女の子のドレス選びに付き合うのは本当に大変だったよ
さて、翌日の日曜日は約束通りらららぽーとへみんなで服を買いに行く。
まあ、初夏や梅雨時のための服は以前に買っているけど、7月8月の盛夏の服は買っていなかったからちょうどいいかもしれないな。
今回は一緒に買い物に行く人数も多いので、船橋や津田沼、京成船橋などの駅前での集合ではなく10時にらららぽーとのバス停前での現地集合だ。
前に中垣内と二人で映画を見たときは、らららぽーとでの現地集合に近かったけど、あのときも弥生ちゃんと一緒に買い物をしたあとだったっけ。
らららぽーとへは船橋駅の南口から直通バスがあるから今回もそれを使うことにする。
京成船橋前09:30発なら09:40には着くし、ちょうどいいだろう。
ただ、バスの本数自体は1時間に1本とかくらいしかないから、時間を微調整したいなら船橋駅から京成線に乗り換えて船橋競馬場駅まで移動してシャトルバスを使ったほうが確実なんだけどな。
そっちなら15分から20分に一本は走ってるし。
バスに乗って10分もするとらららぽーとに到着したので、そのままバスの停留所で待っていると、すぐ次に来たバスから西梅枝さんが降りてきた。
今日の西梅枝さんは可愛らしいパステルブルーのワンピースの姿なのでなんか新鮮だ。
「前田さんおはようございます」
西梅枝さんが笑顔で俺に挨拶してくれるので俺も笑顔で返す。
「おはよう西梅枝さん。
そのワンピースかわいいね。
俺がそう言うと西梅枝さんはうふふと笑顔で答えた。
「えへへ、ありがとうございます」
「それにいつも早いよね」
「うーん、そんなに早くはないですよ。
それに私より秦くんのほうが早いじゃないですか」
「まあ、俺も今ついたばっかしだけど、船橋駅から直接バスで来るとちょうどいいタイミングのバスがこれしかないんだよな」
そして15分前には九重さん、新發田さん、白檮山さんと続々バスでやってくる。
白檮山さんはスリッポンスニーカーにデニムのスカート、ゆるっとした白いカットソーという比較的ラフな格好で、九重さんはスニーカーにデニムショートのパンツ、スクエアネックのTシャツ。
新發田さんはローファーにノースリーブニットにカーディガンとマーメイドスカートだな。
ちなみに俺は学校の制服だ。
今日は弥生ちゃんも文ちゃんもいないから、俺に合いそうな服を見繕うのは店員さんに任せたほうがいいだろうか。
そして白檮山さんが西梅枝さんにニコリとニヤリの間の笑顔でいった。
「おー、西梅枝ちゃんおしゃれに気合入ってるねぇ。
でも、その格好だと試着のとき大変じゃないかな?
背中のコンシールファスナーだと着たり脱いだりがかなり面倒だし」
それを聞いて西梅枝さんがあっと驚いたというか今気がついたというような顔になった。
「え?
あ?!
たしかにそうかも」
「それにスリップとかキャミとかのインナーをを着てきてればいいけど」
「うー、実は着てきてないんです」
そこで九重さんが言った。
「では、ドレスに合わせてスリップも買ってしまいまショウ」
苦笑しながら西梅枝さんは頷いていった。
「あはは、そうですね
男の俺には全くわからないが女の子がお洒落な服を選んだり、試着しながら買い物をしたりするって大変なんだなぁ。
「んじゃま、さっそく服を見に行きましょうか」
白檮山さんがそう言うと九重さんも言った。
「そうデスね。
小物も含めると時間もかかるでショウし早くいきまショウ」
そういうわけでフォーマルな場所で着るドレスやそれに合わせたバッグなどの小物を扱っている、ショップへとみんなで向かう。
「な、なんか緊張してきました」
新發田さんがそう言うと西梅枝さんもコクコクうなずきながら言う。
「私もです。
ドレスなんて着るの初めてですし」
そんな事を言っている二人に俺は言う。
「まあまあ、別に一生に一度のウェディングドレスを選ぶとか、大人数のパーティに参加するってわけじゃないんだから、周りの目とか気にしないで、もっと気楽に構えておけばいいんじゃないかな?」
そう言うと二人の緊張は少しゆるんだようだ。
「確かに、そんなに深刻に考えなくてもいいかもしれません」
「身内だけのガーデンパーティですしね」
俺がそう言うと白檮山さんが笑顔でいった。
「おお、さすがは秦くんだね。
まあ、コミケでコスプレする秦くんなら余裕でしょ」
「いや、それとこれは全く話がちがいますけどね。
だいたい男のコスプレなんてよほどイケメンじゃなきゃ注目されないでしょう?」
「いやぁ、それはどうだろう?」
俺の言葉に対しにやっと笑う白檮山さん。
「……たしかに大勢の前で毀滅のキャラコスプレするのに比べれれば全然大したことじゃない気がしてきました」
新發田さんが笑顔でそう言うが俺はちょっと複雑だ。
「そういえばコスプレ衣装の作成もすすめないとなぁ」
毀滅のコスはまだそこまで難しい部類じゃないと思うけど。
そんな事を言っている間に礼服やパーティドレスなフどを扱っているお店についた。
といってもここには一度着たことがあるが、ZARAZARAでもフォーマルドレスは売っていたらしいが流石はアメリカのブランドと言うべきなのかな。
ドレスは6千円くらいから3万円くらいのものが多いみたいだ。
さすがにこれ以上高いとレンタルだよなぁ。
普段から着るようなものじゃないし。
「じゃあ見てイキマショウ」
と言うわけで早速ドレス選びが始まった。
「この季節に着るドレスの生地とシテハ、やはりオーガンジーやシフォンのような薄手で透けて見える、柔らかい織物のものが良いデスネ。
もちろん、使用している素材にヨッテ少しずつ特徴が変わりますし、今回は、シルク素材のような高いものは選べませんが。
九重さんの説明に俺はうなずきながら答える。
「なるほど、わからん」
「両方とも50番手以上の細い糸を使った平織り物デスガ、オーガンジーは「硫酸仕上げ」という加工を施した生地のことデスネ。
硫酸仕上げによって独特の透け感が生まれ、薄地ながらハリとコシのある丈夫な生地に仕上がルノデス。
ソシテ光を通す生地なので、見た目に奥行きと柔らかさがあり、ドレスのような高級感のある商品によく使われていマス。
硫酸仕上げは「擬麻加工」とも呼ばれる加工方法のひとつで、その名のとおり麻のような風合いを持たせることが出来マス。
そのため、オーガンジーは素材を問わずハリとコシがアリ、見た目にボリュームがリナガラモ、細番手の糸を使用しているので、肌触りがとても滑らカナ、とても軽い生地ので夏にはピッタリナノデス」
「なるほど、さっぱりわからん」
俺がそう答えると白檮山さんが笑っていった。
「だめだよぉ、コスプレするならある程度は生地の種類や特徴も覚えなくちゃ」
「まあ,そりゃそうですよネ」
ちなみに西梅枝さんや新發田さんは苦笑しているが俺がわかっていないのを苦笑しているのか、九重さんがなにを言っているかわからなくって苦笑しているのか。
そして九重さんが話を続ける。
「それからやはり季節に合ったドレスカラーも大豆デス。
春夏は色鮮やかな花や緑の木々がありますから、淡色や明るいカラーの服装がおすすめデスネ。
ただし、汗をかきやすくて汗じみが不安なら、あえてネイビーや黒などの濃い色を着るのもありデスね。
特に日本の夏は暑いデスシネ。
デモ、ダークカラーよりキレイな色のドレス方が、女性の顔周りを美しく見せる効果も期待できますし、汗じみが気になる場合は、吸水性の良いインナーを着ることでめだたなくいはデキマスヨ」
「なるほど、これは何となく分かる」
俺がそう言うと西梅枝さんもいう。
「綺麗な色のドレス方が、女性の顔周りを美しく見せる効果があるならぜひそっちにしたいです」
ウンウンと頷いて九重さんが話を続ける。
「日よけニハさっと羽織れるショールを準備しておくと便利デショウ。
さらっと着られる袖付きのドレスでもヨイデスガ」
「それとパーティ用ドレスのシルエットは8種類ほどです。
フィット&フレアー・バルーン・Aライン・Iライン・Xライン・エンパイア・タイト・フィッシュテールデスネ。
ウエディングドレスの場合は、プリンセスラインや、マーメイドラインといった種類のシルエットも人気ですが、パーティドレスでは基本的には着ないのがマナーデスヨ」
「なるほど、わからん」
俺がそう答えると白檮山さんが笑っていった。
「このくらいは覚えておかないと、将来結婚するときお嫁さんにどのデザインがいいか聞かれたときに困るよぉ」
「え、困るんですか?」
「たぶんね」
そういうことを考えると男は楽だよなぁ。
そういうわけでみんなはインナーやドレス、ショールやボレロなどを持って試着室に入っては出てきてを繰り返していた。
そして西梅枝さんがドレスを着て試着室から出てきた。
「ええっと、これ……どうかな?」
西梅枝さんが着ているのは淡いピンクのバルーンというそでやスカートの裾が丸く内側に織りこまれている、シルエットのドレスだ。
「うん、すごく可愛らしいよ」
俺がそう言うと西梅枝さんはちょっと顔を赤くしていった。
「えへへ、嬉しいです。
じゃあ私はこれにします」
「え?
いや、俺よりも九重さんとか白檮山さんにきいたほうが場に合うかどうかが確実にわかると思うよ」
俺がそう言うとドレスを着た九重さんが笑っていう。
「それは大丈夫デース。
そんなにフォーマルな場所ではないノデ、自分の好きなように選んだほうが楽しいデスヨー」
そういう九重さんフレッシュイエローの胸まわり、腰まわりにボリュームを作り、ウエストは細めに作られた、メリハリの効いたシルエットのXラインドレスだ。
グラマーなスタイルをイメージさせ、バストやヒップが大きい女性が特にうまく着こなせる種類のシルエットらしいが九重さんにはとても似合っている。
「流石に九重さんはドレスを選びなれてるね。
すっごく綺麗だし似合ってる」
俺がそう言うと九重さんはニット笑っていった。
「ウフフ、ありがとです。
エリーといい私といいそういうことをさらっと言える日本の人は珍しいからとても嬉しいデス」
そして新發田さんもライトグリーンのエンパイアラインドレスを着て俺の方へおずおずと聞いてきた。
「あ、あの私はどう……ですか?」
エンパイアラインはAラインシルエットに近く、テントライン、またはピラミッドラインとも呼ばれ、全体的なシルエットが、スカートの裾に向けゆるやかに拡がっているのが、Aラインシ。
エンパイアは、バストの下に切り替えがあり、その下から直線的にスッとスカートがのびていく。
「うん、そのドレス凄く似合ってると思うよ。
脚もスラッと長くみえるね」
「あ、ありがとうございます。
でも、ちょっと恥ずかしいです」
「あ、ごめん」
エンパイアラインは華奢で小柄なほうが似合うのでXラインとは正反対だ。
そして白檮山さんもベージュの「フィット&フレアー」のドレスはだ。
トップは、ぴたっと体のラインにフィットしていて、スカートはすそ広がりになっているタイプのドレスで最もベーシックで初心者向きのドレスらしい。
「ベージュだとなんかウエディングドレスっぽいですけど、綺麗ですし似合ってると思いますよ」
「おー、そう言ってもらえると嬉しいね」
その後もショールやボレロをドレスにどう合わせるかとかで、ずいぶん時間がかかったが無事にドレス選びは終わった。
気がついたら15時を過ぎていたから本当時間がかかったがみんなが楽しそうだったし良しとしよう。
ちなみに俺が買ったのは白檮山さんに助言してもらった適当にネイビーな少しフォーマルな薄手のサマージャケットとサマーニットだ。
「いやあ、助かりましたよ。
なんせ俺自分で服を選んだことがなくて」
俺がそう言うと白檮山さんうーんを自部位顔をしていった。
「今まではどうしていたの?」
「お母さんや弥生ちゃんや文ちゃんに選んでもらってましたけどそれがなにか?」
「うーん、今度は自分だけで選んでみてもいいんじゃないかな。
じゃなきゃクラスメイトとか」
「たしかに、たしかに、お母さんはともかく弥生ちゃんや文ちゃんとはそんなにタイミングよく会えないしなぁ」
そうしてら西梅枝さんが割り込むように言った。
「じゃ、じゃあ今度は私といっしょにショッピングに来ませんか?」
「うん、いいよ。
どうせすぐに秋冬の服が必要になるし、西梅枝さんも服を買うなら俺も選ぶ手伝いをするね」
「えへへ、お願いします」
まあそんなわけでガーデンのパーティ用のドレスについてはなんとか買えた。
日取りは決まってないが西梅枝さんとショッピングに来ることになってしまったけどな。