模擬戦 8
一段落です。
「あ、気づきましたよ」
ルールディ先生の声が聞こえた。
隣のベッドのところで待機していた僕達は、白いカーテンを開け入っていく。
清潔な白いシーツを掛けられ医務室のベッドに横たわる、ルーフィ様の姿が目に入ってきた。
「気がついたね」
半分ほど目を開くルーフィ様に、優しく声を掛ける。
さっきまであんな事にさらされて疲れているだろうから、ここはあまり騒がずに・・・
「ルーフィイイイイイ!!」
とは、成らなかった。
僕の横を疾風の如く駆け抜けると、ベッドの上にダイブして、まだボーっとしているルーフィ様を馬乗りになりながら抱き着くアルーラがいた。
「こら! アルーラ! まだルーフィ様は身体が覚醒してないんだぞ!」
「だってぇ~! だってぇ~!!」
すると、シーツから細い腕が伸びてきて、アルーラの頭をゆっくりと撫で始めだすルーフィ。
「・・アルーラ、泣くな。私は、死んでないぞ」
「でも~、本当に死んじゃうかと思ったんだもん!!」
「あんたみたいな、危なっかしい友達、ほっといて、死なない」
「うう~、危なっかしいは余計だよ~」
この二人、本当に仲が良いんだな。
「とにかく、今日はここでゆっくり休むのよ。今晩は私が隣のベッドで泊まるから安心して良いわよ」
「ありがとう、ルール先生。あ、そうだ、ばあちゃんは?」
「え、ああ、サリダ様ね。先程までこちらにおられたのだけど、ルーフィ様の顔色が良くなったのを見て出ていかれたわ。たぶんレバイディ君とルーデフィスタ先生のところね」
「先生、あの二人、何か処分が下されるのでしょうか?」
僕は、少し気になったので聞いてみることにした。
だって、ルーフィをこんな目に会わせてタダで済むとは思いたくないし、それにあの時感じた魔力の意思は、たかだか10才の子供が抱くものではなかった気がする。その事は、サリダとラリーアには話してあるから、何かしら対策を考えてくれると思うけど。
「たぶん、除籍かな。どうもレバイディ君の測定値をルーデフィスタ先生が改ざんしていた可能性が出てきたのよ」
それは初耳だったが、納得する事もできた。
いくら、未熟とはいえ、この育成学校のA組に所属して、あの程度の魔力の大きさと操作力なのは、おかしいとは思ったんだ。
「あれ? フェル君、あまり驚かないね?」
「それは、直接対峙して分かりましたから。あまりにも未熟だったもので・・」
「さすがね」
取りあえず、これであいつらが僕にもちょっかいを出して来ることは無くなるだろう。
「・フェルさま・」
ルーフィ様が僕を呼んでくれた。
「様は良いよ、恥ずかしいし」
「じゃあ、フェル、改めてお礼する。助けてくれてありがとう」
思うようにはまだ動かない身体なのに、頭だけでも動かそうとするので、僕は慌ててそれを止めようとしたのだけど、
「アルーラ、鬱陶しい」
いまだに、ルーフィ様に抱き着いたまま、頬刷りするアルーラが邪魔で上手く動かせなくなっているようだ。
あれはあれでいか、ルーフィ様が下手に動かなくいいし。
「でも、僕だけじゃ助けられなかったよ。アルーラもいたし、ルールディ先生にも助けられたし、それにみんなの力があったから、助けられたんだ」
僕は後ろの方で、控えめにこちらを伺うE組のみんなをルーフィに紹介する。
「あ、あのお怪我は大丈夫でしょうか? あ、私カルファーナ・オリバーンと申します」
「ああ、オリバーン辺境伯の・」
「ご存じなのですか?!」
「ええ、あそこ、とても綺麗な湖がある、時々お忍びでアルーラと泳ぎに行く」
「そ、そうでしたか! そえはとても光栄な事ですわ!」
お忍びで行っているから辺境伯にも断りをいれて無いのだろう。ファーナも知らなかったけど、二人が遊びに行っていると聞いて嬉しいみたいだ。
「ゴルド、どうした? そんなに固くなって? 緊張していんのか?」
「だ、だってよ! お姫様だぜ、しかもお二人だぜ! どうしろって言うんだよ!
緊張しまくっているな。仕方ない。
「ルーフィ様、こいつ僕の友達で、ゴルドラン・ブルスダーと言います。こんな見た目で怖いですけど、とても優しい奴で、今回も助けてもらったのですよ」
「そう、あなたの魔導士としての素質、素晴らしいと思う。これからもよろしく」
「え?! あ、は、はい!! ぼ、僕でよろしければ!」
「僕って、いつもは俺、だろ?」
「うるせー!!」
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