中垣内たちと寿司を食ったら俺の舌の好みが子供っぽいって言われちまった
さて、広瀬くんの誕プレの買い物の後でマッグでグダグダ喋りながらだべった後、みんなと別れた俺は百均のザ・ダイトーギガ船橋店をブラブラして暇をつぶした後、待ち合わせ時間より少し早めの20分前には京成船橋駅のぼり側改札に向かった。
中垣内や南木さんだと無理して早めに待ち合わせ場所に来そうな気もするしな。
のだが中垣内や南木さんはすでに待ち合わせ場所に到着していて、話をしながら腕時計を見ていた。
「まじか……」
二人とも早すぎだろと思いつつ、俺は小さく手を上げて、二人に声をかけた。
「ごめんな。
もしかして結構待ったか?」
俺が声をかけると二人は顔を俺の方へ向けて言った。
「別に。
私達も今さっきついたばかりだから大丈夫よ」
中垣内がそう言うと南木さんも続けて言った。
「ええ、準備や移動の時間がありましたからね」
ならいいか。
なんかこういうやり取りは昨日に文ちゃんともやったし、今日剛力くんともやった気がするが、待ち合わせには15分前より早く来るのが当然なのか?
「んじゃま、広瀬くんの誕生日プレゼントを買いに行くか」
俺がそう言うと二人はうなずいた。
「ええ、そうね」
「はい、そうしましょう」
「ちなみに俺と剛力くんは西部デパート別館のロストでペンケースとマルチボールペンなんかを買ったし、西梅枝さんや東雲さんは西部デパート別館のロストでハンカチを買ってるけど、買い物の場所はどうする?
ロストでもいいしドンキィホーテでなんかいいもんがないか探してもいいと思うし」
俺がそう言うと中垣内が少し考えた後言った。
「そこまで親しくはない男の子の友達への誕生日プレゼントって何を買えばいいのかしら?」
「そうだなぁ。
実用的でいくつか持っていても困らなくてかさばらないものか、食べてしまえばなくなるものかな?
靴下とかお菓子とか」
俺がそう言うと南木さんはなるほどとうなずいた。
「たしかに靴下ならそんなに高くはないですし、サイズが合わないってこともそうはないと思いますし、誕生日プレゼントにいいかもしれませんね」
「じゃあ値段もそんなに高くないはずだし、ドンキィホーテに行ってみるか。
レジがめちゃ混みでなければ無料で誕生日ラッピングもしてもらえるはずだし、最悪ラッピング用品が売られているから、それを購入して自分でラッピングするのもありかもな。
ドンキィホーテのラッピングは担当する人によって仕上がりに差があるようで、下手な人に当たると残念な見た目になるらしいし」
俺がそう言うと南木さんは苦笑して言う。
「それなら自分でラッピングしたほうがたしかにいいかもしれませんね」
それを聞いていた中垣内が言う。
「それなら西武デパートのメンズファッションフロアで靴下を買って、ラッピングも綺麗にしてもらったほうがいいんじゃないかしら?」
「まあ、たしかにそのほうが見た目は良くなりそうな気はするな。
俺がそう言うと南木さんもうなずいた。
「たしかにそうですね」
「んじゃ、西武デパートに行ってみるか」
というわけで俺たちは三人でJR船橋駅の南西側になる西武デパートへ行き、平日に学校へ行くときに履くものではなく、休日にちょっとおしゃれな靴下を二人は選び誕生日プレゼントとしてのラッピングを丁寧にしてもらって買い物を終えた。
「んじゃまあ無事に買い物も終わったし、なんか軽く食ってくか?」
俺がそう言うと中垣内が言う。
「もちろんあなたのおごりよね?」
「まあ、おごりでも別にいいけどな。
二人は何が食いたい?」
俺がそうきくと中垣内は言う。
「私はお寿司がいいわね」
そして南木さんも言う。
「お寿司……私もお寿司がいいです」
まあ二人が寿司がいいって言うならそうするか。
「寿司か……じゃあ寿司屋に行こうぜ。
あんまりお高いところは無理だが180円均一のそこそこうまいところいとこならなんとかなるし」
というわけで俺たちは寿司屋へ向かった。
船橋は漁港もあることからかチェーン形式でない寿司屋も数多くなかなかうまい店も多いのだ。
まあ、お値段はピンキリだが。
「いらっしゃいませ。
お好きな席へどうぞ」
というわけでカウンター席に俺たちは座った。
俺が真ん中で中垣内が左側、南木さんは右側。
注文はタブレットでのタッチパネル式ではなく昔ながらの職人さんへの声掛けでやる。
まず中垣内が注文する。
「私は本日のマグロ3貫と真イカとアジと生海老の3貫で」
この店180円均一だけど3貫盛り合わせが基本だから結構安上がりなんだよな。
それから南木さんも注文をする。
「私は本日のサーモン三貫盛りとエンガワとタイ、カレイの三貫で」
んで俺も注文をする。
「俺はサラダ軍艦三貫盛りとウナギとアナゴとイカゲソの三貫盛りに、納豆巻きで」
しばらくすると注文した物が出てきた。
中垣内が注文した本日のマグロ3貫は大トロにネギトロと赤身。
南木さんが注文した本日のサーモン三貫は焼きトロ、炙りトロ、ノーマルサーモン。
俺が頼んだサラダ軍艦三貫盛りはツナサラダにコーンサラダとシーフードサラダだ。
左右から女の子たちが俺の頼んだネタを見て言う。
まずは中垣内。
「あんたってお子様みたいなネタが好きなの?」
「え、別にそんなつもりはないけど?」
そして南木さんが聞いてきた。
「秦くん、もしかしてワサビ苦手とかですか?」
確かに俺の頼んだネタは、マヨネーズ風味のサラダ軍艦にあまダレの握りとわさびを付けない納豆巻きだ。
「まあ、確かにワサビはあんまり得意じゃないかな」
それを聞いた中垣内が言う。
「やっぱりお子様舌なのね。
もしかして苦いものや辛いものもだめとか?」
「まあ、抹茶フレーバーとかブラックコーヒーとかは苦手だし、辛口のカレーや麻婆豆腐は無理だけどな」
「あんたは甘いものがやけに好きなんだと思っていたけど、苦いものや辛いものが駄目なだけだったのね」
「ああ……まあ、確かにそうだな」
「まあ、それならそれでいいとは思うけど」
中垣内がそう言うと、南木さんも言った。
「ちょっと意外な気もしましたけどね」
そしてみんな注文したネタを食い終わって店を出た。
「ごちそうさま。
あんたって本当いいお店知ってるわよね」
上機嫌で中垣内がそう言うと南木さんもくすくす笑いながら言った。
「ごちそうさまでした。
私、秦くんはスマートでソツのない分、ちょっとすきがなさすぎる人だと思ってましたがそうでもないのかもって思えて親しみが湧いちゃいました」
「まあ、二人の機嫌が良くなったらなによりだよ」
俺がそう言うと中垣内が言った。
「まあ、私達が除け者にされた気がしてたのは事実だけど」
「念の為言っておくと、今日買い物に誘ったのは剛力くんだけだぞ?」
俺がそう言うと南木さんが言った。
「でも、なんだか楽しそうにマッグでみんなで食事をしているのはずるいいですよ」
ふーむ、東雲さんあたりがみんなで飯食いながらだべってるってのをSNSにでも上げたんかな?
女の子の情報伝達速度の恐ろしっさはやっぱやばいな。