表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/168

西海枝さんがお世話になっているお礼と弁当を作ってきてくれたけどだいぶ料理の腕も上達していたよ

 さて、家庭科部の部活動も無事終了して、翌日の朝。


 自分の席に座っていると、少し挙動不審気味というか、そわそわした様子の西海枝(さいかち)さんが意を決したように、俺に話しかけてきた。


「あのね、秦君。

 いつもお世話になってるお礼に、今日は秦君のお弁当を作ってきたのだけど……。

 よければお昼に一緒に食べてくれるかな?」


俺はそれを聞いて一も二にもなく、うなずいた。


「あ、それはすごくありがたいな。

 むしろ喜んで食べさせてもらうし、どんなお弁当なのか楽しみだよ」


実際に学食で定食を食べると500円くらいはかかるから結構高いしな。


「あ、そんなに期待されると、ちょっと困るかもです。

 中身はごく普通ですよ?」


「いやいや、ごく普通で十分だから」


 実際に弁当の中身がどんなものなのかわからないのはワクワクするな。


 そして午前中の授業が終わって昼休み。


「せっかくだし今日は中庭にでも行って食べてみようか」


 俺はそういうと西海枝(さいかち)さんの反応を待ってみた。


「今日は天気もいいですし、中庭のベンチで食べるのもいいですね」


「じゃあ、早速行こうか」


「じゃあ、中庭に行く前に……秦君のお弁当はこれです」


 と、西海枝(さいかち)さんに差し出された弁当箱は結構でかい。


 というか西海枝(さいかち)さんの弁当箱は小さくてかわいらしいのだけど?


「俺の弁当ずいぶん大きいけど、いいのかな?」


「男の子だったら、それくらいは普通に食べるかなと思いましたので」


 そんなことをしゃべっている間に中庭へ到着。


 ちょうどベンチやテーブルも空いているようだし、今日は天気も良くて結構過ごしやすい陽気だ。


 俺たちはベンチに腰掛けて、テーブルに弁当を置いた。


「んじゃ、さっそくいただこうかな」


「はい、どうぞどうぞ」


 弁当の中身はといえば、


 アスパラの豚肉巻き

 ウインナー花の飾り切り

 オムレツのトマトケチャップ

 ミニトマトとゆでブロッコリーのマヨネーズ


 と赤・黄・緑・茶・白の5色そろった彩りも良く、栄養も偏らないように考えられているな。


「いやあ、想像以上においしそうでびっくりだね。

 じゃあ、さっそくいただきます」


 とまず俺はオムレツに箸をつけ、口に運んだ。


 ふわふわな食感はまさにオムレツならではだな。


西海枝(さいかち)さん、このオムレツ、滅茶美味いよ。

 オムレツ作りもずいぶん上手になったんだな」


 俺がそういうと西海枝(さいかち)さんはにかむように笑顔を浮かべた。


「はい、美味しいオムレツを作れるようにいっぱい練習しましたので」


 続いてはアスパラの豚肉巻きに箸をつける。


「ふむふむ、しょうゆベースの甘辛照り焼きタレの味付けがすごくいいね。

 ご飯がめっちゃすすむよ」


「あ、それならよかったです。

 ちょっと火を通しすぎたかなって思ったんですけど」


 さらに、ウインナーとミニトマトとゆでブロッコリーのマヨネーズも全部美味しくてどんどん食べられる。


 あっという間に弁当箱は空になってしまった。


「ごちそうさまでした。

 とても美味しかった。

 西海枝(さいかち)さんは、きっといいお嫁さんになれるよ」


「いい、お嫁さんですか……えへへ、ありがとうございます。

 お世辞でもうれしいです」


「別にお世辞じゃないけどね」


 照れたように赤くなる西海枝(さいかち)さんだけど、”嫁の飯がまずい”とかをみると、世の中にはとんでもないものを夫に出すメシマズ嫁が結構いるからなぁ。


 ご飯を美味しく作れるっていうのは結構大事だと思うんだ。


 だから俺も家庭科部で部活動しているんだけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 西海枝さんのお弁当、、、 アスパラの豚肉巻き ウインナー花の飾り切り オムレツのトマトケチャップ ミニトマトとゆでブロッコリーのマヨネーズ 『本気で貴方の事が好きです弁当』と命名できそう…
[良い点] 頑張れ!西海枝ちゃん!(*´艸`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ