~side 中垣内静香~
今日あいつと一緒に映画を見た後での、ウィンドショッピングの最中に、あいつがプレゼントしてくれた、ベルベット素材のハート型のチャームが可愛い首輪みたいなチョーカーを目の前に掲げると自分の顔がにやけるのが分かった。
これ、正直に言えばあいつにとっては、特に意味のこもっているわけではないプレゼントなのかもしれないし、普通の女の子だったら正直ドン引きだと思う。
でも、あたしにはあいつにとって”お前は特別だ”っていう意図が込められてるように思えてならない。
あいつとの出会いは最低だった。
あたしが南木さんに嫉妬して、学校裏サイトの掲示板に中傷の記事を書き込んだことに対して、おせっかいにしゃしゃり出てきたから、その時に捕まえていたとりまきを使ってちょっと脅してやろうとしたら……あいつら、みんな返り討ちにあって、私は散々脅された。
本当にあの時は何をやらされるのか気が気じゃなかったけど、あいつの提案はあいつとあたしで、ユアチューバーになることだった。
今では動画の再生回数は10万回を超えて、チャンネル登録も1万人を超えたし、あたしたちはその界隈ではちょっと有名な存在になってるんだって。
もっとも再生数10万回でも、入ってくるお金は5000円から1万円程度だっていうから、そういう意味ではまだまだらしいけど。
でも、あたしにとってはお金は割とどうでもいいんだ。
コメントで”オトメちゃん可愛い”とかの書き込みが、いっぱいついてくれる方がずっとうれしい。
それにあいつは言ってたし。
「とは言え、個人的にはお前と二人でいる方が気楽でいいんだけどな」
「え? それっていったいどういうこと?」
「俺とお前ってほかのクラスメイトに見せてないような部分も、お互いに見ているからその分気遣いとかいらない感じがするだろ」
「うん」
「だからさ。
お前は俺にとってちょっと特別なんだよ」
って。
でも、あいつは誰にでも、優しい奴なのだけどね。
でも、普通に考えたら中傷の書き込みをしたあたしを何とか更生させようなんて考えないだろうと思うし、あいつはだいぶ変わってるんだと思う。
それでもあいつが色々な女の子に声をかけまくって仲良くなるのを見ているだけなのは正直つらいものがあったのよね。
だから、安くなっていた映画のチケットを買って、日曜日にあいつを誘ってみた。
最初は用事が入ってるって言ったから、てっきり断られるのかと思ったけど、午後からなら大丈夫ってことで午後から見ることになった。
今考えてみたら我ながらいろいろ気合を入れすぎたと思うけど、あいつの従姉の北郷さんとお昼を一緒に食べておしゃべりできたのはよかったと思う。
あいつが女の子相手にものおじしないで話したりできるのは、あの人と小さいころから遊んでいたってこともありそう。
で、映画は楽しかったし、その後のウインドショッピングにも嫌な顔一つしないで一緒に回ってくれたあいつがくれたプレゼントがこのチョーカー。
あたしはあいつにとってもっともっと特別になれるのかな?
そう……なれたら本当にいいなと思うんだよね。




