【オープニング2】シリア(前編)
最終ミッション:塔(ⅩⅥ THE TOWER)
魔法学園都市の底に潜む、時間と記憶を操る『邪神:オメガバージェス』を倒し、魔法学園に平和を取り戻せ。
このゲームは、GM=奥沢さんです。
3人のPLが、1PL1シーンずつ、オープニングのシーンを演出していきます。
次のオープニングは、GBさんのPC:シリアです。
狼子:(あれ、GBさん、まだカード選んでないや)
狼子:(悩んでるのかな)
GB:えっと……カード出す前に、一つ質問なんですけど、オメガバージェスの神殿が魔法学園都市の地下にある。そこに行ったらオメガバージェスの能力で操作を受ける=ループするってことですよね? じゃあ、一度ならず何度もループしているシリアは、何度もそこへ至っているってことですか……?
奥沢:そうですね。何度も行っているんでしょう。ただし、過去に到達した記憶は曖昧になります。部分的に「あれ? 何かこれ覚えてる」「この人と会った気がする」っていう記憶が残っている、という感じでどうでしょうか?
GB:なるほど。はっきり覚えてる訳じゃなくて、なにかぼんやりと覚えてる訳ですね。
奥沢:そう。で、それを利用して、オメガバージェスの弱点を探していくシーンを作るのもいいと思いますよ。「こいつはどういう攻撃をしてくるのか、私は覚えているのよ」と思い出して、探っていく。
奥沢:あ、それでね、シリアは人間の種族特徴である「剣の加護/運命変転」(※1)の代わりに、場に出たすべてのシーンの中から1つを選んで、1度だけそのシーン=過去をやり直すことができる――という設定にしたいのですが。
GB:えっと……それは自分が出したカードじゃなくてもいい?
奥沢:いいです。ついでに、HPもしくはMPを1人につき10点消費することで、あなたと関わり合いになった存在をその時間遡行に連れていけることにしましょう。
GB:あっ、じゃあ、HPとMPを両方10点ずつ引いて……(狼子とまほそさんを見ながら)2人とも連れていくのもアリですか?
奥沢:いいですよ。
GB:じゃあ、私は、場に出たすべてのシーンカードの中から、1枚だけみんなでもう1度やり直せるんですね。
奥沢:そうです。ループ設定的で面白いでしょう?
狼子:(ゲーム内でループするってどういうことかと思ってたけど、そうやって活かすんだ……!)
狼子:(しかし、具体的にどこでどう活かすのかさっぱり分からないなぁ)
GB:ですね。分かりました、そうしましょう。
狼子:(あっ、分かっちゃってる!? すごい)
GB:けど、シーンのやり直しってどこで使うんでしょう?
狼子:(いや、分かったんじゃなかったんですか!?)
奥沢:そう、例えばね……これは、例えばの話ですよ? 物語を組み立てて、ラスボスの直前まで来ました。そこでラスボスの特性が分かりました。「こいつのこの能力は、過去のここまで遡ったら崩せる――じゃあ、そこへ遡ろう」みたいに使うといいんじゃないですかね。
狼子:(そう言えば、オメガバージェスは出会った瞬間に誰か1人のHP・MPが半減するんだっけ)
奥沢:……というのを前提で、やってみましょう。
GB:おお。なるほど……よく分かりました。ありがとうございます。
まほそ:この複雑な設定を理解しただけで、何となくシーンをやり遂げた感がしちゃう。
PL一同:笑
GB:えっと、スタート地点では、オメガバージェスは封印されてる訳ですよね?
奥沢:そうです。ただし、言い伝えでは、封印されてるのは魔神イグニスだってことになってるんですけどね。
GB:なるほど、そうでしたね。世間的にはね。
まほそ:私の中のイメージではね、オメガバージェスの神殿はすり鉢状でしょ? それをね、魔神イグニスが上から押さえてるの。
GB:身ひとつでですか?
狼子:(腕力勝負!?)
まほそ:イグニスの力の源でありイグニスの分身でもある、彼の城が上から押さえてるの。オメガバージェスの力を抑えるために。だから、イグニスの名前ばっかり伝わってるのかなって。
PL一同:おー!
狼子:あー、なるほど。
GB:彼女を押さえてて、そこにずっといるんですね。なるほどなぁ。
狼子:……押さえてるってことは、これじゃあつまり、イグニスが復活すると、バージェスも復活しちゃうわけですね?
奥沢:そうなるね。
GB:今回の悪役の人々は、どっちが目的だろう。からくりはもう分かっていて、イグニスじゃなく、オメガバージェスを復活させたいのかな?
奥沢:そうですね。その人々はもうおそらく、この話のねじれの真実には辿り着いているでしょうね。
まほそ:あっ……逆に、オメガバージェスがもう既に復活したか、しそうになっているから、魔神イグニスが目覚めたのかも?
奥沢:そうだね。だから、本編で目覚めるのかもしれないね。
GB:えっと、神殿があって、そこでイグニスはオメガバージェスをこう「どん!」って押さえつけてる訳だから、イグニスは神殿の中にいるんですよね?
狼子:(床ドン!?)
まほそ:あるいは、城の中に自分が「すー」って寝てるかも?
狼子:(最強の魔神がそんな安らかな顔で!?)
GB:うーん、じゃあ、オープニングはどこから始めようかな。
まほそ:落差があるのも面白いから、意外と日常パートから入ってもいいかもよ?
GB:そうですよね。でも、封印って、アイテムとかで外部から解くことはできないですかね。それをからめたオープニングにしようかと思ってたんですが。
まほそ:うーん、穴があって、人が入ってきちゃうとかはあるんじゃないかな、たまたま。イグニスにも何か目覚めの兆しとか、長年のほころびがあって、誰かが入ってきたらそれをきっかけに起きちゃうのかも。
GB:なるほど……じゃあ、とりあえず……(カードをじっと見つめる)
奥沢:決まった?
GB:えっと、とりあえず……(手札に手を伸ばす)
一同:(じっと見つめる)
GB:いや、やっぱどうしようかな……(手を引っ込める)
一同:笑
奥沢:いや、いいんだよ。とりあえずカード出しちゃった後で、「どうしよっかなー」って皆で悩むのもこのゲームの醍醐味だから。
GB:そうか……じゃあ、カードはこれを出します。
奥沢:ほう……。
狼子:おっ! 星だ!
奥沢:前回の恋人と言い、綺麗なカードが続きますね。どんなシーンにしますか?
(場面説明:星空、鏡のような水面、希望は遠く)
GB:やっぱり、最初の師匠が襲われるシーンがいいかなと思うんです。
奥沢:うん。
GB:過去のシーンってことは、まだループもしてない訳だから、ペーペーというか一人前のちょっと手前くらい。
ジェイナス師匠(GB):「お前が一人前になったら、教えたいことがある。今はまだ無理でも、いつか……」
シリア(GB):「既に私は一人前だってこと、師匠に証明してやるんだから! 今日の探索、一人でやり遂げたら認めてくださいね!」
GB:と言って、ジェイナスを置いて二人の家であり研究所である工房を出た。
奥沢:うん。
GB:日が暮れる前には帰るつもりだったけれども、少してこずって、星が出始めた頃にやっと、工房に戻ってきた……という辺りから。
奥沢:OK、じゃあそこからやりましょう。
――と、いうことで、次回はGBさんのPC:シリアのオープニング(後編)です。
※1:ソードワールドのルールに則った設定です。ゲーム内の1日のうち、1回だけサイコロをひっくり返せる(1→6にできる)素敵な技能。今回のGBさんはこの技能の代わりに本セッション内特有の技能を得たのだ!