測定会 9
フェルを怒らすな。
僕は、魔力を練り魔道具に流れる、レバイディ君の魔力に干渉する。人に感知されない程の微弱な魔力量だが、回路に流れる魔力を動かす事くらい何の問題もなかった。
バチ! バチ! バチ!
「うお!! があ!」
ガシャ―ンンン!!!!
一瞬何が起こったのか、周りを取り囲む生徒達も分からず、固まってしまっていた。
「な、何をするのですか! レバイディ君!!」
席を立ち呆然とするレバイディ君を叱る職員さん。
それに、ついて行けず、ただ茫然と立ち尽くすその先には、床に叩きつけられて魔晶石がぱっかりと割れてしまった魔道具が床に転がっていた。
「レバイディ君! いきなり、魔道具を投げ飛ばすなんて、どうしたって言うのですか?!」
「え? ええ? 何で?! わ、私が?」
「何寝ぼけた事言っているのですか! 詳しく聞きたいので、職員室まで同行願いますよ」
「え、ええ! 何故私が!!」
席を立ちあがり叫び出すレバイディ君。
「あ、暴れないで! 警備員!」
「は!」
測定会場の建物に、厳つい鎧を身に纏った大人の男達が数名入ってくると、レバイディ君を取り押さえ会場から引き摺り出していく。
「な、何かい間違いだ! そうだ! フェルだ! E組だ! あいつらが・・・」
警備員が会場から出て行くと、静けさが戻っていた。
ちょっとやり過ぎたかな?
「フェル様!」
「フェル!」
「お兄ちゃん!」
「フェル殿!」
皆が一斉に駆け寄ってくれた。
「いったい何がおきたんだ?」
ゴルドが、辺りの様を見ながら聞いてきたので、答えてあげた。
「まあ、ちょっと頭に来たのでね、魔道具に流れる魔力を逆流させちゃったんだ。えへ」
ちょっと、お道化た様に言ってみるけど、みんなが少し引いた顔をしているのはどうして?
「フェル様、魔道具の魔力の流れに干渉したのですか?」
「うん」
「うんって、そんな高等技術を簡単に使えるはずが・・・」
ファーナが、ちょっと、いやかなり驚いている。そんなに難しい事かな?
「そんなに難しい技術でもないよ? 後で皆にも教えてあげるね」
「そうなのですか?」
「うん、任せて!」
ドン!
え? クルル?
急に僕に抱き着いて来たクルルを咄嗟に抱きしめてしまった。
「お兄ちゃん! ありがとう! 私の為に、怒ってくれたのでしょ?」
顔を僕の肩に埋めながら、問いかけてくるクルルの頭を撫でてあげる。
「友達の悪口を言われるの、僕はとっても嫌いなんだ」
少し泣いているのかな? ちょっとこのままでいてあげよう。
「フェル殿!」
今度はレノアが、真剣な眼差しをぶつけてから深々と頭を下げてしまった。
「ど、どうしたの!? レノア!」
「クルル様の仇を取っていただき、私! これほど嬉しい事はございません! 今後、フェル殿に降りかかる災いは、このレノアラーヌ・フリュウが水人族のほこりに掛け、身命を賭し、あなた様をお守りいたす事をここに誓わせていただきます!」
「レ、レノア? 何もそこまで」
「いえ! これは決定事項です! フェル殿の意思は関係ございません!」
ああ、言いきっちゃったよ。
レノアって魔導士というより戦士とか騎士とかの方が似合っている気がする。
「じゃあ、みんな! これで第1測定は完了ね。これから第2測定の会場まで移動だよ!」
声も軽やかに、ルールディ先生が手を挙げて僕らに指示を出してきた。
「げー、まだ一つ目かよ。なんだか凄く時間がたったような気がするんだけど」
それはゴルドがずっと深呼吸していたからだよ。
「それじゃあ、みんな行こうか?」
「「「はい!」」」
「おう!」
僕達は、次の会場に向かって、ここを出た。
あれ?
「クルル、離れないの?」
「ダ~メ! お兄ちゃんから離れないよ!」
「そ、それはちょっと・・・」
「ダメなの?」
そ、そんな潤んだ瞳で訴えかけないで!
「ちょ、ちょっとだけだよ?」
「うん! ちょ~~~~~~~とだけね?」
これをアルーラが見たらなんて言うだろう?
もの凄く不安だ・・・・
読んでいただきありがとうございます。
是非、また来て下さいね。




