女子テニスの試合は九重さんがめっちゃ活躍していたが西梅枝さんもかなり上手でびっくりした
とりあえず俺たちは無事に球技大会における、バレーボールの一回戦を勝ちぬくことができた。
一回戦の敗者は敗者復活戦自体はあるにせよ、やはり勝てるに越したことはないからな。
俺はチームメイトのみんなに言う。
「次の試合まではまだ時間が有るし、俺は休憩を取りながらテニスの試合をしているはずの九重さんと西海枝さんの様子を見に行こうと思うよ。
みんなも自由に行動してくれな」
俺がそういうとニヒヒと笑いながら東雲さんが俺の近くへ近づきながら言う。
「えりちん達の試合を見にいくならあたしも一緒にいくよー」
そして広瀬君はというと。
「なら僕は男子のサッカーの試合を見に行ってくるよ。
あっちにも友達がいるからね」
広瀬君は男友達もちゃんといるのか……俺も男友達も作っておいたほうがいい気がするんだがなかなか難しいんだよな、現状だと。
そして剛力君がそれに続いて言った。
「あ、なら僕も一緒にサッカーの応援へ行きますね」
そして中垣内はといえば。
「じゃあ、、私たちは女子のバスケの試合を見に行くわ」
そして南木さんもうなずいて。
「わ、私も一緒に行きますね」
というわけで二人組が3つに分かれて、行動することになった。
中垣内と南木さんもすっかり仲良くなれたようで何よりだ。
テニスコートに行く前に、ちょっとのども乾いたし、テニスの試合はバレーより大変だろうから二人に分も含めてスポドリでも買っておくか。
そう思った俺が自販機でスポドリを買うと東雲さんが横から上目づかいで俺を見ながら言った。
「あ。
喉乾いたし、あたしにもスポドリ買ってー」
「はいはい、しょうがないなぁしのたくんは」
俺はそういいながらスポドリを買って、東雲さんへ手渡す。
「えへへ、そういう風に素直なところは秦ぴっぴのいいところだよねー」
「まあ、実際外は風も吹いてるからそこそこ気持ちいけど、体育館の中はちょっと蒸してたしな。
脱水症状や熱中症には気を付けておくに越したことはないし、東雲さんにはムードメーカーとして、場を明るくしてもらってるのはすごく助かってもいると思うからそのお礼も兼ねてだよ」
「うんうん、あたしに感謝しなさいな」
そういいながら東雲さんはペットボトルのふたを開けてスポドリを飲み始める。
「そこで調子に乗らない」
そんなことを話していたら、やがてテニスコートに到着した。
そして九重さんと西海枝さんの試合はすでに始まっていた。
「ハアッ!」”パカ^-ン”
九重さんが打ち出すサーブはめちゃ早く、ここ最近のプロの女子テニスでも、パワー化・スピード化が進んでいるらしいが、さすがに白人とのハーフだけあって純粋な日本人とは基本的なパワーが違うらしい。
ちなみにテニスのサーブのスピードだがテニスのサーブのスピードはプロの男子の平均が200キロ前後で、女子の平均が170キロ前後。
高校生のインターハイ全国レベルで、それから20キロほど落ちて男子の平均が180キロ前後で、女の平均が150キロ前後。
一般的なアマチュアの男子のサーブは平均で110キロ程度で、アマチュアの女性の場合は平均で90キロ程度らしい。
アマチュア女性で100キロ出せればスピードのある選手と言えるらしいが、九重さんのサーブは高校生のインターハイ全国レベルくらいにはスピードは出てると思う。
こりゃあうちの学校の女子じゃ相手になる女子はいないかもな、
黄色い硬式テニスボールが相手のコートに突き刺さって、あっさりサービスエースをとる様子を唖然とした様子で見ているのは新發田さんだ。
「あ、新發田さん、こんにちは。
そういえば新發田さんは球技大会どの種目に参加するのかな?」
俺が声をかけると俺のほうを振り向いた彼女はぺこと頭を下げてから言った。
「あ、秦君こんにちは。
私はテニスの補欠ですね」
「ああ、女子は参加しない補欠扱いの子もいるんだ。
まあ、女子だと生理痛で急遽試合への参加が難しくなったりっていうのもあり得るし。
ここの学校は体育会系じゃないしその辺りは結構緩かったんだね」
「あ、あはは。
はい、私は運動音痴で足を引っ張るかもと思っていたので、正直補欠になれてほっとしていますけどね」
「まあ、男子は強制的に全員参加だしなぁ」
男でも運動、特に球技は苦手ってやつも結構いるとは思うけど、まあしょうがない。
学校は基本的にできないことを減らすのがメインで、できないからやらなくていいにはならないからな。
そんなことを考えていたら今度は相手のサーブを後衛に入った西海枝さんがきれいに打ち返している。
無論、九重さんのようなパワーやスピードはないが、ボールの来るだろう方向をきちんと予測して移動を開始しつつ、コートにバウンドした後に球速が落ちた球を確実に打ち返すというのはかなりすごい。
基本的にテニスは相手が打球を打ってから移動しても間に合わないはずなんだよな。
そんな様子を東雲さんも感心した様子で眺めながら言った。
「えりちんって、おとなしげに見えるけど、案外なんでもそつなくこなすよね」
俺はその言葉にうなずく。
「確かにな。
勉強でも特に苦手な教科はないみたいだし、ボウリングも上手だったし、カラオケでもうまく歌ってたし、最近は料理もうまくなってるしな」
それを聞いた東雲さんはニヒヒと笑って言う。
「お、最後のそれはのろけかなー?」
「いやそういうつもりじゃないけどさ。
でも西海枝さんは努力家だし、呑み込みも早いタイプなんだと思う」
「あーうらやましー」
東雲さんがそういうと新發田さんも苦笑しながら言った。
「確かにうらやましいですね」
「でもまあ、東雲さんほどコミュ力高くはないだろうし、新發田さんみたいにきれいなイラストを描けるわけじゃないと思うし、西海枝さんも悩みはあると思うよ」
俺がそういうと東雲さんがと新發田さんが顔を見合わせながら言う。
「まあはたぴっぴのそういうところが、えりちんが悩んだり、苦労する原因だとも思うけどねぇ」
「そうですよね」
あれ?
なんで俺はディスられてるんだろう?




