中垣内が二人で勉強したいというので図書館で一緒に勉強したよ
さて、らららぽーとのスイーツパライソで従妹と幼馴染の幼い時の俺の恥ずかしい思い出話を延々と聞き続けるはめにはなったが、おかげで二人が仲良くなれたみたいだから……まあ良しとしよう。
時間いっぱいまで食べ放題飲み放題を楽しんだ後、俺たちは自宅へ帰る。
電車に乗って帰る途中にスマホを見ると中垣内からメッセージが来た。
”ねえ、ゴールデンウィークの間、どこかで勉強を教えてくれない?”
ふむ、実際にあんまり遊んでばかりもいられないし、これはちょうどいいかもしれないな。
”了解、俺は日曜日以外の午後は空いてるけどいつにする?”
”なら、明日の午後がいいな”
”了解、勉強する場所はどうしようか?
船橋市か習志野市の中央図書館がいいと思うけど”
”じゃあ、習志野市立中央図書館で”
”了解、10時15分に津田沼の改札で待ち合わせでどうだろう?
軽くなんか食べてから図書館へ行こうぜ”
”うん、それでいいよ”
”じゃあ、また明日”
”じゃね”
という訳で明日の午後は中垣内と図書館でサシの勉強会だな。
「あー、ふみちゃん。
明日はパティスリーのバイトが終わったら、習志野市立の図書館でクラスメイトと勉強するんでお昼ご飯はいいや」
「ええー」
「ごめんね。
その代わり明日はさっそくふみちゃんが選んでくれた服を着ていくから」
俺がそういうとふみちゃんは何とか機嫌を直してくれたようだ。
「んふふ、じゃあ許してあげようかな」
そんなことを言いつつ、中垣内の勉強のためのテスト問題を用意して月曜は終わりで翌日。
今日は朝飯は抜いて、いつも通り7時からパティスリーのオープン準備を行い10時になったら白檮山さんにバトンタッチ。
そして、津田沼駅の改札へ向かう。
俺が改札に到着した時には中垣内はもう待っていた。
「すまん、待ったか?」
「ううん、大丈夫だよ。
今日はまた違う服なんだね」
「まあ、昨日買いに行ったんでな。
古着だけどそこそこよく見えるはずなんだが」
「うん、なかなかいいと思うけど……あんたが選んだんじゃなさそうよね」
「ああ、うん、選んでくれたのはつい最近引っ越してきた幼稚園の時の知り合いだよ」
「また新しい女?」
「またって言われるのは心外だけど、まあ予想通り女の子だよ。
とりあえず駅から少し離れてるけど、ムギタ珈琲で腹ごしらえしていこうぜ」
「う、うん、了解」
という訳で少し歩いて ムギタ珈琲へ。
「いらっしゃいませ。
何名様ですか?」
「二名です」
「ではこちらへどうぞ」
と席へ案内される。
「あーちなみにここは逆写真詐欺ってよく言われてるから、多すぎるようなら素直に残した方がいいぞ」
「そうなの?
実は初めて入るんだけど」
「なら、普通にミニサンドを頼むか、ドリンクを注文すると追加料金なしでトースト・ゆで卵なんかがつくモーニングを頼むのがいいんじゃないかな」
「う、うーん、じゃあ……モーニングを頼んでみるね」
「俺はたっぷりたまごのピザトーストにするかな」
という訳で早速オーダーをして、しばらくすると実物が運ばれてくる。
「モーニングのほうはトーストが大きいくらいで普通といえば普通だけど……」
と無料でついてくるトーストの大きさがまずメニュー写真と違いでかすぎたりするのだが……。
「たっぷりたまごのピザトーストのたっぷり具合ぱねぇな」
まじでパンが2枚重ねになっていて、その間に玉子ペーストがたっぷり挟まっているうえに、ピザのチーズや具の量もぱねぇ。
メニューに具沢山で大ボリュームと書かれているが、全く持って誇大でないあたりムギタまじぱねぇ。
「んじゃ、食べようぜ」
「う、うん」
「あー、量が多すぎるようだったら無理に食べないで、素直に残せばいいと思うぜ」
「そ、そうよね」
という訳でムギタ珈琲で朝飯兼昼飯を堪能したが、中垣内にはトーストが少し大きすぎたらしい。
「うー、もうおなか一杯」
「女の子には大きすぎたか」
「本当にそうだよー」
まあ、なんだかんだで半分は食べてるけど、メニュー表の写真もそもそも半分なのだよな。
で、ムギタ珈琲をでたら京成津田沼へ歩いていき、京成大久保まで一駅電車で移動。
そこから歩いて習志野市立中央図書館へ。
「んじゃ、中間テストの予想範囲の問題を主要5教科で一通り解いてみるか。
それで60点以上全教科でとれていそうなら、予習に進めるし、60点を下回る教科があればそれを重点的に復習していくぞ」
「う、うん」
という訳で中垣内にテスト問題を解かせているうちに俺も自分の復習を進める。
「うーん」
中垣内はうんうんうなりながら、カリカリとシャーペンを走らせている。
そしてできた教科から俺が採点をしていく。
「お、結構できてるじゃん」
なんだかんだで全教科で70点程度は取れているようだ。
まあ実際には主要5教科が2科目ずつだったりするので、倍の量になるはずではあるのだが、これなら大丈夫だろう。
「思ってたよりも、ずっとちゃんとできているみたいだ」
「そっか、それならよかった」
と、ほっとした様子の中垣内。
「これくらいちゃんとできてるなら、何も休みにわざわざ俺と勉強しなくてもよさそうだったけどな」
「馬鹿、最近は勉強に参加する人数が増えてるから心配だったのよ」
「ああ、確かにそうだったかもしれないな。
人数が多いとやりづらいか?」
「べ、別にそういう訳じゃないけど……60点取れなかったらデートは無しでしょ?」
「まあ大体において平均点はそのくらいらしいしな」
「だったら60点以上絶対取りたいじゃない」
「そっか、じゃあ、勉強頑張ろうな」
「むう、頑張るわよ。
だってだいぶ素敵なデートプランみたいだし」
「そう言ってもらえると、俺としてもうれしいよ」
「そういうことを臆面もなく言うあたりあんたはあんたよねぇ」
「?
まあそりゃそうだ」
まあともかく中垣内のテスト対策はさほど問題なさそうだ。
高校に無事受かっても授業についていけないということも結構あったりするけども、その心配がないのはいいことだ。




