【オープニング3】コミカ
奥沢さんのマスタリングでプレイするTRPG。
『塔(ⅩⅥ THE TOWER)』のカードに象徴される、時間と記憶を操る『邪神:オメガバージェス』を倒し、魔法学園都市に平和を取り戻せ!
3人のPLが、1PL1シーンずつ、オープニングのシーンを演出していきます。
次のオープニングは、狼子のPC:コミカです。
奥沢:では、次はコミカですね。
狼子:はい! ふっふっふ満を持して……カードは、これです!
一同:おおー!
まほそ:かっこいい!
(場面説明:法廷、異端審問、掲げられた光)
狼子:うふふん。コミカはですねぇ、幼い頃に魔狼に攫われ、育てられた経験があるのです。
奥沢:うん、魔狼ね。
狼子:魔狼から魔素を受け継いでいるのではないかと期待され、この魔法学園都市で育てられてきたコミカですが、長ずるにつれ平々凡々を下回る落ちこぼれとなっている現状です。
奥沢:魔狼ね。
狼子:攫われ子だったことは、コミカを魔狼から助けてくれたおじいちゃん先生ダグラスとコミカと、二人の間の秘密でした。何せ、魔狼ですからね。だって、バレたら魔物の仲間扱いで追い出されちゃう。
狼子:ところがどうやら、その秘密が、あろうことか法王庁からきたパラディン:ギルベリオスにバレてしまったようなのです!
GB:お!
まほそ:NPCをからめてきましたねー。
狼子:へへへ(得意げ)……ギルベリオスの容赦ない調査により、コミカは弾劾裁判のような形で追い出されそうになったのでした!
まほそ:おー! そういう意味のジャスティスね。
奥沢:なるほど。
狼子:こ、こ、ここんな感じでいいでしょうか!?(どきどき)
奥沢:うん、いいですよ。いいね。
狼子:(良かった……!)
狼子:あ、でもですね、コミカはこの魔法学園のどこかに、昔出逢った少女がいると思っているので、まだ魔法学園から出て行く訳にはいかないんですよ。
狼子:何とかここにいたいと思っているので、ギルベリオスから逃げることになるのです……!
奥沢:うん、なるほどなるほど。
奥沢:じゃあ、じいちゃんはきっとコミカを逃がそうとするよね。
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ダグラス(奥沢):「コミカ、逃げなさい」
ダグラス:「お前の秘密が、法王庁に露見してしまった」
コミカ(狼子):「な、なんと!? 困ります!」
一同:笑
ダグラス:「今のわしでは、お前を庇い切ることはできぬ。これが、わしがお前を助けてやれる最後のことだ」
ダグラス:「良いか、コミカ。地下へ逃げるのだ。魔法学園都市の地下には、古代の地下都市が広がっておる」
ダグラス:「お前の生来の能力を発揮すれば、切り抜けることもできよう」
コミカ:(黙ってこくこく頷く)
ダグラス:「地下都市には、他の場所へ抜けられる通路が網の目のように広がっておる」
ダグラス:「良いな、コミカ。生き延びるのだ」
コミカ:「わ、わかった……! 僕は逃げる」
奥沢:そうして、一旦地下へと逃げだしたコミカは、しばらくこの地下通路を探索します。そうするうちに、すごいことに気付いてしまいます。
コミカ:すごいこと……!
奥沢:この通路はどうやら、魔法学園都市の建物にも通じており、あちこちの部屋をこっそりと覗き見ることができそうです。
コミカ:(黙ってこくこく頷く)
奥沢:そのようにうろついている内に、ダグラス老とギルベリオスが話している部屋へ、偶然行き当たってしまいました。
コミカ:(黙って両手をぐっと握る)
コミカ:「きっと、僕のせいで、じいちゃんはギルベリオスに責められてるに違いない……」
奥沢:と、いうことで、そのシーンをやってみるのはどうでしょうか。
狼子:そこをオープニングにするんですね、良いと思います!
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奥沢:場所は、魔法学園都市の内部、学園の教師である老ダグラスの私室。おそらく、学園の1階は厩や納屋のあるスペースでしょうから、私室は2階にあるでしょう。
奥沢:静まり返った部屋の中、コミカは隠し通路から繋がっていた暖炉の裏側に出て、そこから部屋の中をこっそりと見ています。
コミカ:(黙ってこくこく頷く)
ギルベリオス(奥沢):「どうやら、あの狼少年、我々が気付いたのを察知し、姿をくらましたようだな」
コミカ:(ば、バレてる……!)
ギルベリオス:「なあ、ダグラス?」
ダグラス:「い、いや……わしは知らん」
ギルベリオス:「逃げたことは別に構わん。もう少し才能を見せるかと思っていたが、どうやら期待外れだったようだからな」
ギルベリオス:「もう少し、面白い記憶の持ち主かと思ったが」
まほそ:記憶……?
コミカ:うーん、気になるフレーズですね!
ダグラス:「くっ……お前たちのやり方は間違っている!」(ギルベリオスを睨み付ける)
ギルベリオス:「今さら何を言う、ダグラス」
ギルベリオス:「あの日、この世界から全ての悲劇を拭い去ろうと誓った我々ではないか」
ギルベリオス:「そのために、手を汚してきたのだ」
ギルベリオス:「あの狼少年のこともそうだろう?」
コミカ:「んなっ……!?」(両手で口を塞ぐ)
コミカ:(えっえっえっ……じ、じいちゃん!?)
コミカ:(じいちゃんは僕の味方じゃなかったの……!?)
まほそ:そんな心当たりが?
コミカ:ぜんぜん覚えてないです!
一同:笑
ギルベリオス:「魔狼を蹴散らし、少年を助けて恩を着せ――」
ギルベリオス:「いや、そもそも、彼を魔狼の元へ送り込んだのは我らではないか」
コミカ:「なっなるほど……!?」(混乱中)
まほそ:ずぎゃーん!(コミカがショックを受けた音)
コミカ:ギルベリオスだけじゃない……じじい、僕になにをしたんだー!
一同:笑
ギルベリオス:「魔のものに育てられたものだけが、魔に接触することができる」
ギルベリオス:「その嗅覚を養えるかどうか試すための、我々の実験の一部だった」
コミカ:「なっなるほどぉ……!」(僕は実験だった!?)
ダグラス:「我々は間違えていた! そんなことをしてはならんかった!」
コミカ:「じいちゃん……!」
まほそ:じいちゃん、正義に目覚めたのね……。
GB:じいちゃん、やっぱりいい人だったんですね。
ギルベリオス:「何を言う。ザイアの守護神の聖印を掲げて、魔狼へと真っ先に突撃したのはお前だったろう」
ギルベリオス:「あの古い聖印はどうしたのだ?」
奥沢:ちなみに、ダグラス老が「両親の持ち物かもしれない」と嘘をついて、あなたに渡した聖印がそのときの聖印ですね。
GB:聖印?
コミカ:(黙って指した帽子に、聖印が刻まれている)
GB:ああ、この頭についてるやつですか。
奥沢:頭に聖印!? なっ……そ、それはデザイン的に再考を求めたいぞ。まあ別にいいけど。
一同:笑
ギルベリオス:「まあ、今更、子狼一匹が逃げたところでどうということもない」
コミカ:「そ、そうだそうだ……!」(見逃してくれ……!)
ギルベリオス:「ただ、面白い水先案内人にはなるかもな……?」(じろっと暖炉の方を見る)
コミカ:「ふぇ……っ!?」
奥沢:――というわけで、ギルベリオスはコミカを積極的に探そうとはしていませんが、何かの気配に気付いた様子ですね。
コミカ:げげげっ。
奥沢:では、スカウト技能と敏捷度ボーナス、+2d6で、潜伏判定をしてください。
コミカ:スカウト技能上げてあるので、そこそこ高いところからスタートですけど……(コロコロ)出目が悪い!
奥沢:では、ギルベリオスの目が、あなたの潜む暖炉の角を正確に射抜きます。
コミカ:や、やばい……!
奥沢:彼の口元が、楽しげにほころびます。
GB:こわーい!
まほそ:ダメだわ、これ!
奥沢:どうします?
コミカ:逃げます!(即答)
奥沢:はい。では、あなたは脱兎のごとく逃げ出します。
奥沢:そして、その勢いで逃げまくったあなたは、地下都市の奥、広間のようなところに辿り着きます。
コミカ:広間?
イグニス(まほそ):すやー。ってね。
一同:笑
奥沢:そこで、眠っている彼の姿を見付けるだろう――と、いうのが、コミカのオープニングシーンです。
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奥沢:では、経験点をプラスして、シーン効果を読み上げてください。
狼子:戦闘特技として、魔力撃激化を得る――ですね! わーい!
まほそ:すごい!
奥沢:おお、魔力撃激化は、使用すると命中力が結構上がりますが、ペナルティが大きいんですよね。使うタイミングしっかり判断してね。
狼子:格好いいですね。
奥沢:そうだよ。強いよ。
奥沢:さ、ここまで、三者三様のオープニングとなりましたね。
奥沢:このオープニングを前提として、本編に入るからね。手元に残った札のうち、いらないものは山札に返してください。
奥沢:では、本編のシナリオ用手札を配ります――
GB:――あ、その前に、ちょっとだけお聞きしたいんですけど。
――次回は、本編開始前に少しだけ、魔法学園都市に関して奥沢さんとGBさんが語り合う幕間となります。