リッチーって金持ちじゃないの…?
初投稿です。
人生とは、自分の想像する未来が起きる可能性は皆無に等しく、希望する未来などは決して起こり得ない。
これが40年間の人生で培ってきた私の人生論である。人によっては悲観的だ、大袈裟に言い過ぎ、人生楽しんでる?など思われる事だろう。実際に現在14歳の息子には酔ってしまった衝動で行った際に苦笑いをされながら、社畜とはこういうものなのか…と苦笑いされながら言われてしまった。
労働環境に不満があるわけでも無く、家庭問題がある訳ではないのだ。結婚し妻と息子と一緒に小さいながら家を建てる事が出来た私は日本以外の国々も視野に入れれば間違いなく平均よりも幸福度は高い筈であり、裕福であると言える。
そんな私が息子から苦笑いをされる人生論を持つのには訳がある。
生年月日は12月31日、誕生日プレゼントとクリスマス、お年玉が同じ日に渡される、それは纏めて渡されて幸せ!というものでは無くあくまで一回で終わる。むしろ幼い頃はサンタクロースは誕生日プレゼントを運んでくるお爺さんであると思っていたくらいだ。
学校に遅刻しそうだ!と急いでいても曲がり角でぶつかるのは美少女ではなくおっさんが運転するタクシーにぶつかり交通事故。これまでに通算4回の交通事故に遭っているが骨にヒビが入るくらいですんでいる。
公共交通機関を利用すれば3回に2回は目の前で行ってしまい、それを見越して急ぎ足や走ってばかりいると変人を見るような目で見られたものだ。
就職活動をした時は就職氷河期と呼ばれていた時期にあたり、数十社ほど面接を繰り返してようやく採用通知が来たのが「うち、ブラックだよ?」と面接官に言われた不動産会社と当時は同様にブラックと言われていた飲食関係の会社の2社のみであり、現在の勤め先である飲食関係の会社に就職したものの、サービス残業やパワハラなど当時は精神的にもだいぶ病んでいた。
この他にも旅行先のトラブルにより予定が全く出来ずただホテルに泊まる事など当たり前。役所では順番をスルーされて順番を待ち直す。引越し先での隣人の夜間の騒音、当人は芸術を理解されないと逆に文句を言ってきたが、見た目がビジュアル系バンドなのに手に持っていたのはソプラノリコーダーやトライアングルなど理解が追いつくものでは無かった。
色々愚痴の様に漏らしたが一言に纏めると「タイミングが悪い、間が悪い」と言える。それも極端に。
もはや前世というものがあるのなら、今世でのそういった類の運勢を全て使い果たした、むしろ使い過ぎて運勢の借金の様になり今世では返済しているのではなかろうか?というほどに悪い。
それでも私は現在の生活には慣れたのもあるし家庭もある。それなりに幸せであるのだ。
そんな間が悪い私の大事な息子がある日、ゲームを薦めてきた。息子曰く、よくあるRPGでモンスターとかの知識が無くても大丈夫!と強く勧めてきた。
普通なら反抗期の年代の息子が酔っていたとはいえ愚痴っていた父親の気晴らしになればと薦めてくれたのだ。すでにゲームをやるしか選択肢は無かった。
私には有名どころのスライムやドラゴンなんかは想像がつくが、息子が〜が厄介だから気をつけて!など恐らくモンスターの名前を言いながらアドバイスをしてれる。だがすまない、息子よ。モンスターの名前から姿を想像する事が出来ないんだ。ゲームなんかは友人は持っていたが、私は持っていなかったし興味も無かったんだ。だから全くわからん。
それでも息子が薦めるものだからまずはやってみよう、と慣れないながらゲームのセッティングをして電源をつけてみた。
息子からは、まずはキャラクターを作って!と言われていたがそれすらも分からん。主人公とかって決まってるんじゃないの?
ゲームに説明されるままキャラメイキング?という画面が出てきた。なんでも種族をまずは決めるらしい。職業じゃないの?というか色々ありすぎて分からんし…
一通り種族の名前をみて気になるものがあった。
リッチー。なんだかお金持ちになりそう、というか商人で大成しそうな名前だ。
せめてゲームの中でくらいは順調にうまーくやっていきたい、そんな思いからリッチーを選択した。
ここで問題が発生する、近くの公園で老人に餌を与えられ大量に集まっていた鳩が、何かのトリックを決め損ねて向かってきたスケートボードに反応して飛んで逃げていく。そのすぐ近くの工事に使用されていたクレーン車に鳩が大量に向かい、飛行機事故のバードストライクさながらに運転席に群がり操作ミス。クレーンで移動していた鉄骨がそのまま私の自宅方面に向かい、
私は、鉄骨に、自宅ごと、潰された。
即死は免れたものの私は何が起こったのかも分からずに意識が薄れていく。そんな中でも思ったことは「いつものか…」という慣れてしまった感想だった…
雫が何か固いものに弾かれる様な音が響いている。
何故か覚醒しつつある意識はまずその音を聞き、徐々に視界が開けていき、自分が仰向けになっていること、岩の様な固い何かの上にいて、周囲も岩の様な物で囲まれている事がわかる様になる。
最後の記憶の倒壊した我が家とは全く違う光景に思考は止まる。だが直ぐに自分が無傷であり、問題なく体が動くのが分かった。むしろ普段よりも調子がとても良い。
『リッチーが誕生しました。』
機械音声の様な無機質な音声が急に響く。周囲が岩?で囲まれているのに反響は全くしなかった。
私は最早何が起きているのか全く分からず、混乱している思考を押さえつける様に立ち上がり、改めて我が身を確認する。
腕良し、足良し、頭良し。他に身体のどこにも傷は付いていない。五感も恐らく大丈夫だ、ほっと一息つき胸を撫で下ろす。安心する時によくするあの動作だ。
ここで違和感。心臓が動いていない?なぜ?
見覚えのない光景。何かしらに巻き込まれて傷ついた筈なのに異常が無い身体の見た目。そして動いていない心臓。そしてよくわからない『リッチーが誕生しました。』という音声。
ここまで理解不能な事が起きている中、落ち着きを取り戻しつつある私の感想は
「リッチーって金持ちって意味じゃ無いんだ…」という的外れなものだった。
なぜなら私は周囲を岩に囲まれて、恐らく洞窟の中で腰にボロ布をつけただけの原始人の様な状態だったのだから。
前書きにもありますが初投稿です。
普段は読み専ですがなんとなーく書いてみました。
とりあえず文章って難しいですね。自分の伝えたい内容を文字のみで伝えるのは本当に難しいと改めて知りました。
もしも、万が一、那由多の彼方ほどの可能性で好評でしたら続き書きます。
駄文、失礼いたしました。