【エンディング】そして、螺旋はただしく巡る
【イグニス】(PL:まほそ)
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イグニスはあの日、アルファを滅することが出来なかった――彼女への愛ゆえに。
だが、その後悔も既に過去のこと。オメガバージェスは倒された。
オメガバージェスが溜め込んでいた力――人々の記憶による力は、その因果の源であるイグニスの元へと戻ってゆく。
ラストバトルの後、イグニスの螺旋が降り立ったのは、イグニスとアルファの始まりの時。
かつて止められなかった、あの日だった。
あの日と同じ後ろ姿。
あの日と同じく歩み去ろうとするアルファ。
あの瞬間、彼女を黙って見送ったイグニスは――今、声をかける。
イグニス:「アルファよ。ならば、我らが出会ったことも、過ちであったと言うのか? やり直す必要などないではないか、共に行こう」
くるりと振り向いたアルファの表情は、苦笑を浮かべていた。
アルファ:「あなた、馬鹿なのね」
イグニス:「馬鹿なのさ、きっとな。……茶番もまた良いものだと、知っているゆえに」
寄り添う2人の絡んだ指は、今、再び時を刻み始めた。
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【シリア】(PL:GB)
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さかまく螺旋のもと、シリアの両親は娘を連れ出し、逃げた。
邪神復活の鍵となる娘――アルファの生まれ代わりであるシリアを。
法王庁の一派に追われ、逃げ切れなくなった両親は、娘をジェイナスへ預け、身を隠すことにした。
それが永遠の別れとなることを予感しつつも、他に手立てはなかった。
ただしい螺旋が回りはじめる。
シリアが戻ってきたのは、古の女神アルファが、オメガバージェスとはならなかった世界。
両親は法王庁の一派に追われることなく、シリアは平凡な娘として彼らの下で伸び伸びと育った。
長じて、魔動機術士のジェイナスの元へ弟子入りしたことは変わらないが、それはあくまでもシリアの意志である。
シリアには、平和のうちに選ぶ道が与えられた。
平凡な村の娘となるか、魔動機術を学び探索に生きるか。
悩んだ末に、生来の好奇心を生かす道として、後者を選んだ。
ジェイナスは、シリアをしっかりと育て上げた。
ジェイナス:「さて、シリア。そろそろ俺も年をとって引退を考える時期になった。お前はこのまま工房にいても構わんが……どうだ。物は試し、経験と思って、3年ほど魔法学園都市アルファに行ってみんか?」
シリア:「うーん、まあ師匠が言うなら、そういうのもいいかもですね」
そして、シリアは旅立った。果てなき好奇心を胸に抱き。
バージェスの名は失われ、古の伝承に残る女神の名をとって、魔法学園都市アルファと名付けられた魔術師達の研究棟へ。
彼女の道の先には、無限の未来が広がっている。
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【コミカ】(PL:狼子)
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ただしい螺旋のもと、コミカの両親は殺されなかった。
彼は魔狼に捧げられることも、己の過去を失うこともない。
だが、それでも――かつてと違う螺旋を辿りながら、それでも、魔法学園都市でコミカは出会う。
心のどこかに漂う幻影ではなく、しっかりと大地を踏みしめて立つ、1人の少女に。
花咲き乱れる、あの中庭。
目の前を横切った少女の手を、コミカはとっさに握りしめた。
驚きに見開かれた2人の視線が絡み、互いの瞳に互いが映る。
コミカ:「なぜだろう。どこかで君に会ったような気がするんだ」
シリア:「会ったことなんてないはずだけど……おかしいね。でも、確かに私もそんな気がするわ」
かつて、確かに並んで歩いた。
罠を潜り、互いに背を預けて走った。
その記憶は、さかまく螺旋の向こうに失われた。
それでも、この身体が。魂が覚えている。
繋いだ手の、確かな感触を。
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そして、彼らの螺旋はこの魔法学園都市からもう一度、始まる。
世界はまだ、回り出したばかり――
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【おまけ】セッションを振り返りつつ、晩ごはん
(鯛しゃぶ鍋をぐつぐつ言わせつつ)
奥沢:かみ子さん、それ、鯛もうちょい沈めた方がええで。
狼子:はい、ありがとうございます!
GB:豪華ですねえ、鯛しゃぶ。
奥沢:はー、無事終わって良かったわ。ほんま、今回も手間かけさせやがって。(GBさんをちらちら見つつ)
GB:……えっ私ですか? 何かしましたっけ?
奥沢:してるよ、今回はひどい! 今回のは特にシナリオでひどかった!
GB:えー、どこです?
奥沢:いや、いっぱいあるけど、特にひどいのは潜入の方法とかさあ!
まほそ:たまたま会わずにっていうのがね。
一同:笑
奥沢:たまたま会わずにって――すっごい説明しているようでいて、具体性全然ないから。
まほそ:シナリオ力……というか、ご都合力で乗り切った笑
奥沢:ほんと何言ってんだよー、GBさんも小説書くときそんなプロット書かないでしょ?
GB:いや……はい。そうです笑
まほそ:いやー、めちゃくちゃ笑ったわ。
奥沢:だって、魔神ずっと突っ伏して笑ってるもん。早くしてって、時間ないって言ってるのに!
GB:あれ、何でしたっけ? 魔神が今日一番笑ってらしたん。
まほそ:花畑ですよ! あのすごい茶番ですよ!
まほそ:あの後、私のシーンじゃないのに、締めを強要されてさあ!笑
狼子:魔神、今日、めちゃ無茶ぶりされてるんですよ。魔神のシーンじゃないのに、「魔神から何か問いかけをください」とか。……いや、無茶ぶりしてるの私なんですけどね。(すみません)
奥沢:ほらだって、魔神がこの面子の中で一番ベテラァン♪じゃないですか。そりゃあね、多少は無茶言いますよ俺も。
まほそ:まあ、TRPGがというよりも、君とのお付き合いがね。
狼子:でも、そういう無茶ぶり含めて全部ぶっ倒してくださって……はあ、魔神強かったなあ。
GB:魔神強いわ……。
狼子:かっこ良かった……。
まほそ:そんなしみじみ言わないで(照れ)
奥沢:もうほんまなあ、次はあんたらもしゃきっと頼むで?
狼子:えへへ……(笑ってごまかしつつ、鯛しゃぶに手を伸ばす)




