必要なものも買いそろえたし、当日はみんなで楽しめたかな
前回のあらすじ:女の子と一緒の買い物の時間は超長い
さて、弥生ちゃんと私服の買い物をしていたらあっという間に6時間がたってしまった。
ショップからショップへの移動やら見立やら試着やらで、ここまで時間がかかるとは思わなんだ。
まあ女性が何を買おうか迷っているときには、脳内には「快楽ホルモン」ドーパミンが放出されさらに、悩みまくって選んだ商品を買ったあと、脳は「幸福ホルモン」のセロトニンで満たされるらしい。
なので買い物中毒になったりすることもあるわけだ。
しかし、今回は弥生ちゃんの買い物じゃなくて、俺の買い物に長々と付き合わせただけだしちょっと申し訳なくもある。
「ごめんな弥生ちゃん。
今日一日俺に似合う服選びの買い物で、つぶれちゃったね」
俺が済まなそうにそういうと弥生ちゃんは笑顔で言った。
「ううん、むしろ私はすごく買い物が楽しかったから大丈夫だよ」
「ああ、それならよかったけど」
「むしろ、あっくんのタンスの中の衣服が早く入れ替えられるように、これからもお買い物の手伝いしてあげるよ」
「本当?
それは正直ありがたいよ
まあ次からはどういうブランドがあるかぐらいは調べるようにするけどね」
俺がやはりすまなそうに言ったら弥生ちゃんは笑って返してくれた。
「本当だよ、勉強不足も甚だしいよね。
下調べは大事だよ。
あとはたまに私のお買い物にも付き合ってね」
「全くおっしゃる通りで。
うん、お礼はしないといけないしね」
サーテイーンアイスクリームを二人で分け合ってた食べ終えたら、テーブルから離れて買った衣服の入った紙袋をぶら下げ、バスと電車で家へ向かう。
帰りは弥生ちゃんとはそのまま電車の中でバイバイだ。
「んじゃ弥生ちゃん。
また何かあったら連絡するるよ」
「うん、こっちからも何かあったら連絡するね。」
小さくバイバイと手を振って俺は電車を降り家に帰った。
「お母さんただいまー」
「あらあら、ずいぶん時間がかかったのね」
「うん、俺みたいなせいぜいフツメンがダサくない服を着こなそうとすると選ぶ方は大変なんだと思う」
「そうなのよ。
でも、できれば似合う服を色々買ってあげたかったのに、あなたがかたくなに同じ服しか着なかったでしょ」
「あああ、母さんそれ以上俺の黒歴史穿り返すのは止めて」
「はいはい、お夕飯できているから食べたらお風呂に入っちゃいなさい」
「はーい」
俺は夕食を食べて、風呂に入った後、勉強机に向かい、そのうえにおいているノートパソコンを開いて電源を入れた。
TDLを回るときに必要なものを一式調べて、明日天気予報で明後日の天気を確認しつつ、百円均一で必要なもの買えば事前の準備はOKだろう。
まずTDLはスマホの電池の持ちが悪くなりやすいらしいので、モバイルバッテリーと充電ケーブル。
今のうちにTDRの公式アプリもダウンロードしておこう。
これがあればアトラクションの待ち時間の確認やファストパスの発券もできるみたいだし。
それとは別にハンディサイズガイドブックもあった方がいいらしい。
これは明日買おう。
写真はスマホで撮影してもいいけど、やっぱり電池の持ちや写りのきれいさを気にするなら、コンパクトデジカメがあった方がいいらしい。
なので俺はいったん部屋から出てお母さんに聞いてみた。
「お母さんうちにコンパクトデジカメってある?」
「あるわよー。
明後日の遠足にもっていくの」
「うん、ちなみに遠足じゃなくて校外オリエンテーションな」
お母さんはどこから出してきたのかコンパクトデジカメを渡してくれた。
開けて確認してみたがバッテリーとSDカードもちゃんと入ってるな。
「ありがとうな、お母さん」
「そのカメラでどんな写真をお母さんに撮ってきてくれるのか楽しみね」
満面の笑顔で言うお母さんのプレッシャーに俺はちょっと後ずさる。
「お、おう、息子にそういうのをあんまり期待しないでくれるといいかな」
「大丈夫よ、そういう時は女の子にいい写真撮ってもらえるかなって頼めばいいから」
「はいはい、よくお分かりで」
あとは小銭入れと現金を入れる財布。
これはメモしておいて明日買うか。
普段使ってる長財布にはなんやかんやとキャッシュカードとか色々入れてるけど落としたら最悪だからな。
キャラクターからサインをもらいたい人はサイン帳とペンが必要か。
でもまあこれはパーク内でいかにもそれっぽいものが売ってるみたいだから中で購入しよう。
あとは日傘兼用の折りたたみタイプの傘。
日差しが強かったり急に天気が崩れないとも限らないしな。
あとは日焼け止め。
これもまた日差しが強かった時対策だな。
ハンカチや制汗剤に汗ふきシート、ポケットティッシュにポケットウェットティッシュ、ばんそうこうに使い捨てカイロ、トランプなど。
まあこの辺りも明日買おう。
そういった荷物を入れるにはリュックよりトートバッグのほうが取り出しやすくて便利か。
パレードやショーを待つ予定はないからレジャーシートとかはいらないかな。
まあこんなもんだな。
そしてその後メモを持って眠りにつき、翌日の日曜日に百均や書店などで必要なものを購入。
そして迎えた月曜日。
西梅枝さんと東雲さんは俺がSNSで提案したタイツを履いてきていた。
「おはよう西梅枝さん、東雲さん。
タイツ姿もかわいいね。
なんか大人っぽい感じ」
「え、えへへ、そうですか?
本当にタイツをはくと暖かくていいですね」
西梅枝さんがそう答え東雲さんもいう。
「おしゃれは我慢だけどねー」
「まあ、授業中とは違うしな」
「たしかに」
バスでの移動中は俺の買ったトランプをワイワイやっていたが大富豪では大貧民に落ちたために這い上がれなかった。
「せ、せめて革命を起こせれば……」
とかやってるうちに東雲さんが上がってしまった
「ふふん、大富豪のあたしの目が黒いうちは革命なんておこさせないよん、はい! あがり!」
「のわー」
そしていい手札は東雲さんにもっていかれ、悪札を押し付けられるの繰り返しだ。
「あーあ、結局一回も勝てなかったな」
みんなを楽しませるためある程度は負けておこうかとも思ったが、マジで全く大貧民から脱出できないとは思わなんだ。
そんなことをしているとバスが駐車場に着くとよくテレビなどで流れている音楽が聞こえてきて否が応にもテンションが上がる。
入口をくぐると、まずショッピングエリアのワールドバザールゾーン。
「ファストパス獲ったらまずは買い物しようか」
俺の提案に西梅枝さんがうなずいた。
「はい、まずはカチューシャとかを買うのが定番ですよね」
そして東雲さんもうなずく。
「そだねー」
西梅枝さんはミンニーのカチューシャ、東雲さんはテイシーダックのカチューシャ。
「秦君はどうするの?」
西梅枝さんがそのように聞いてきたので俺は答える。
「俺はミッギーにしておくよ。
無難だと思うし」
「それがいいかもしれないですね」
そして東雲さんは広瀬君に、
「ヒロポンはブーさんがいいんじゃない?」
「まあそれも人気だしいいのかな?」
ということでカチューシャは決まった。
「これもください」
俺はサイン帳を二冊買ってみんなと一緒に店を出た。
そしてデジカメを取り出して東雲さんに聞く。
「俺だとうまく撮れないかもしれないからバエルようないい写真撮ってもらえるかな?」
俺がそういうと東雲さんはデジカメを受け取ってくれた。
「おっけー、そういうのはあたしにまかせておいて」
そして俺はみんなに向かって言う。
「左回りの方が基本的にすいているらしいから、まずはカリブ海の海賊から行こうか」
俺の提案にみんなはこくっとうなずいてくれたので、まずはカリブ海の海賊へと向かう。
その途中でキャラクターのミッギーとミンニーに合えた。
そこで、俺はサイン帳とペンを取り出してお願いする。
「すみません。
お手数ですがこれにサインお願いできますか?」
ミッギーとミンニーは俺が差し出した二冊にサインをしてくれたので、俺はまずそれを西梅枝さんに差し出す。
「はい、どうぞ西梅枝さん」
西梅枝さんは目をぱちくりさせながらも受け取ってくれた。
「え、このサイン帳、私がもらっていいんですか?」
「うん、選んだアトラクションから見ても西海枝さんはグリーティングすきそうだからね」
「あ、はい、わざわざわたしのためにありがとうございます」
「いやいや、どうってことないから」
そしてそして東雲さんが聞いてきた。
「もしかしてもう一冊は……」
「東雲さんがほしかったらこっちをあげるし、グリーティングに興味なかったらお母さんに持って帰るつもり」
「もち、ほしいっしょ。
さすがはたぴっぴは天然タラシだけあって、めちゃ気がきくなぁ」
東雲さんが感心したように言うと西海枝さんもこくこくうなずいていった。
「私なんかカチューシャをどれにするかしか頭になかったのに、秦君は本当すごいです」
「それほどでもないよ」
俺がそういうと広瀬君も言った。
「いや、めちゃくちゃすごいよ?」
「そうかな?
一緒に行動する人の気分がよくなれば、俺たちも気分良く楽しめるし、そのための気配りくらいはするよ」
「秦君は一体どこの世界の住人なんだい?」
「少なくともラノベやハーレクインの世界の住人じゃないのは確かだよ」
ああいう世界の住人はただイケメンであるというだけでモテることができるが現実はそんなに甘くはない。
”前”の大失敗を繰り返さないために、いろいろ考えてみたが女の子たちが喜んでくれたようで何よりだ。
そのあとはアトラクションを楽しみながら、出会ったキャラクターにサインをおねがいしたり、写真撮影をしたりしながら、俺は小腹がすいたのでチュロスを買う。
そして俺がチュロスを食おうとすると東雲さんがいった。
「おいしそー。
あたしにも一口ちょうだい?」
「おいおい…まあいいけどさ。
ほれ」
俺はチュロスを東雲さんの口元に差し出す。
「やったー」
とぱくつく東雲さんに全部食べられてはたまらないので、手でぽっきりと折り取った。
「ああ、あたしのチュロス」
「おいおい、これは俺のだって」
「お前のものはあたしのもの、あたしのものはあたしのもの」
「お前はジャイヤンかいな」
そんなやり取りをしていたら西海枝さんもおずおずと言ってきた。
「あ、あたしも一口食べたいです」
西海枝さんがこんなことを言うのは珍しい気がするな。
まあここは魔法の国だし魔法にかかってるのかもな。
「あ、うん、いいよ、はい」
俺がチュロスを西海枝さんの口元に差し出すと、ちょっとびくっとした後で、意を決したようにチュロスを口にしたのでもう一度チュロスを手でおった。
「広瀬君も食べたい?
チュロス」
俺がそういうと広瀬君は苦笑していった。
「い、いや、僕は遠慮しておくよ」
「そう?
なら、残りは全部食えるな」
「というか秦君はよくそんなことできるね」
「そう?」
「僕には難易度高すぎるよ」
「そうなのかな?」
ファストパスの指定時間になったらそれぞれの希望したアトラクションへ向かうため、まずスプラッシュ・コースターへいく。
「これ、気を付けないと濡れるけど、水しぶきが起きたら頭を下げると濡れないらしいよ」
俺がそういうと西海枝さんが感心したように言う。
「そうなのですね」
「まあ伝え聞きの話だから本当かどうかはわからないけど」
結果から言えばちょっと濡れたが被害は少なかったと思う。
「これくらいならフェイスタオルがあれば十分かな。
はい、西海枝さんこれ使って」
俺はトートバッグからフェイスタオルを取り出してまず西海枝さんに渡した。
「あ、ありがとうございます」
そして東雲さんにも渡す。
「はい、東雲さんも」
「おおう、やっぱりはたぴっぴは気が利くね」
「自分で選んだアトラクションなのだから、こういう用意は自分で用意したほうがいいと思うけどね」
そして広瀬君がまた感心したように言った。
「なるほど……僕はリュックサックで来たけどそういうバックだったら、すぐに中からタオルなんかを取り出せるんだね」
「うん、そういうことだね。
リュックのほうが持ち運びは楽は楽だと思うけど」
俺はポケットからハンカチを取り出してそれで軽く顔を拭く。
途中ホーンテッドハウスを経由して、最後がミッギーの家だがファストパス対応ではないため、順番に列に並ぶ必要があり、ちょっと待ち時間は長め。
「まあこれが最後だし、のんびり並びながらポップコーンでも食べて待つとしよう」
俺がそういうと西海枝さんは嬉しそうに言った。
「そうですね。
ゆっくり待つのも楽しみになることの一つですし」
そんなことを話していたら強くて寒い風が吹きつけてきた。
風上になってる西海枝さんのほうが俺より寒そうだな。
「西海枝さん場所変わろうか。
そっち側は風上だから寒いだろうし」
「え、あ、はい、ありがとうございます」
まあ、入れ替わっても俺が西海枝さんの風よけになるかどうかは、わからないけども、気を使ったという事実があれば気分は悪くならないだろう。
「あ、じゃあ、東雲さんも位置換える?」
広瀬君がそういうと東雲さんがニカっと笑って言った。
「お、ヒロポンははたぴっぴに弟子入りかな」
「え、うん」
まあ他人がやっていてよい効果がありそうな
ことは積極的に取り入れた方がいいしな。
そんな感じで特にトラブルも起きず、校外オリエンテーションは無事にみな楽しく過ごせたよ。