意外と味覚って簡単に変わるもんだな
さて、中垣内と、一緒にやっている動画投稿は順調に終わった。
そして駅の途中まで一緒に帰っているときに中垣内が言った。
「今日はJRの津田沼のほうまで行くつもりだから一緒にコンビニでアイス食べない?」
「ん、ああ、いいぜ。
でもお前さんの自宅は京成線沿いだったはずだけどまたなんで?
京成の津田沼のほうだと商業施設とかほとんどないし何か買いたいものでもあるのか?」
「ま、そんなとこね。
津田沼の駅なら北口にも南口にもデパートやショッピングモールがいろいろあるから買い物するにも便利でいいわよね。
で、船橋の駅は京成線とJRも近いし、どっちでも商業施設が近いからいいけど、京成津田沼とJRの津田沼だと、結構距離があるのよね」
「まあ、新京成の新津田沼ならそこまで遠くないけどそれでもそれなりに歩く感じだな」
というわけで俺たちはまろにえ通りをバスで北上して、JR津田沼駅の南口まで来たあとバスを降りた。
「この辺のコンビニだとどこにあるのかしら?」
「まろにえ通りの途中にも一軒あったけどあっちは駅から結構遠いし近いのは奏の森のほうへ行くやつかな、そっちに行く途中には結構うまい油そばが食べられる店があるし、大き目の100円ショップもいくつかあるから見ていくか?」
「それもいいわね」
「100円ショップも気を付けないと1000円くらいすぐ吹き飛ぶけどな」
「ふふ、それわかるわ」
などと話しながらまずはコンビニへ向かう。
そしてコンビニでアイスの棚を見て中垣内が少し悩んでいた。
「うーんここは手堅くバニラかしら。
でもグリーンティーやストロベリーも捨てがたいわね」
「交換権は2枚あるし、何ならもう一個くらい俺が金出してもいいぞ」
「じゃあ私も一個分お金を出してマカデミアナッツも買おうかな」
「まあ、4つくらいなら普通に食えるか。
結構小さいし」
というわけで中垣内バニラ・グリーンティー・ストロベリー・マカデミアナッツの四つのミニカップを選んでかごに入れた後レジへ向かった。
「これとアイスコーヒーも二つください。
あとスプーンも二つで」
「はい、ではこちらの券2枚ずつに残りは現金でよろしいですか?」
「はい、残りは現金で」
というわけでレジで会計をすますと、アイスのカップをもってコーヒーサーバーでコーヒーを入れ、ミルクやガムシロップにマドラーももって、イートインスペースに俺たちは向かった。
「じゃあ、さっそく食べましょ」
「ん、俺も食っていいのか?」
「そりゃそうよ。
動画が見てもらえるのは私たちのコンビで撮影しているからでしょ」
「お、おう」
そして中垣内はいたずらっぽく微笑むといった。
「実際のところあんたにとってあたしはどんな存在なのよ」
俺は少しだけ考えた後答える。
「そうだな、俺にとって中垣内は気の置けない間柄のなくてはならなパートナーってとこだな」
俺がそういう中垣内は照れたように目を伏せ言った
「え、ええ……それは…ありがと」
「まあ、お前さんとのかかわり方の始めがあれだったから、あんまり遠慮したり気を遣ったりする必要のない、相手には思うよな、うん」
「私も今から思えばなんであんなことをしたのかって思ってるからほじくり返すのはやめてよ」
「ま、やった過去自体は消せないけど、今じゃ南木さんも人の輪に入るのが苦手じゃなくなったみたいだし、雨降って地固まるってやつじゃないか」
「それならいいんだけどね。
それであんたはどれが食べたいの?」
「そうだな、ここは手堅くバニラとマカダミアナッツかな」
「あれグリーンティとかは嫌なの?」
俺は少しだけ苦笑して言葉を返した。
「抹茶とかチョコ味ってなんか苦手なんだよな」
「それはもったいないわね、どっちもおいしいのに」
そして、中垣内はグリーンティのカップを指して言った。
「ちょっとだけ食べてみたら?」
「うーん、じゃあちょっとだけ」
と俺はグリーンティのカップはら人さじだけアイスを救って口に運んでみた。
「あれ、うまいぞ?
「抹茶とかチョコ味ってなんか苦手な感じだからずっと食ってなかったのに」
「なんか苦手な感じって、前はいつ食べたのよ」
「多分幼稚園の時とかだった気がするな」
「まあ、そのくらい抹茶とかチョコとか小さい時だと苦手な子も多いかもしれないわね。
でも今はおいしく感じるなら、これからはもう少し色々食べてみたら」
「お、おう、そうだな。
確かに食わず嫌いはもったいない」
「まあ、あんたが食べた分は私も食べさせてもらうけど。
というわけでマカダミアナッツを一口もらうわよ」
「お、おう。
マカダミアナッツとかアーモンド入りのアイスってうまいよな」
「それは同感ね」
「こんな感じで複数の種類のアイスクリームを分け合って食うのもいいな。
コーンにのっけるタイプのアイスだとお高くつくし、分けあうのは難しいけど、これならまあ大丈夫だし」
「これからしばらくは暑い季節だし、時々こうやって食べるのも悪くないわね」
「そうなるとかき氷とかでもできそうだな」
「かき氷は難しくないかしら」
「それはやってみないとわからないぜ」
「ふふふ、確かにそれはそうね」
まあ、こんな感じでこんな感じで気の置けない感じの異性の友達とだべるのも悪くないな。