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【エンディング】そして、螺旋はただしく巡る

【イグニス】(PL:まほそ)

---------------------------

イグニスはあの日、アルファを滅することが出来なかった――彼女への愛ゆえに。


だが、その後悔も既に過去のこと。オメガバージェスは倒された。

オメガバージェスが溜め込んでいた力――人々の記憶による力は、その因果の源であるイグニスの元へと戻ってゆく。


ラストバトルの後、イグニスの螺旋が降り立ったのは、イグニスとアルファの始まりの時。

かつて止められなかった、あの日だった。


あの日と同じ後ろ姿。

あの日と同じく歩み去ろうとするアルファ。

あの瞬間、彼女を黙って見送ったイグニスは――今、声をかける。


イグニス:「アルファよ。ならば、我らが出会ったことも、過ちであったと言うのか? やり直す必要などないではないか、共に行こう」


くるりと振り向いたアルファの表情は、苦笑を浮かべていた。


アルファ:「あなた、馬鹿なのね」

イグニス:「馬鹿なのさ、きっとな。……茶番もまた良いものだと、知っているゆえに」


寄り添う2人の絡んだ指は、今、再び時を刻み始めた。



●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

【シリア】(PL:GB)

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さかまく螺旋のもと、シリアの両親は娘を連れ出し、逃げた。

邪神復活の鍵となる娘――アルファの生まれ代わりであるシリアを。

法王庁の一派に追われ、逃げ切れなくなった両親は、娘をジェイナスへ預け、身を隠すことにした。

それが永遠の別れとなることを予感しつつも、他に手立てはなかった。


ただしい螺旋が回りはじめる。

シリアが戻ってきたのは、古の女神アルファが、オメガバージェスとはならなかった世界。

両親は法王庁の一派に追われることなく、シリアは平凡な娘として彼らの下で伸び伸びと育った。

長じて、魔動機術士のジェイナスの元へ弟子入りしたことは変わらないが、それはあくまでもシリアの意志である。


シリアには、平和のうちに選ぶ道が与えられた。

平凡な村の娘となるか、魔動機術を学び探索に生きるか。

悩んだ末に、生来の好奇心を生かす道として、後者を選んだ。

ジェイナスは、シリアをしっかりと育て上げた。


ジェイナス:「さて、シリア。そろそろ俺も年をとって引退を考える時期になった。お前はこのまま工房にいても構わんが……どうだ。物は試し、経験と思って、3年ほど魔法学園都市アルファに行ってみんか?」

シリア:「うーん、まあ師匠が言うなら、そういうのもいいかもですね」


そして、シリアは旅立った。果てなき好奇心を胸に抱き。

バージェスの名は失われ、古の伝承に残る女神の名をとって、魔法学園都市アルファと名付けられた魔術師達の研究棟へ。


彼女の道の先には、無限の未来が広がっている。



●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

【コミカ】(PL:狼子)

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ただしい螺旋のもと、コミカの両親は殺されなかった。

彼は魔狼に捧げられることも、己の過去を失うこともない。


だが、それでも――かつてと違う螺旋を辿りながら、それでも、魔法学園都市でコミカは出会う。

心のどこかに漂う幻影ではなく、しっかりと大地を踏みしめて立つ、1人の少女に。


花咲き乱れる、あの中庭。

目の前を横切った少女の手を、コミカはとっさに握りしめた。

驚きに見開かれた2人の視線が絡み、互いの瞳に互いが映る。


コミカ:「なぜだろう。どこかで君に会ったような気がするんだ」

シリア:「会ったことなんてないはずだけど……おかしいね。でも、確かに私もそんな気がするわ」


かつて、確かに並んで歩いた。

罠を潜り、互いに背を預けて走った。

その記憶は、さかまく螺旋の向こうに失われた。


それでも、この身体が。魂が覚えている。

繋いだ手の、確かな感触を。



●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


そして、彼らの螺旋はこの魔法学園都市からもう一度、始まる。

世界はまだ、回り出したばかり――



   ---   fin.   ---   

【おまけ】セッションを振り返りつつ、晩ごはん


(鯛しゃぶ鍋をぐつぐつ言わせつつ)


奥沢:かみ子さん、それ、鯛もうちょい沈めた方がええで。

狼子:はい、ありがとうございます!

GB:豪華ですねえ、鯛しゃぶ。


奥沢:はー、無事終わって良かったわ。ほんま、今回も手間かけさせやがって。(GBさんをちらちら見つつ)

GB:……えっ私ですか? 何かしましたっけ?

奥沢:してるよ、今回はひどい! 今回のは特にシナリオでひどかった!

GB:えー、どこです?


奥沢:いや、いっぱいあるけど、特にひどいのは潜入の方法とかさあ!

まほそ:たまたま会わずにっていうのがね。

一同:笑


奥沢:たまたま会わずにって――すっごい説明しているようでいて、具体性全然ないから。

まほそ:シナリオ力……というか、ご都合力で乗り切った笑

奥沢:ほんと何言ってんだよー、GBさんも小説書くときそんなプロット書かないでしょ?

GB:いや……はい。そうです笑


まほそ:いやー、めちゃくちゃ笑ったわ。

奥沢:だって、魔神ずっと突っ伏して笑ってるもん。早くしてって、時間ないって言ってるのに!


GB:あれ、何でしたっけ? 魔神が今日一番笑ってらしたん。

まほそ:花畑ですよ! あのすごい茶番ですよ!

まほそ:あの後、私のシーンじゃないのに、締めを強要されてさあ!笑


狼子:魔神、今日、めちゃ無茶ぶりされてるんですよ。魔神のシーンじゃないのに、「魔神から何か問いかけをください」とか。……いや、無茶ぶりしてるの私なんですけどね。(すみません)


奥沢:ほらだって、魔神がこの面子の中で一番ベテラァン♪じゃないですか。そりゃあね、多少は無茶言いますよ俺も。

まほそ:まあ、TRPGがというよりも、君とのお付き合いがね。


狼子:でも、そういう無茶ぶり含めて全部ぶっ倒してくださって……はあ、魔神強かったなあ。

GB:魔神強いわ……。

狼子:かっこ良かった……。

まほそ:そんなしみじみ言わないで(照れ)


奥沢:もうほんまなあ、次はあんたらもしゃきっと頼むで?

狼子:えへへ……(笑ってごまかしつつ、鯛しゃぶに手を伸ばす)

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