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事故死した風俗店員がなぜか高校時代に戻ったのでせめてボッチオタクから抜け出してみようと思って頑張っていたらいつの間にかハーレムになっていた件  作者: 水源
春は出会いの季節

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現状は俺が火の鳥にふみちゃんの幸せを願った結果なのであれば俺は彼女を幸せにする義務があるのだろう

 さて、俺の自室での勉強については、ふみちゃんが中間テストに出そうな問題を教科書からてきぱきと抜き出してくれたことで非常にスムーズに進んだ。


 ふみちゃんの頭の良さというのは必要な回答に最短でたどり着く選別が可能な頭脳であるらしい。


 そういったことは日常のあらゆることに“なぜそうなっているのか?”という疑問を持つことで、それに対する回答を求めることによって世界とは何らかの理由という必然で構成されているということにたどり着くわけだ。


 数学の公式をただ丸暗記するのではなくそもそも”どうしてこの公式が成立するのか、必要なのか”と考えて、自分で数学の公式を組み立てられるようにしたりすることや、社会における歴史の出来事もただ丸暗記せずに“なんでこの時代に、この出来事が起こったのか?世界では同じ時期にどんな出来事が起こっていたのか?“などと考えるとそういったことは結構つながっていて楽しかったりするのと同じだな。


 まあ、それはともかく日常生活においても”なぜ?”を考えて原因を求めることは大事なんだよな。


 風俗店で働いているうちに女の子と仲良くなれるようになったのも“なぜ?“の追求からだったりもするんだ。


 頭の回転の速さというのはいわばネットで情報検索をしたときに見つけた情報に対しての正誤についての取捨選択の速さであるともいえる。


 そういったことができるわけがないとあきらめてしまうのは簡単だが、実のところある程度は努力で身に着けることはできるものだ。


 そして俺は彼女が羽賀にレイプされ泣き叫んでいた動画を見て火の鳥に願った。


 ”んなら、さっき羽賀にレイプされていた、羽賀の幼馴染の女の子を救ってあげられないかな?”と。


 火の鳥は”あなたの母親を長生きさせることも、完璧に近い超生命体である私であれば簡単ですよ”といったが俺はそれを断った。


 ”いや、お母さんは俺が一緒にいて、食事とかに気を付けて、家事の手伝いもすれば、たぶん大丈夫だと思うから。

 でも、この女の子はそうはいかないからな”


 と。


 そしてその結果、彼女は俺の幼馴染として近所に引っ越してきたわけだ。


 これは”前”には起きていないことだし本当に幼馴染であったかは定かではない。


 火の鳥は俺には母親だけでなく、ふみちゃんも俺が一緒にいることで幸せになれるように努力しろと言いたいのだろう。


 なら、やってやるさ。


「俺はさ、ふみちゃんには幸せになってほしいって思ってる」


 俺がそういったらふみちゃんは真っ赤になってきょどった。


「え?!」


「でもな、幼稚園の時はともかく、今の俺じゃふみちゃんの隣に立つのに釣り合うような男じゃないのはわかってる。

 だけど少しでも君にふさわしい男になれるように努力はするよ」


 俺がそういうとふみちゃんは満面の笑みを浮かべて言った。


「え、えへへ、ありがとね。

 でもね。

 僕にふさわしいとか、ふさわしくないなんて周りが決めることじゃないんだよ。

 それを決めるのは僕だし、僕はあっちゃんがすごく頑張ってることも知ってる。

 だから別に無理はしなくても大丈夫だよ」


「いや、現実的にはそうもいかないだろう。

 俺の通ってる学校とふみちゃんが通ってる学校には偏差値に厳然とした差があるわけで、そちらの教師やクラスメイトから見れば俺は落ちこぼれにしか見えないと思う」


 俺がそういうとふみちゃんは表情を陰らせた。


「あ、うーん、まあ……そうかもしれないね」


「でもね。

 理想とする人に近くなるためにする努力っていうのはきっと無駄じゃないと思うんだ。

 結果がどのようになるとしてもね」


「そっか、じゃあ、僕はあっちゃんをがんばってって応援すればいいのかな?」


「うん、とりあえず目指すのは中間テストの学年で一番の座かな。

 できれば模試の成績もよくはしていきたいけどね」


「んじゃ、今から勉強をめっちゃ頑張らないとね」


「ああ、でもそのくらいは大したことじゃないけどな」


「その意気その意気」


 まあ、実際にふみちゃんが要点を教えてくれたことで勉強は、無言での”髪型変えたんだけどわかる?”今日の香水なーんだ”などよりはずっと楽なものになったのは間違いないと思うし、対人関係のコミュニケーションスキルを鍛えることに比べれば全然楽なもんだと思う。


 そして人間の成長には”憧れ”に近づくということが強い動機になる。


 心情と感情は異なり誰かについて浮かぶのが心情であり、何かについて浮かぶのは感情だ。


 そして決断や行動の理由がお金や地位や効率、または劣等感といった自分に対する”何か”になっている人間は温もりがなく冷酷になりがちだ。


 だからこそ心情は大事だと思う。


「あの時、あの人が、ああ言ったから」「あの時、あの人が、ああしたから」「あの時、あの人が、ああなったから」という体験から、自分だけでなく他人を幸福にしようとし、成長させる力が生まれるのだと俺は思うんだ。


 そして自分ではなく他人を幸せにしたい、幸せになってほしいという心こそが”愛”の形の一つなんじゃないかと、ようやく俺は思い至った気がする。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふむふむ。学年で一位を目指し、全国模試でも上を目指すのか、、、 と、なると大学も上を目指すと、、、 なるほどな〜 頑張れ! 応援したいね!
[気になる点] 主人公、博愛の精神を自覚するの巻 羽賀が自己愛だったのと対照的かな でも、博愛の奉仕精神だといつか疲れちゃいそう… [一言] さて、秦くんが潰れる前にヒロインsが癒せるかな?
[一言] 主人公が好きな相手は ふみさんだった!?・・・・皆にお知らせしなくちゃ。
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