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アルバイト

 Caffeという店でバイトを始めたのは今年の四月からだった。そして今は6月。2ヶ月間の間で仕事には随分と慣れてきた。

給料はそこそこで高くもなく低くもない…と、思う。

 なんで俺がここで働いているのかは明白である。気を散らせるためだ。

はぁ?って思う人もいるがマジだ。なんの気かって?そんなの決まってる遠井とおいさんに対する思いに決まってんだろ。まぁ、わからない人に説明すると遠井さんは学校ダントツの美人で可愛い。一日一回は誰かしらから告られてるとの噂もある。だが遠井さんは告白をすべて断ってるらしい。なにやら…他に好きな人がいるそうで…。

 でもそんなのは本当かは分からない。断られた人たちに理由を聞くと無残な答えしか帰って来ない。

 そう。遠井さんは美人。しかも可愛い。だが氷のような冷たい目で氷のような冷たい行動が多い。いや、ほとんどがそれ。もはや氷どころかドライアイス…いや、液体窒素までいってしまうかもしれない。

 塩対応。その3文字で性格を表しても良いかもしれない。だが塩対応とは何かが違う。それを言うのなら氷礼譲みたいな?

 いかんいかん、遠井さんの説明だけで随分と時間取ってしまった。

まぁ、とにかく俺は遠井さんのことが好きすぎて好きすぎてもう気が参るくらい好き。心の中であろうとそんなことを考えている自分が恥ずかしくなって顔を赤らめてしまうがこの休憩室には俺以外誰もいないことを確認して安心する。

話を戻すと好きすぎて夜も眠れないから気を紛らわせるためにバイトをしている。それだけ。これが結構いいんだ。バイト。気を紛らわせるために丁度いい。


 だがそれも1週間前までだった。

 時を遡ること一週間前。


 それは突然起きた。今日もバイト。いつもどうりシフト表に名前を入れて厨房?っていうのかな?そこの隣でお客さんの会計をしているとき。

 カランカランッ

店のドアが開く。

 「いらっしゃぃ…」

 目を見開いた。それだけじゃ足りなかった。

 (「どうして…ここに…」)


 そこには制服姿の遠井さんがいた。薄い青い目に黒髪。少し前までは髪は長かったけどバッサリ切って今は短い。ちなみに切ったのは昨日だろう。今日、朝学校にいったときに驚いたの覚えている。さらにちなみに俺はいま高校2年生。


 「寛正かんせいくん、ちょっとお店の方任せていいかな?」

 レジ打ちの置いてある机の裏に隠れていた俺に良くわからないなぁ…みたいな表情をしてやってきたのはバイトの先輩だった。

 「分かりました」

 「よろしくね」

 「はい」


 仕方なく机の裏から出てお客さんを案内しに行く。遠井さんを。


 「いらっしゃいませ、ご案内します」

 「うん」


 奥の方まで歩いていき二人席に案内する。カウンター席がこの店には無いからだ。

 「ご注文が決まりましたらお声掛けください」


 軽くお辞儀をしてから厨房へと戻っていく。

 がその途中。「あの…」

 遠井さんの声が聞こえた。あぁ癒やされる。


 小走りで駆けつけると、

 「コーヒー一つと願いしみぁす」

 「……ぇ」

 「………」


 可愛いぃぃぃえ?何この生き物?可愛いすぎるんですけどぉおー

 「かしこまりました」

 強烈な可愛さを頑張ってスルーし遠ざかっていく。


 「はぁ…なんだこの可愛い生き物は…」

 

 

 一方で遠井視点。


 本日。朝、学校にて。

 (にやってるかな…)

 髪の毛を弄りながら廊下を歩く。

 昨日、遠井は聞いてしまった。

 ???「俺のタイプ?いやぁーショートカットかな?」


 私は帰ってすぐ髪を切りに行った。

 

 教室に入ると彼はいた。

 (め、目があっちゃった!!)


 そんなこんなで大変な一日が始まった。



 夕方。私はでかけていた。INSTAで見かけたCaffeという名前のお店へと。


 ドアを開けるとカランカランッと、音を立てて開く扉。

 その奥には…なんかレジの裏でなんかやってるやつもいるけど……


 (結構雰囲気あっていいお店かも〜)

 ワクワクしながらも一歩、二歩と足をすすめるとレジ裏から急に人が出てきた。

 その時私はどんな顔をしていたのだろう。もはや記憶すらない。だって…だって、いきなり好きな人が出てきたら普通こうなるのが普通でしょ!!!


 「いらっしゃいませご案内します」


 彼は言う。そう言って奥の方へと歩いていく。


 それから何度か会話をしたような気もすぐけど感動と歓喜でもう頭が回らなかった。意識を取り戻すと…


 「あの…」


 何故か彼呼んでいた。なぜ?なぜだ私!?とうとう頭がおかしくなったか!?


 そう思ってももう遅い目の前には彼がいた。


 早く頼まないと、早く頼まないと、早く頼まないと、早く頼まないと

 自分の思考に焦らされる。そこで必死に出した声といえば…


 「コーヒー一つお願いしみぁす」


 「……ぇ」


 「……」


 一体今、私はどんな顔をしているのだろう。真っ赤?それとも気絶して真っ白?とにかく…


 (あっ!やってしまった…好きな人、いや、初恋の人の前であんな噛むなんて…絶対嫌われたよね…あー絶対そうだ…)

 その後のんその後飲んだコーヒーは苦かったけどどこか甘みもあった。


 

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