である、これよりお前に加護を与える、地球の最上神 ゼウスの加護だ
謹んで受けよ、ただしこの世界にはいない神なのでエケベリア紳の神と再契約となり
エケベリア神の加護とする」「謹んでお受けいたします」「今後も息災でな ああ、まああれだ」
と苦笑いをして声は消えた、
司教様も父上母上 兄上たち、姉上、御付きの尼さんと牧師がひざまずいて
祭壇に向かって祈っていた、
父上と母上は涙を流していた、 如何した? 何があった?
父上たちの涙のわけも知らず、問われて 「畏れ多くもエケベリア神の加護を授かりました」
「なんと!・・・・・・前代未聞のことだが何ともありがたいことだ、」
「他にも・・」 「なに? 他にもだと?」
「はい、 歌の神 舞の神 楽器の神のご加護を賜りました、」「なんと!主神のほかに3紳もの加護を!
こうしては居られない!直ちに国王陛下と 教国法王猊下に報告だ、
国王陛下に謁見を求める使者を遣わす、法王猊下には陛下からにて願う」
「司教殿には別途で報告もござろうから何分よしなに」
「わかりました 伯爵閣下におかれましてはおめでとうございます。 」
「祝意、感謝申し上げます」
こうして僕の聖別の儀は終わった、
伯爵邸に戻ってから僕は父上母上だけにお話があると伝えて
晩餐の後父上の執務室に呼ばれて入る、執務机から立ち上がった父上が
母上と並んでソファーに掛ける、僕も座るように促されて
「父上、母上実を申しますと 聖別の儀で 神託がありました。」
「やはり、あの時の光は御聖光だったんだな」母上は黙って頷かれた
内容は、乳兄弟のアッシードの聖別の儀が終わったならば
二人一緒に王宮に呼ばれるだろう、とのことでございます」
「わかった、それにしてもクロードよ 話し方がずいぶん大人びているな?」
「すみません、加護の影響かと、」と慌ててごまかす
「ともあれ王宮に呼ばれるとなるとアシッドと二人
マナーやダンスの特訓だな、いや舞の加護があるなら マナーだな」と父上
「エド、マナーの心当たりがあるわ、紋章官のサマー男爵の御夫人はいかが?」
「夫人は確か子爵家の出だったな、上位貴族の子弟の教育に明るいと聞いた、確か名は」
「名はエンマ・ポーレットといったはずです」
「おお そうそう違いない」父上はポンと手を打つ
「アッシードと二人聖別の儀までマナー特訓だな、明日から始めたいが」
「男爵夫人に頼むとして承諾は得られるかしら」
「そうだな、子爵への陞爵を陛下に上奏するというのはどうだ、もう頃合いだろう?」
「そうね推薦者が格が足りなくてできなかったのよね、この件はわたくしにお任せを」
「よろしく」と言いつつ父上は母上の手をそっと握る
「これでいいかな?クロード」「何もかもありがとうございます」
「直ぐ家庭教師を連れてくるから待っててね クロード、明日アッシードを出仕させて、
そうねえエド、 アッシードはクロード直属の部下ではどうかしら 従士では?」
「王宮に呼ばれるんだし 伯爵家の直属騎士の見習い士爵で、王宮に入った時平民では支障が出かねないな」
「ではエドが明日見習い騎士爵の叙爵式を そうだ、うむ家令のセドリックも
準男爵に叙爵する、遅きに失した感があるな。」
我が伯爵家には士爵10名 準男爵1名までの任命権を持っている
子飼いの直属に限られ王家の追認が必要だが100%認められるらしい、
なんとなくだが俺の江戸時代知識でいうところの陪臣ってやつか
将軍直臣で無く部下の部下、 それはともかく
そのあと、家族全員が揃い家令のセドリックが呼ばれた、
我が家の宝剣アマンダがセドリックの背中に軽く当てられる、
「家令 セドリック、今よりお前は我が領のハバス村と川下村を総べるものとする、
ハバス準男爵セドリック 我が家の宝剣アマンダを与える、領地屋敷と王都屋敷は我が伯爵家が建設するものとする。
7代にわたり我が伯爵家、前身である子爵家時代を含めよく務めてくれた、
初代の陞爵前の随身としてそなたの先祖たちに満分の1でも報えたらばうれしく思う」
「なおこの件は王家に報告承認をもらう、」
父上は俯いたまま背中を震わせているセドリックの右肩に宝剣アマンダを二度当ててからセドリックの帯剣の尾錠に取り付け、家令の襟章をそっと外す、
セドリックは嗚咽をこらえるのに必死だ、
「王家から追叙爵の時は平然としているんだぞ セドリック、そんなに泣かれては困る」
「では、すまんが最初の仕事として 王宮への報告書の文面を考えてくれ、
クロードの加護の件、が第一、第二にサマー男爵の子爵位の件、セドリックの叙爵の件、
急ぐぞ、明朝日の出とともに
早馬を出すように、騎士副団長パメラと中尉のアマドルが正使と副使、護衛として
そうだな、経験を積ませる意味で少尉のマリラとケンドリックが良いだろう
ところでセドリック 家令の後任の人選を頼む、直ぐに辞令を書く、」
といった具合にあれよあれよという間に進んでいった。
ここ領都から王都まで早馬で10日はかかるだろう、
駅ごとに日に何度も馬を替え 10日も、
走りづめ、無事に着いてくれよと祈る、
副団長のパメラと少尉のマリラは女性だ、そしてアマドルとケンドリックは男性だが
少し小柄、早馬に乗る騎士としてはうってつけ、どんなに乗馬がうまかろうが
早馬は体重が第一 むろん乗馬スキルは必須だが、
そしてまだ薄暗い中、早馬は父上に見送られて勇躍掛け去った、 そしてそのあとも
何人かの使者らしき騎士が出ていくが
出立前になにやら母上に注意を受けている、 翌日
昼近くになって、庭で姉上と遊んでいると一台の馬車が車寄せに入ってきた
貴族のご婦人が降りられたのを見たので自室に向かった
召使がお母様の伝言を持ってきた、クロード様の先生がいらっしゃったから
客間までお越しくださいということらしい
「お母様、クロードです」「おはいりなさい」
「クロード、こちらはただいまより貴方のマナー、ダンス、楽器、歌などの先生になられる
サマー男爵夫人のエンマ・ポーレット様、貴方は敬意をこめてエンマ先生と呼ぶように」
そのタイミングで
トントンとドアが叩かれる「アッシードです、お呼びにより参上いたしました。」
「はいりなさい」
「アッシードこちらの御夫人はサマー男爵家ご夫人のエンマ様です、謹んで
エンマ様と呼ぶように わかりましたね」 「はい奥様、エンマ様、アッシードと申します。
「伯爵夫人、ご紹介感謝いたします、またこのたびのお話をいただき主人ともども
感謝に堪えません、」「いえいえ家庭教師をお受けいただいたこちらの方がありがたいですわ
これからもよろしくお付き合いくださいね、陛下から良い返事がいただけるものと
確信していますが・・」 男爵夫人、ハンカチで目じりをそっと拭く
「ではさっそく上位貴族、とりわけ王族に対する挨拶から、男性はこのようにいたします」
と言ってボウ・アンド・スクレープを見せてくれた、
そういえば前世でネットで調べたらこうだったなあ、
何か競馬の天皇賞でイタリアの騎手だったと思うけどこの人は
天皇陛下、皇后陛下に対しボウ・アンド・スクレープをして一躍有名になったっけ
女性の場合は違う形、カーテシーって言うんだったよね
ボウ・アンド・スクレープを何度か繰り返す、「クロード様は完璧ですね、
暇を見てやってみてください
家族の間でするのもいいかもしれません、アッシードは所作が固いから力を抜くように」
僕はアシッドに耳打ちする、「舞の神加護を」
アッシードはその知るはずのない言葉に驚愕の表情を隠せなかったが
気を取り直したか
舞のスキルを発動させてそれは見事なボウ・アンド・スクレープをした、
あらゆる動きはダンスに行きつく、これは俺の持論だ
格闘技さえ動きはダンスだ、 それはともかく 何度か反復してその日は終わった
アッシードはこの日から伯爵家の俺の従者扱いとなった、
まだ従者としての仕事は教わっていない、
男爵夫人は3日間我が伯爵邸で家庭教師をして、4日間を男爵邸に帰ってという
パターンで通ってくれる、剣技、体術は騎士団が教えてくれる、僕は殿様剣術に用はないので
「最初から普通に教えてください」師匠と騎士団長にお願いした、
五歳では普通は非力なので 素振りからだ、ふりおろし初日100回
あまりにも簡単だがセーブする必要がある 世界最強なんだから
実際訓練は必要はないがどのような剣技なのか興味があって騎士団の闘技場にいる
アッシードは、へばっている、 「アッシード、これも舞だよ」アッシードは意外そうな顔をする
体術だって舞なんだから、 舞のスキル? 加護を常時発動するようにアドバイスする」
「わかりましたクロード様」
そこからは動きが良くなった、ただスタミナは無い、これからの課題だろう
男爵夫人が再訪された、今日からはダンスの授業だ、
何も持たず両手を前に架空の女性をイメージしてしてステップから覚えていく、
舞の加護を発動させて二人とも一回で覚えた、
男女の役割を変えてアシッドと踊る、幼児体系なので優雅にはなれないが
可愛くなら踊れる、 この世界の定番ワルツを数曲 どうやらからだを密着させるダンスは
まだこの世界には広がっていないようだった、 おかげで楽だけどね、
そんなこんなであっという間にこなしてしまい
次は楽器という事になって、ハープシコード、ヴァイオリン、フルート、トランペットと進んでいったが
なんということもなく覚えてしまい 歌を習うことになった、
この世界の歌は割と多い、 民衆の間に広まった民謡を鮮麗にして貴族が唄ったり
吟遊詩人、楽団などもあり結構音楽を聞く文化も進んでいた、
僕らは楽器をこなしてしまったので何かを唄うように言われたのだが
僕がひそかに温めていたプランを実行することにした、
晩餐後に家族全員と家令を辞して準男爵家の当主となったセドリック卿
アッシードの母親で俺の乳母でもあるケィトとメイドのエリナを観客として迎えてくれるよう
両親に頼んだ、 俺たち二人はその夜、庭に出て屋敷から声が聞こえない距離をとって
俺がアシッドに歌を教えた、流石は歌の神スキルもち、一回聞いただけで
覚えてしまった、アッシードには絶対音感がないので主にピッチが揺れないように指摘するに
とどめておいた、
晩餐後の本番、踊りを習っている部屋、舞踏室で客席を並べてもらい
アッシードがヴァイオリンで先行する 俺がハープで主旋律を引き始める
地球の歌 この世界には無い歌、俺の記憶の中にある歌
You Raise Me Up
♪悲しみにシズむとき 苦しみにナヤむとき
♪私は立ち止まる 貴方が来てくれるまで
♪You Raise Me Up 険しい山も
♪You Raise Me Up 嵐の海も
僕らが歌い終えても拍手はない
あれ?この世界は拍手の習慣無かったっけ?
俺はとりあえずアッシードに目くばせをして次の歌を歌う、
カッチーノの Ave Maria この世界の主神であるエケベリア神の母という
聖書にはたった一行しか書かれていない、 聖母でしょう この人
なんで扱いが軽いんだよ とばかりに
マリアの名をマセィラと変えて唄う
唄い終えてから聖母をたたえる歌であると説明をした
そして三曲目は娘を嫁に出すことになったセドリックに捧げる歌
「私のお父さん」 地球では有名な プッチーニ作曲
ほぼ全部が女性の歌だがボーイソプラノなので問題ない、
歌詞は領内の商店街と橋に変えた、
これで俺とアッシードのコンサートは終わった、
≠============ 勅令 =============
我が家から使者が出発してから23日目の正午頃、
息も絶え絶えな使者達が帰ってきた、
様子を知りたくて見に行ったら セドリックとアッシードもいた
そしてなぜか父上が騎士副団長パメラと中尉のアマドルにひざまずいていた、
巻物には王家の紋章が見えている、
俺も慌ててひざまずく、
「勅令である、確認せよ」「間違いございません」
「勅令、ペリシャ伯爵家三男、クロード・ザロメンド、
ハバス準男爵セドリック・ハバス
騎士爵、アッシード、この三名は本勅令を受けたら可及的速やかに
王家に出頭すべし、 国王リチャード三世」
「慎みて拝命いたします」 父上が立ち上がり巻物を受け取る
「ご苦労だった、使者役の全員に10日の休暇と金貨10枚を各々与える
実家に帰るもよしどこかに行くもよし好きに過ごせ」
「ところでお前たちには王家からの報酬は当然出たであろうな」
それを聞いてパメラとアマドル互いの顔を見合わせ「それが
全く」 「何たることだ、良い、当家からさらに金貨十枚を出そう、王家には
少しお灸をすえねばなるまい、下がってよいぞ
はあ? 元の世界ではリチャード三世って確かイングランド王だが味方に裏切られて戦で殺された
人だったはず、歴史似てるのかな?
まあ別人なんだろうけど 縁起が悪いと考える、
しかしまあこの王様、我が家の使者を使うとはなんて野郎だ
使者の特権として帰りはのんびりできたはず、行きも帰りも重要な役目を・・・
きっと途中で金欠になったはずだ、父の怒りも理解できるが封建社会だし
貴族世界有る有るなんだろう
王都向けに翌日から馬車三台のキャラバンが組まれる、
俺とアッシードが同じ馬車、セドリックと 奥さんと嫁入り直前の娘さんで一台、
そういえばセドリックは王都知ってるけど夫人と令嬢は王都は初だね
いい経験になりそう、セドリック準男爵は王都邸持って無いから
購入することに為るのかな?なんとも物入りなことだが父が援助するだろう
予備車両兼食料など運搬でもう一台護衛は十人、
明日の出発に備えて天手古舞
俺はヴァイオリンと小型ハープ、フルートを積んだ
アッシードはヴァイオリン、マンドリン、そして隊列の指揮官は騎士団きっての猛者
ダイダグムー大尉、副団長を決める試合で
前日前祝いをして飲みすぎて試合に遅れたという逸話を持つ
その時から酒は断っているという、
一日目と二日目は何の問題もなく過ぎて
三日目 隣の領に入った、当主ではないので使者が挨拶するだけで通過できる
しかし、領主のエドモンド伯爵のたっての望みで領主の館に一泊が決まった
なんと、そこで歌を披露することになった、どうも教会経由でわれらの加護が漏れたらしい
エケベリア神の加護以外は隠すつもりもないけどね、
だから~ コンプライアンス どうなってるのこの世界は
アッシードと打ち合わせをして 一曲目はカッチーノのアベマリアという曲
主神の聖母様をたたえる歌という説明は欠かせない、
歌はこれだけにした、残りは楽器演奏で
ヴァイオリンでリベルタンゴ 次はチャルダッシュ
この曲は俺がハープ、アシッドは当然ヴァイオリンだ
ところでエドモンド伯爵には可愛いお嬢さんが居て目を輝かせてヴァイオリンを見ていた
この世界にはゆったりしたヴァイオリン曲は数々あれどチャルダッシュのような
テンポの速い曲はまだない、
前世はろくでもない人生だったが音楽は好きで安アパートでは寝るまで
youtubeで音楽を聞きまくっていた、当時はうろ覚えだったが転生して加護と
スキルを得てからは完全記憶が過去にさかのぼって仕事してくれて
完全な形で再現できる、クラシック、ボーカロイド、演歌、ロック、民謡、カントリー ケルト音楽
インド音楽 エトセトラ
まだまだあるが何でも聞いたバレーも、ミュージカルも観た、
暗いという歌手の歌も好きだったっけ、そうそう お嬢さんの話だった、
エドモンド伯爵令嬢 ノゾミ、エリカーシ 4歳、
うむ、実に可愛いのだが
なんせ前世が58歳だからなあ
それに何やらアシッドばかり見てるし、
ということで彼女にヴァイオリンを教えるように目くばせする、彼もなかなかだ
アッシードの3/4ヴァイオリンをプレゼントする、そして俺がチャルダッシュの楽譜を書き
あらましを説明してお開きにした、伯爵も令嬢があまりまとわりつかないよう
それとなくガードしてくれていた、いや 反対だな
俺たちから令嬢を護っていたw
そのあとはゆっくり入浴して居たらメイドのエリナを連れてこなかったことに気が付いた。
やばい、マジヤバイ 俺は慌てて
護衛の一人を領地に返して彼女を連れてくるように父上に頼んでもらうことにした
そうして
エドモンド伯爵邸を出て三日後 ほこりにまみれた馬車が一台追いついてきた、
使いにやった護衛の姿があるのでエリナが乗ってきたのだろう
並んだ馬車の窓からエリナが見える、「エリナごめんよ、お前が居ないと
色々不便だった、というかいないと困る、どさくさ紛れで誰もエリナのこと
言ってくれなかった、怒ってる?」
「メイドの私が怒るなど、とんでもないことでございます、」
「すまなかったね、とにかくよく来てくれた、こっちの馬車に移ってくれ」
疲れ切ったエリナをねぎらうため宿に泊まることにした一行だった、
「エリナ今夜は一人でゆっくり休んでくれ、これは命令だ」
そうしてエリナを個室に押し込む、エリナは食事もとらず眠ってしまった。
翌朝はエリナに起こされた、やっぱり彼女に起こされるのはいいな
とっても気分よく起きた、
朝食を食べ、宿に予約しておいた昼食をバスケットに詰めてもらう、
四台の馬車は護衛10人に囲まれて進む、
その後は王都に着くまでは別段いやな事も起こらず平穏に旅は続いて
領を出立してから30日めに王都に到着した、
王都の我が伯爵邸に馬車を入れる、先ぶれがあったので家人全員の出迎えを受ける、
護衛の解団式を行い、とりあえず王都邸の騎士団に組み入れておいて
帰領するときにある程度人員を入れ替えて再度結団するようだ、
まだ正午前なので、王宮に王都入りの報告の使者を送った。
王宮からの返事はすぐに来た、勅令に従い 四日後教会の8の鐘に
王宮謁見第一控えの間に出仕のこと、次いで案内に従い王宮謁見の間に
かしこまること
四日後と言えば 隣国とで繰り広げられた戦いの戦勝記念日、
両国に跨る国境線上のカザフ平原の戦いを勝利で飾ったと言えば
聞こえがいいが辛くも勝った戦いだった、最も隣国も勝ったと言っているらしいが
そんな日に王宮に呼ばれるとは、 なんかぶつけられた感があるな
おそらく王国各所から貴族の面々が集まっているはず、
ひょっとしたらそこで歌わされる? 戦勝記念日とはいえ確か慰霊も兼ねていると聞いた
喜びの歌と 慰霊の歌かな 慰霊の歌は前世の曲からチョイスするとしたら
大人向けで 「鶴」? それかタイタニックで有名な賛美歌から「主よ身許に近づかん」?
両方歌おう・・・・
戦場の平原に倒れた兵士たち、敵味方併せて2万数千人、敵方の奇襲から始まった戦闘は
奇襲をようやく撃退した昼頃にはいったん局所的な散発的な戦闘だけになり
一進一退を繰り返し、敵方の総大将、キルヒライス元帥が流矢に倒れ
夕刻になってようやく終わった、
松明を持った両軍の数個小隊が敵味方の死者、負傷者の収容と慈悲の刃を与える
という無惨な仕事をして・・・
我が国の貴族たちも当主を失った家、流石に後継者は自領に守り通したが
次男や三男などを失った家は多いのだ
歌うのは「鶴」にしようか、さほど悲痛な歌でもなし鎮魂歌として・・・・
「つる」
♪ 私は時折思います、
♪戦士たちは 血に染まり 野辺に斃れて
♪この地上にはもういない
♪その時、白い鶴に姿を変えて 空に帰ったのではないかと
♪遥な時の彼方から いま世の時へ
♪空を渡り、語りかけてくる だからきっと我らは
♪こんなにも哀しく 言葉なく 空を見上げるのだ ♪
我が国が勝利を主張するのは敵軍総大将、キルヒライス元帥を倒したから
その時点で我軍の勝利、
ただ元帥の命を奪った矢は味方の方から飛んできたらしい、犯人はわからずじまいだが
でも我軍にすれば敵軍の主張は知ったこっちゃないらしいのだが
鎮魂歌を奉ずるのは味方はもちろん敵兵とて人の子、俺が弔慰を込めたとて問題はあるまい、
まだ何も決まってもいないのにこんなことを考えて俺は苦笑せざるを得ない今は謁見に注力しよう
謁見用の正装の点検に余念のないエリナが部屋にやってきた。
======================謁見===========================
2025/3/16 編集 加筆 修正しました。
登場人物 順不同
鈴木 章 58歳 ペリシャ伯爵家三男、クロード・ザロメンド
騎士副団長パメラと中尉のアマドル 少尉のマリラとケンドリック
サマー男爵夫人エンマ・ポーレット
長兄のグラッス、次兄のザッシュ、姉のメリッサ この世界の主神エケベリア神様 聖母マセィラ
乳兄弟のアッシード 乳母のケィト メイドのエリナ ハバス準男爵セドリック
ダイダグムー大尉 エドモンド伯爵 エドモンド伯爵令嬢 ノゾミ、エリカーシ 4歳、
メイドのエリナ キルヒライス元帥(戦死)