【オープニング1】イグニス
最終ミッション:塔(ⅩⅥ THE TOWER)
魔法学園都市の底に潜む、時間と記憶を操る『邪神:オメガバージェス』を倒し、魔法学園に平和を取り戻せ。
このゲームは、GM=奥沢さんです。
3人のPLが、1PL1シーンずつ、オープニングのシーンを演出していきます。
まずは、まほそさんのPC:イグニスから。
奥沢:じゃあ、我こそは最初のオープニングをやりたいと言う人。
まほそ:(黙って、すっと手を上げる)
奥沢:おっ、じゃあオープニングのシナリオカードを出してください。
まほそ:カードを出します――とうっ!(めっちゃ笑顔)
まほそ:いきなり「恋人たち」でいっちゃうぜ!
一同:おー!?
(場面説明:運命の相手、恋愛、束縛、など)
奥沢:ほうほう、オープニングで「恋人」ですか。
まほそ:概要だけは考えてあるんですよ。
イグニス(まほそ):「オメガバージェスよ、我が愛するひと……」
まほそ:なの。
奥沢:いきなりボスとラブるの!?笑
狼子:きゃー!笑
奥沢:すごいの持ってきましたね。
GB:さすが魔神!
奥沢:いやー、勢いがいいなぁ! 分かりました。じゃあ、続きをどうぞ。
まほそ:で、彼女が――あ、待って。相手が彼女かどうか分かんないや。
奥沢:いや、それはイグニスが男性だから、相手は女性――あ、いや……別にいいか。神話だし、男性同士の熱い友情みたいな感じでも。
まほそ:うん、その辺はほら、お互いに神だからね。性別とかあってないようなものってことだし。
奥沢:あー、うん、そうね。
奥沢:でも、ロールプレイ的に、一人称だけは教えて欲しい。オメガバージェスは自分のことなんて呼ぶことにする?
奥沢:「私」にするか「ボク」にするか?
まほそ:「我は――」とかでもいいけど……あ、イグニスも「我」だわ。
奥沢:それだと「我は」「我は」って言い合っちゃうじゃないですか。そりゃカブリがひどいよ。もう少しキャラ性に差異をつけてほしい。
まほそ:……「朕」はないよね、ちょっと。
奥沢:ないでしょ。
狼子:(すごい邪神だなぁ)
奥沢:じゃあ、せめて、男性形で行くか女性形で行くかだけでも決めてよ。
まほそ:じゃあ、女性形にしよっか。綺麗だもんね。
奥沢:分かった。じゃあ、それで行こう。
まほそ:でね、「オメガバージェスを我が物にするためには、彼女を封印するしかない」っていうのが、イグニスの考えなの。
奥沢:あ、我が物にしようとするんですか。監禁なの?
まほそ:過去にね、そういう気持ちで彼女を封印したっていうのはどうかなって……GMから提案できそうなこと何かある?
奥沢:うーん、そうだね……設定としてはね、この時間と記憶を操る神様オメガバージェスは、「何度でもやり直せることっていうのが人にとっての最善である」っていう考え方の神なんですよ。
一同:ふむふむ。
奥沢:「人は間違えるものだけど、間違ったところからやり直せれば、幸せになれる」っていう考え。だから、たとえば……2人が恋人同士なら、イグニスが間違えたときに戻してやり直させてあげたいと思ってそうなったのかもしれないね。
まほそ:なるほど。
奥沢:今、この封印前の2人の時空ではそういう思いなのかもしれない。それが何千年か経った後にはどうなってるかは分からない――っていう、シナリオを組むこともできますよ。
まほそ:いや、ループネタはこっち(GBさん)に任すから。
GB:えっ!?(きょろきょろ)
奥沢:あんただよ!
狼子:(GBさんへの怒涛のツッコミ……!)
奥沢:いや、でもオープニングシーンではっきりさせときたいのは、そのループする状況を、イグニスが正しいと思っているかどうかってことね。
まほそ:あ、イグニスの態度の話?
まほそ:うん、そこはだめだよね。やり直すのは認めない。
奥沢:OK、じゃあ、それは許せないってことで彼女を封じるところのシーンで始めるのがいいんじゃないかな。何千年か前の。
まほそ:封じるシーンか、目覚めるシーンか、オープニングはどっちがいいかなって思ってたんだけど。
奥沢:目覚める?
まほそ:ワシがな――あ、違う違う「イグニス:我がな」
奥沢:あーなるほど。いや、でも目覚めるのは、コミカとシリアの出会いの後にした方が良いかな。
まほそ:OK、じゃあ、イグニスが恋人である邪神を封じるとこから始めましょう!
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奥沢:では、状況説明です。ここは、【彼女】が作り上げた地下神殿――すり鉢状の大きなコロッセウムのような場所です。神殿は地下深くまで続いており、その一番深い場所、先端に【彼女】はいます。
奥沢:【彼女】はそこに、時間と空間と記憶が収束する結界のような場所を作っています。そして、この結界内でしか、【彼女】の力は発動できません。
奥沢:【彼女】は、その神殿に記憶を持ち込んだ人間についてしか、やり直すことはできません。無制限に力を使える訳ではなく、地下神殿の底に来させなきゃいけないんですね、【彼女】がやり直すためには。
奥沢:そこに辿り着いた人間の過去を辿っていって、それ以前の過去は操作できる。戻ってやり直せる。そういう邪神です。
奥沢:つまり、その人間の記憶がとても重要なんですよ。いいですか、記憶がね。記憶ですよ。
GB:何だか私のこと見てませんか?
奥沢:あなた――イグニスは彼女を封じるために、自分の居城であるでっかい城を鍵にして封じ込めた。
まほそ:すり鉢に城をぶっ込んだのね。
狼子:(身もふたもない!)
奥沢:と、いうことで、そのシーンをやりましょうか。
まほそ:分かった。さあ、やりましょうか。どうやってやるか分かんないけどね。
奥沢:じゃあ、【彼女】の方から問いかけますね。オメガバージェス――いや、きっと、二人がうまくいっていた頃はオメガバージェスって名前じゃなかったでしょうね。何か名前考えてくれる?
まほそ:邪神になる前ね……じゃあ、アルファでどうかな。
奥沢:ん?
GB:ああ、アルファからオメガにってことですか。
奥沢:なるほど。いいね、それでいきましょう。
奥沢:オメガバージェスになり果てた【彼女】――アルファはあなたに問いかけます。
アルファ(奥沢):「なぜ? なぜ、あなたは分かってくれないの」
まほそ:うーん、すっごい自分のエゴイスティックな答えになるけど……
イグニス(まほそ):「アルファを――そなたを想った記憶を、改竄されてたまるか」
奥沢:彼女は悲しそうに微笑みます。
アルファ:「それこそが、あなたの生涯で最大の間違いだったのよ」
イグニス:「我の記憶は我のものだ」
アルファ:「どうしても、私の理想を理解できないの」
イグニス:「相容れぬ。故に――」
イグニス:「――愛ゆえに、そなたを封印する!」
奥沢:しょっぱなから飛ばしてんな。
まほそ:笑
奥沢:では、えー……知力ボーナス+魔法技能系で一番レベルの高いヤツ……他に魔力足せるものある?
まほそ:武器でマナスタッフ持ってるから、それで+1かな。
奥沢:OK、それに2d6(6面ダイスを2個振ること)で、このシーンで封印強度を出しましょう。
まほそ:封印強度なら、1ゾロがベストかな?(※1)
奥沢:いいから振って。
まほそ:とうっ!(2dを振る)――あ、あんま高くないなぁ。
奥沢:了解。じゃあ、その数値は私がメモっといて、とりあえずオメガバージェスが封印されたところでこのシーンは終了としましょう。
奥沢:では、シーン効果を読み上げて、その効果を適用してください。
まほそ:えっと……「ゲーム終了まで使える任意の能力ボーナスを得る」――えっボーナス値? すごくない!?(※2)
奥沢:うむ。
まほそ:じゃあ、知力に振るね。わーい、魔力アップ!
狼子:魔神がますます強くなった!
奥沢:はい、経験点をプラスして、イグニスのオープニングは終了です。
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奥沢:――という感じで、今みたいにGMと相談しつつ進めます。今のは、ほぼ我々2人で相談してたけど、他のPLもどんどん意見を言って良いんで、「こうした方が面白いんじゃない?」とか言ってね。
奥沢:ただし、意見を言うのは自由だけど、最終決定権はシナリオを演出しているPL、今回ならまほそにありますから、シナリオプレイヤーはそのつもりで。
まほそ:……はー、何かすごい汗かいちゃった。
奥沢:そりゃ、初手「恋人たち」とか変なシーンをいきなり出すからですよ。
奥沢:じゃあ、千年前のやり取りが見えてきたところで、次は、シリアのシーン、いきましょうか。
――と、いうことで、次回はGBさんのPC:シリアのオープニング(前編)です。
※1:2個のダイスが2つとも1であること。ソードワールドではダイス目は大きい程強いので、1ゾロは単純に一番低い目となります。また、ファンブルとも呼ばれ、判定によっては1ゾロが出た瞬間自動失敗になることもあるので、色んな意味で最弱です。
※2:ソードワールドでは、単に「能力値」が上がるよりも、「能力ボーナス値」が上がる方が、他の数値もつられて色々上がるのでお得なのです。