いつのまにか九重さんと新發田さんはだいぶ仲良くなっていたみたいだ。
さて、翌日の土曜日もパティスリーでのバイトだ。
最近は売上が上がってるということで俺は朝7時から上りは16時、新發田さんは10時に出勤で19時までとレギュラーのシフトと同じ長さで入ることになった。
まあ、土日祝日はサービス業にはかき入れ時だし、人手が大いに越したことはないんだろう。
今まで土曜日は朝一番に出勤して開店の準備で掃除や仕込みをして10時に白檮山さんが来たらバトンタッチしていたけど 今日からは一緒に働けるな。
そしていつものように朝7時にパティスリーに出勤。
「王生さん、おはようございます」
「はい、おまようございます。
今日は長いですが適度に息を抜いてやってくださいね」
「はい、わかりました」
ショーケースやガラスなど店内の掃除を済ませ、フルーツのカットなどのキッチンでの、パティシエの補助作業をしつつ開店までは黙々と働く。
そして10時の開店前には白檮山さんと新發田さんも来た。
「白檮山さん、新發田さん、おはようございます」
白檮山さんはニッと笑うと俺に言った。
「うん、おはよー。
今日は一緒に働けるし、よろしくねー」
「ええ、こちらこそ。
どっちかといえば俺は壬生さんの手伝いで奥にいることが多そうですけど」
そして新發田さんもニコリと微笑んで
「おはようございます。
人手が足りなくなったら呼びますのでヘルプをお願いしますね」
「ん、了解。
コアタイムだと二人だけはきついかもしれないからね。
ちなみに白檮山さん、土曜日のコアタイムっていつくらいですか?」
俺が白檮山さんにそのように聞くと、少し考えてから答えてくれた。
「天気とかによるけど大体10時から15時くらいと17時から19時くらいかな」
「だいたいランチやディナーと同じ時間帯ってところですね」
「そうそう。
買い物の前や後、あるいは家に帰る途中とかに立ち寄るってパターンが多いみたい」
「このお店は動線から考えると立地的に悪くはないですけど、駅ナカや駅ビル、あるいは駅前の店に比べればやっぱりちょっと落ちるってところかな?」
「たぶんそうだね」
「そうなるとこれ以上集客を増やすとしたら、金をかけて宣伝しないと厳しいかな」
「うーん、多分そうだね。
そのあたりのことは私じゃなくて壬生さんと話したほうがいいと思うけど」
「でもホールで実際にお客さんお入りを見ている人のほうがわかることもありますからね」
「それは確かに」
そして焼き上がったスイーツなどをショーケースに飾っていると早速来客があった。
「いらっしゃいませ」
最初の来客は俺の知ってる女の子だった。
「ハウディ!」
「九重さん?!」
「はい、また来てしまいましたヨー」
「あ、球技大会のテニスの女子ダブルスの優勝のお祝いをした時にここに来たからその時に気に入ってくれたのかな?」
「ハアイ、そのとうりデース」
「えーと今日はテイクアウト?
それともイートインで食べていくの?」
「もちろんイートインで!
ゆっくり食べていきマスヨー」
「では、こちらへどうそ」
俺は九重さんをイートインスペースへ案内して着席させた。
そして後は新發田さんにバトンタッチする。
「じゃあ、新發田さん。
後は任せていいかな?」
俺がそうきくと新發田さんほほえみながら頷いた。
「はい、任せておいてください」
俺とバトンタッチした新發田さんはメニューを持って九重さんとにこやかに話をしてから戻ってきた。
「今日もお店のおすすめで、とのことです」
「了解。
新發田さん、九重さんは結構よくくるのかな」
「はい。
土曜日は結構来店していますよ」
「そっか、九重さんには、このお店を気に入ってもらえたみたいだね」
九重さんが部活に入っているかどうかはわからないが、どこかの部活に所属しているなら部活仲間とかをつれてきてくれるかもしれないな。
所属している小集団に対して口コミで評判が広まってくれるとありがたいんだけどそうはいかないか。
今回もサッパリ目の旬のフルーツケーキで行こうかな。
俺はショーケースから白桃とヨーグルトクリームのスモールケーキとブルーベリーとヨーグルトチーズのセミフレッドを用意して新發田に渡してあげた。
「お待たせしました。
当店自慢の一品の白桃とヨーグルトクリームのスモールケーキとブルーベリーとヨーグルトチーズのセミフレッドです。
どうぞ皆さん召し上がれ」
「オウ、とても美味しそうデス」
ちなみにセミフレッドは半解凍状態のアイスケーキのような半イタリアのスイーツで、夏にはぴったりだと思う。
九重さんはニパッと笑んでうなずいた。
「では遠慮なくイタダキマスヨ」
その後も九重さんと新發田さんは楽しそうに話をしていた。
そして俺と白檮山さんは手招きされた九重さんに言われた。
「9月7日は新發田さんの誕生日なんデスヨー。
だから私たちでハッピーバースデーパーティシマショウ」
「ん、確かに9月7日は新發田さんの誕生日だったっけ。
俺はそれでいいと思う」
そして白檮山さんも頷いた。
「もちろん私もいいわよ」
新發田さんとは東雲さんの時にバースデーパーティをやった仲間とはちょっと繋がりが弱いしこのお店で知り合ったメンバーのほうが気兼ねしないで良いかもしれないな。
「強いて言うなら九重さんと女子ダブルスでペアを組んで、祝勝会で一緒だった西梅枝さんは一緒にここで食べたことがあるから呼んでもいいかもだけど」
俺がそう言うと九重さんはにこっとわらっていう。
「それは秦くんに任せマース」
「じゃあ時間のある時に確認してみるよ」
とまあその後バラバラとお客さんが来て忙しくなったので俺達は仕事に戻ることになった。
そして九重さんがケーキを食べ終わると軽々を済まして帰っていってしまったので新發田さんの誕生日パーティについて詰めて話すこともできなかった。
まあ、今は仕事中だし今日はたしかに忙しかったし、そこら辺は明日以降にゆっくりやるか。
予定
7月21日:新發田さんと小規模同人イベントに参加
7月29日:西梅枝さんとホタル観賞
8月1・2・3日:文ちゃんと海
8月5・6・7・8日:九重さんと山でキャンプ
8月10日:文ちゃんの誕生日
8月のお盆:白檮山さんとコミケ1日目2日目に参加
8月20日:中垣内とプールデート
8月23日:南木さんと水族館デート
8月26・27日:弥生ちゃんとTDR
7月末と8月末:東雲さんと宿題
9月7日:新發田さんの誕生日