スパイクレシーブも出来るようになっておけばまあ大丈夫だろう
さて、今日の放課後は球技大会前の最後の練習の機会だ。
昼休みに集まったメンバーで体育館のバレーコートを使って仕上げをしないとな。
「レセプションと呼ばれるサーブレシーブについては、今までの練習で多分なんとかなると思うけど、ディグと呼ばれるスパイクに対するレシーブも出来るようになっておかないとな」
俺がそういうと広瀬君が頷いた。
「たしかにそうだね。
こちらからサーブを開始する場合は、相手がレシーブからつないでスパイク迄できるのが普通だろうから、相手のスパイクを拾わないといけないわけだし」
そして東雲さんがコクコクうなずいて言う。
「たしかにそうだね。
サーブレシーブとスパイクレシーブは全然違うし」
「じゃあ、最後はスパイクレシーブの練習でいこう。
レシーバー3人に声掛け要員のセッター役一人の4人と、トスアップ要員一人とスパイカー1人に分かれるのが良いかな?」
俺がそういうと中垣内は頷いた。
「私はそれでいいと思うわよ」
そして南木さんもうなずく。
「私も、それでいいと思います」
剛力君もこくっと頷いてくれたので問題はなさそうだ。
「できれば強いスパイクを受けた方が練習になるだろうし、俺はレシーバーを重点的に練習したいから、スパイカーは広瀬君にやってもらえるかな?」
俺がそういうと広瀬君はふふっと笑った。
「ああ、僕はそれで構わないよ」
そして東雲さんは……。
「んじゃ、あたしは最初にボール上げる役でいくねー」
そして南木さんと中垣内は、
「わ、私はレシーバー頑張ります」
「じゃあ、私もレシーバーに入るわ」
「じゃあ僕はセッターですね」
と、剛力君がセッター兼声掛けを引きうけてくれたので、ポジションは決まった。
「ん、じゃさっそくいくよー」
東雲さんがポイっとボールを広瀬君の所に上げ、それをスパーンと広瀬君がスパイクを決める。
打たれたボールは俺のすこし右へとんでくる。
「秦君!」
剛力君の支持とともに俺は落ちてくるボールの落下点へ。
「おーらい!」
さっと腕を伸ばしてボールを剛力君の場所へ上げようとするものの……
“バシ”
「あいた!」
ボールの勢いを上手く受け止められずに、腕から跳ね返ったバレーボールは俺の顔面を直撃し、コートを転々と転がっていった。
「おー、いたたた。
やっぱサーブレシーブとスパイクレシーブはちょっと違うんだな」
それを聞いた広瀬君が笑っていう。
「もうちょっとアゴを引いて、レシーブの瞬間に両ヒジをしぼって球威を弱める事に集中した方が良いね。
アゴが上がっていると、ボールが手に正確に当たらなくなるからね」
「なるほど、アゴを引く…か、了解。
もう一本たのむ」
「あいよ」
もう一度東雲さんがポイっとボールを広瀬君の所に上げ、それをスパーンと広瀬君がスパイクを決める。
しかし、今度は俺のボールじゃないな。
「南木さん!」
「は、はい!」
しかしボールについて行けず、ボールは南木さんの腕を逸れてコートに落ちてしまった。
「す、すみません」
ちょっとしょげてる感じの南木さんに俺は声をかける・
「どんまい、どんまい。
最初から上手くいかないのはしょうがないよ」
そして中垣内が言った。
「二人とも全くしょうがないわね。
私がお手本を見せてあげるからよく見ておきなさい」
「お、おう」
「は、はい」
俺と南木さんが答えると、今度のスパイクは中垣内の方へ向けて飛んで行って。
中垣内はサーブレシーブの時よりも深い前傾姿勢をとり、腰を沈めながら、体ごとボールにぶつけていく感じでうまくレシーブし、それはセッターの剛力君の所へ上がっていった。
「おお、ナイスレシーブ」
「す、すごいです」
俺と南木さんが感心して言うと、中垣内はふふっと笑う。
「まあ、こんな感じね。
スパイクレシーブの時はボールが手に当たった瞬間に絶対に手を振りあげないこと、あと膝を使ってあげようとする必要もないわよ・。
腰を落とし、しっかりとボールを見て、ひじを絞って受けることで、球威を落として自コート内にボールを上げる事ね」
「なんとなくわかったような、わからんような……でも、参考にはなったよ」
その後も俺や南木さんはボールに追いつけずにコートに落としてしまったり、とんでもない方7にボールを上げてしまったりもしながらも、だんだんセッターの方へとボールを上げるようになっていった。
「なかなか上手く出来なくてちょっと焦ったけども、なんとかなりそうだな」
俺がそういうとほっとしたように南木さんが言った。
「本当ですね。
これで皆さんの足を引っ張らないで済みそうです」
そして東雲さんがにパッと笑い言う。
「じゃあ、明日はみんなでがんばろーね」
俺は頷く。
「おう、みんなで球技大会楽しめるよう頑張ろう」
まあ、事前にやれることはやったと思うし、あとは明日の本番で全力を尽くすだけだな。




