新發田さんにはイラスト投稿サイトへイラストを投稿することを提案してみたよ。
前回のあらすじ:中垣内が遊びに誘わなかったからってすねた
さて、南木さん及び中垣内に関しての仕込みは済ませたし、次は新發田さんとの、友好関係の構築に取り掛かろうかな。
俺自身は自己紹介の時に漫画やラノベを読むことはすでに言っている。
とはいえ、そういったオタクな内容の話をできたり、アニソンボカロ縛りでカラオケをやっても大丈夫そうな人間は、今のところ見つかっていなかった。
だから、それに近いことができそうな相手が見つかったのは、正直にうれしい。
ただ、どっぷりとオタクな活動をしたいという訳でもないから、漫画研究やアニメ研究会に入るということは考えていなかった。
そういった部活に入ると必要以上に偏見を持たれる可能性も高いしな。
しかし、オタクは自分がオタクであることにある種の誇りというか、一種の壁のようなものがあって、そこにチャラい感じで、ちょっとアニメか漫画を知ってるだけの、中途半端なライトなオタクが寄ってくるのを好まない可能性が高い。
オタクと言っても実際は好きなことが細分化して、共通の話題で盛り上がれる相手がいるのは結構貴重だから何とかしたいんだけどな。
南木さんを俺たちのグループに入れて、まずなじませるには割と自然に相手との距離を詰められる東雲さんが頼りになるが、新發田さんと仲良くなろうとするときには東雲さんの存在は、逆に嫌がられる可能性が高いのだよな。
南木さんの場合は、ルックスがよいことで、回りの同性の悪意や異性の下心に敏感なわけだが、新發田さんのような、オタク系の女性は、自分の好きなものを笑われたり理解されないことに恐怖を感じるのでやはり、悪意に敏感になりがちだ。
ただ、それだからこそ純粋に好きな趣味が同じな相手には、心を開きやすい面もあると思う。
もっとも、意外とアクティブなオタク女子も多くて、コスプレや同人即売会などのイベントに積極的に参加したり、同じ趣味の仲間とのオフ会を楽しんでいたりする場合は、社交性もあって、結構お洒落にも気をつけていたりする場合もあるけどな。
という訳で翌朝。
金曜日の放課後はパティスリーでのバイトだから、話しかけるとしたら、朝一番と昼休みだな。
俺はさっそく新發田さんの元へ向かう。
今日は毀滅の刃の、別キャラを書いているみたいだな
「おはよう、新發田さん。
お、今日の絵は鹿之助なんだね」
「あ、おはよう、秦君。
うん、鹿之助もいいよね」
ふむ、善次はやる時はやるが、基本はヘタレキャラなので、かわいい好きに受けがいい。
だが、鹿之助は粗野だが素顔は超美形というキャラなので結構反対なんだよな。
主人公の薪次郎が真面目な正統派主人公なせいで、少し面白みに欠けるところがある分、女性人気はいま一歩劣ったりするのだが。
「それにしても新發田さんは、絵がすごい上手だから、ピクシズに投稿してみたらどうかな?」
「投稿ですか?」
「うん、感想なんかの反応があればそれだけ、楽しめるようになると思うんだよね」
「う、うーん」
「あ、パソコンがないとやりにくいのなら、俺のノーパソ貸すよ?」
「あ、それは助かるんですが……」
「反応がなかったらって思うと怖いのかな」
俺がそういうと新發田さんはうなずいた。
「はい」
「んーまあ、確かに反応がない可能性も高いけど、最初はそんなものだと思うし、別に反応がなくても、別にいいやくらいの、気軽に考えたらいいんじゃないかな?」
「そ、そうでしょうか?」
「とりあえず俺はちゃんとコメントとかイイネとかするよ?」
「じゃ、じゃあ一回やってみようかな?」
「うん、ものはためしってね。
朝は時間が足りなそうだから昼休みにでもやってみようよ」
「はい」
で、昼休み。
「まずはデジタルカメラで画像を撮影して……それをパソコンに落としてJPEGに変換……して」
「なるほど、こうやってやるのですね」
「パソコン上でデジタルで書いてる人はそのまま保存とかでいいんだけどね。
じゃあ、フリーメールのアドレスをとってもらって、ピクシズにアカウント登録しよう」
「あ、は、はい」
「あとは作品投稿からイラストを投稿して、イラスト内容にあったタグを設定すればいいかな」
「意外と簡単ですね」
「うん、意外と簡単なんだ。
それに他のユーザーとメッセージを送ってコミュニケーションもとれるから、感想をじかに聞くこともできるよ」
「確かにやってみると意外と簡単でしたね」
「あとはスマホでもログインできるようにしておけばいいかな」
「あ、はい、ありがとうございます」
これで良い感想などが沢山ついて、自信をつけてくれればいいんだけどなって、まずは俺のスマホから俺のアカウントでアクセスして、感想をつけないとな。
あとついでにSNSのIDの交換もしたよ。
これで新發田さんとのやり取りもできるな。




