【本編1】シリア、ワイヤーアクションに挑戦する
奥沢さんのマスタリングでプレイするTRPG。
『塔(ⅩⅥ THE TOWER)』のカードに象徴される、時間と記憶を操る『邪神:オメガバージェス』を倒し、魔法学園都市に平和を取り戻せ!
ここから本編、最初は、GBさんのPC:シリアのシーンです。
狼子:(私のカード、いつ出てくるかな)
狼子:(混ぜちゃったからいつ来るか分かんなくて、どきどきするなぁ……!)
奥沢:では、塔(ⅩⅥ THE TOWER)から遠い、一番端っこのどちらかのカードから始めましょう。じゃあ、まほそ、2枚のどっちかを選んでめくってくれる?
まほそ:(無言で手を上げ、カードをめくる)
奥沢:おっ!
狼子:わわっ!
奥沢:愚者を場に出すとは、なかなかやりますね。
(場面説明:断崖絶壁、放浪、一か八か、直感を信じる)
奥沢:誰のカードでしょう?
GB:はい、私です。
奥沢:では、シリアから本編シナリオを始めましょうか。
奥沢:自分以外に、出てきて欲しい登場人物は、シーンの中で呼び出してくださいね。
奥沢:シリアは、既に魔法学園都市に潜入しているものとして扱いましょう。
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奥沢:ここは魔法学園都市。今は卒業試験のシーズンらしく、喜んでいる人、がっかりしている人、それぞれのようだ。
奥沢:しかし、何やら試験のせいだけではない、慌ただしい雰囲気もある。いたるところに非常線が張られ、法王庁のサーコートをつけた兵士達が検問を行っている。
奥沢:そんな状況を見ると、シリアもあまり大っぴらには歩かない方がいいかもしれませんが……。
シリア(GB):とりあえず、「魔法学園の中に入らなきゃ!」と何となく思ってます。ループ記憶でこう、ほのかな感じで。
シリア:「確か、何だかこの辺から行けたような気が……?」
奥沢:ちょ――
シリア:曖昧な記憶をたどって、うまいこと検問に出くわさずに……
奥沢:いや、強引!
シリア:「あー、この辺かな」って、するっと。
奥沢:自分の隠密能力のなさをシナリオでかいくぐるの!? ノールール領域で!?
まほそ:爆笑
狼子:笑
奥沢:魔導バイクで突っ切るとかもしないの!?
まほそ:爆笑
シリア:いや、まあなんかこっちかなって。
奥沢:何の冒険もなくふっつーに魔法学園の生徒のフリして入るつもりか!?笑
まほそ:うまいこと追求もされずに!笑
狼子:シリアはほら、年齢的にはセーフです!笑
シリア:うまいこといけませんかね? コミカと出会いたいなぁと思ってるんですけど。
奥沢:うーん……そうですね。まず、フールのシーンをどう演出する?
奥沢:フールの場面説明は、「大博奕」とかじゃありませんでしたっけ。
まほそ:「直感を信じる」があるよ、達成してるじゃない!笑
狼子:「妄想、インスピレーション」もあります!笑
シリア:「あっ、何かここ入り口っぽい! まさにここだ!」
シリア:ってこう……インスピレーションで入っていく感じで!
奥沢:いやいやいや、そこはもうちょっと考えましょうよ!?
奥沢:例えば何かこう、古代遺跡の上に成り立ってることは調べてるでしょうから、その遺跡の部分からアプローチをかけるとかね、もう少し具体的に!
シリア:ああ、確かにそうですねえ。
奥沢:そうだろ!? あんた小説家じゃないか、もうちょっと考えようよ!?(悲鳴)
まほそ:ちょっと切り口変えて考えよう。
まほそ:シリアがコミカと出会うとしたら、どのタイミングがいいと思う?
奥沢:それは……(深呼吸して落ち着きを取り戻す)
奥沢:そうですね、彼が逃げ出した直後がいいんじゃないかな。
まほそ:コミカが立ち聞きした後で?
奥沢:そう。イグニスのところへ辿り着く前に出会ってたって形がいいんじゃないかな。
シリア:私も、イグニスを発見する前に合流した方がいいかなと思います。
奥沢:じゃあ、それでいきましょう。
シリア:それじゃあ、ループのことはもわーんとして分からんけど、「あっここ通れそう」ってぱっと思ったから、しゅっ!て、いきます。
奥沢:だからさぁ! もうちょっとやり方を具体的にしろって、俺はさっきから言ってるんであって!
奥沢:しゅっとか、ぱっとか、もわーんみたいなのはいいんだよ!
一同:爆笑
シリア:えっえっ? うーん。
シリア:魔法学園って、堀があって塀があって、みたいな……そういう感じです?
奥沢:そこはGBさんが作っていけば作っていくほど、どんどんディティールはできていくんですよ。シーンを作るひとがディティールは作るんですよ!
シリア:なるほど、そうですねえ。
奥沢:そうですよ! 頼むから!
まほそ:妄想が降りたつ……!笑
シリア:じゃあ魔法学園は多分ですね、古いお城とか宮殿とかの複合施設を、学園に転用してる感じなんですよ。
イグニス(まほそ):うむ。我の支配する天空城の、地面より上側を学園として使ってるんであろうな。
奥沢:そうでしょうね。
シリア:じゃあ、堀がありーの……?
イグニス:堀はないんじゃないかな、天空城だから。
奥沢:多分、あれちゃいます? 箱舟みたいなやつなんちゃいます?
シリア:えっ?
まほそ:あっ天空城だから! それがぴゅーっと降りてきて!
シリア:あっ。
まほそ:すり鉢状の神殿にどーんって! ハマるの!
シリア:えっ? それ壁はどうやってのぼるの?(めちゃ不思議そうな顔で)
奥沢:だから、それを考えるのがあんたやろ! ワイヤーアンカー使えるんじゃないの!?
シリア:……(長考)……あっ!
一同:笑
奥沢:ジャンプブーツとか! 覚えとけよ、自分のスペック!
シリア:あっ、そりゃそうか。
奥沢:そりゃそうかじゃなくて!
狼子:(こっそりルールブックを見る)
狼子:(えっと……マギテックが使える魔動機術は、便利な道具を作ったり、銃に魔法を込めて撃ったりできるのか……「ジャンプブーツ」、それにさっきオープニングで使った「オートモビル」なんかが作れるんだな)
シリア:うーん、でも、その魔法学園、一般のひとはどうやって入ってるんですか?
狼子:門があるんじゃないですか?
まほそ:きっと通行証で入れるんですよ!
シリア:はあ、なるほど……?(イマイチ納得のいかない顔)
奥沢:下に門前町みたいに学生街が広がってるのでは。下からこう上がっていく城下町みたいな、オリンポスのようになってるんじゃないでしょうか。
狼子:格好いい……
シリア:格好いいですね。
奥沢:俺が考えると格好いい――うるさいな! あんたが考えてんのはどうなってるんですか! ワイヤーアクションで潜入するのかどうするのか考えろってさっきからずっと言ってるの!
まほそ:落ち着け。笑
奥沢:これが落ち着いてられるか!笑
まほそ:つまり、こうなって……こういう感じやろ?(即興で手元のメモに、天空城と神殿の絵を描く)
狼子:おー! すごい! わかりやすい!
奥沢:そーそーそーそー、そうなってるのよ! さすがお絵描きスト!
シリア:あっ、そうなんや。なるほどなあ。
狼子:なるほど、これだったら天空城が浮き上がったら大変なことになりますね。
まほそ:クレーター状態になるよね!
狼子:神殿がモロ出しになって、オメガバージェスの効果がわーっと広がる!
シリア:はあ、そうなんや……! 平地に城の先っちょが刺さってて、ちょっと押したらがーんってコケそうな形状やないんですね。
奥沢:(あっけにとられて無言)
狼子:なんですか、それ!?爆笑
シリア:いやー、そんな不安定なシロモン、どないして他の人はのぼってるんやろ、と思ってました。
まほそ:いや、そんなに高低差なくてもいいですけど……。
狼子:そんなんやったら、GBさん「ぽーんって押してがー!ってひっくり返します」とか言うでしょ!
シリア:や、さすがにそれはちょっと。
奥沢:君らが封印を解いてどうすんだよ! ほんとにもう。
まほそ:この上側の城の、船で言う甲板部分が今の魔法学園都市なんでしょう。外骨格。だから、内側に入るためには、何かで登るとか。
シリア:あ、それやったらワイヤーアンカーぜひ使いたいです。(きりっ)
一同:笑
奥沢:(狼子に向かって)……はあ、狼子さん安心やね、これ。プロの小説家でもこれだからね? 良かったね。
狼子:(こくこく)
奥沢:(しぶしぶシリアに向き直って)……じゃあなに、ワイヤーアンカー使うの?
シリア:はい、ワイヤーアクションやります。
奥沢:ワイヤーアンカーは、今日のセッションルールでアンカーを巻きつけるところは自動成功、アクションシーンはきちっと判定をやりましょうか。
シリア:はい。
奥沢:MPを消費してワイヤーアンカーをかけた後、自分をちゃんと持ち上げて登れるか。普通はスカウト技能だけど、今日は冒険者技能+敏捷度か器用度か……どれ使います? シリアはどの能力が重要だと思いますか?
シリア:自分の体重を上に持って上がらなきゃいけないってなると、筋力ですかね。
奥沢:なんかもう、筋力で解決するゲームみたいになってますけど……普通は敏捷度なんですけど。
まほそ:普通はね。
奥沢:普通は。だけど、筋力だして自分で登ってくって言うなら、筋力で解決する方向にしましょうか?
狼子:強い!
シリア:はい。(照れ)
奥沢:じゃあ、冒険者レベル+筋力+2d6で判定します。
シリア:はい。
シリア:じゃあ、人気のないところを選んで、ワイヤーアンカーを引っかけます。アンカーはうまくかかってる(自動成功)ので、ここから自分の筋力で登れるか、判定を。
シリア:……(コロコロ)えいっ! 結構いきました!
奥沢:はい。じゃあ、問題なく軽々と壁をよじ登り、おそらく遺跡の内部に続くであろう横穴に出ました。
奥沢:地下に侵入できる通路、歩くのに支障のない通路があるのを発見します。
奥沢:普通の生活ではこんなところから入ることはできませんが、ワイヤーアンカーを使えば入れる位置の横穴です。
奥沢:シリアは、何となく見覚えがあるような気がして、奥へと進んでいきます。
まほそ:2度目? 3度目?
奥沢:2度目も3度目もね。いつもここから入ってるんでしょう。
シリア:何となくこっちやろなーって思う方から行くと、ここから入ることになるんですよ。
奥沢:ノールール領域でね。
一同:笑
奥沢:ええ、とにかく潜入を果たしました。
奥沢:同じシーンにコミカを登場させたいということなので、コミカは向こうから来ているという設定で……互いが互いの気配に気付くかどうか、スカウト技能かレンジャー技能に+知力ボーナス+2d6、ない人は2d6で判定です。
奥沢:知覚関係にボーナスのつくアイテムがあれば、そのボーナスを足しても構いません。
コミカ:はい。スカウトと聞き耳判定プラスの耳飾りあります。
シリア:何にもないので、2d6でいきます。
コミカ:……(コロコロ)あっ、結構いきました!
奥沢:じゃあ、コミカは、遥か遠くの方から、何かが必死に走ってくる音を聞きつけました。
コミカ:えっ!?
コミカ:「ばたばた音が聞こえてくる、怖い!」
一同:笑
シリア:……(コロコロ)出目も悪い!
奥沢:一方シリアは、自分の目的に一生懸命で何にも気付きません。
シリア:「こ、こっちの方のような気がする!」(足音ばたばた)
奥沢:装備はイスカイアの魔道鎧でしたね?
シリア:あ、そうやった。じゃあ、鎧をがっしゃがっしゃ鳴らしながら走ってます!
コミカ:余計にこわいよ! だいぶ厳しいので逃げます!?
奥沢:うん、逃げるのはいいんですけど、シナリオをコントロールする権利はシリアにあるので、逃げ切れるかどうかは分からないですね。
奥沢:シリアは、コミカと出会いたいなら、追いつくとかぶつかるとか、どうやるか考えないと。
シリア:えっ、追いつくには……うーん、足はどっちが速いですか?
まほそ:コミカはめっちゃ速いよ。エンハンサーだから。
コミカ:これはもうバイクで追って貰うしかないのでは?(オートモビルに対する憧れ)
シリア:いや、バイクはちょっと持ってないですね。
コミカ:えっ、オープニングで……?
シリア:あっ、魔導バイクか。ここで作るのはちょっと間に合わないなあ。
シリア:うーん、じゃあ……こっちは一生懸命走ってたのですが、こけます!
コミカ:えっ?
シリア:鎧でこけたので、結構派手な音が響きます。(がしゃーん!)
コミカ:えっえっ!?
シリア:それで、すごく可愛らしい声で
シリア:「痛ぁい!」
シリア:って、叫びます。
シリア:これはもう敵とちがうって、聞いてて分かるでしょ。
一同:笑
奥沢:じゃあ、その声を、知覚の敏感なコミカくんは混乱した頭の中で聞きますね。
コミカ:「女の子の声? あれ、もしかして敵じゃない……?」
コミカ:こわごわ様子を見に戻ります。
奥沢:じゃあ、おそるおそるランタンを掲げたコミカくんが近付くと、シリアが地面に倒れて気絶していました。
シリア:えー、気絶してたら悲鳴あげられないじゃないですか。
まほそ:きっと、こけた横に積んであった古代の宝物が落ちてきて、それで頭を打ったんだよ。かこーんって。
奥沢:ほんとにフールのシーンだね、これは。
一同:笑
奥沢:コミカが倒れて気絶しているシリアをランタンの灯りで照らし出すと、法王庁のサーコートなどは纏っていないことが分かります。普通の女の子みたいに見えますね。本当は普通じゃないけど。
奥沢:そして、コミカは思います。
奥沢:「あれ? このひと、前にどこかで会ったことがある」
コミカ:おっ!
まほそ:おっ?
シリア:おっ。
コミカ:じゃあ、介抱しなきゃ!
コミカ:近付いて揺さぶります。
コミカ:「あの……大丈夫ですか?」
シリア:「はっ!?」(雄々しい動きで目を覚ます)
まほそ:もっとお色気ある感じでもいいのに!
まほそ:「あっ……? こ、ここは……///」みたいな!
シリア:目覚めていきなり知らない人がいるので、
シリア:「お、お前は誰だ!?」
シリア:って言います。
一同:笑
コミカ:そんな、目覚めていきなり誰何されても……僕はどうすれば……?
奥沢:俺を見られても、俺はもうなんにも関与してないよ笑
コミカ:じゃあ、びっくりしつつ普通に答えます。
コミカ:「あの、僕はこの都市の学生ですけど、あなたは何でこんなところにいるんですか?」
シリア:「学園都市の学生!? はっ――だ、黙っててください!」
まほそ:何それ、あからさまに怪しい!
一同:笑
シリア:「怪しいものじゃないんです!」
シリア:「だからとりあえず黙っててください!」
コミカ:「えっ、わ、わかりました!?」
シリア:(あっ、言うこと聞いてくれた。親切なひとだ!)
コミカ:(何だろう、このひとは)
一同:笑
コミカ:見覚えがあるような気がしてましたが、今の勢いでよく分からなくなりました。
シリア:じゃあ、私は……あっ、私も見覚えがあってもいいんでしょうか?
まほそ:自分で決めてもいいんじゃない?
奥沢:そうですね。ループしてるわけですし、見覚えがあってもおかしくないでしょう。ただ、これが初めての邂逅なのかも――今までになかった何か変わったことが起こっているのかも知れません。
シリア:うーん……じゃあ、とりあえずそこは置いといて。
シリア:「えっ、でも魔法学園の学生さんが、どうしてこんなところに?」
コミカ:はっ……僕も自分の動きを見ず知らずの人に説明できない!
コミカ:「あのっ……じゃ、じゃあ、僕のことも黙っててください!」
一同:笑
奥沢:何なんだ、この秘密結社みたいな組み合わせ。笑
まほそ:まあでも、これで秘密の共有ってことだよね。
奥沢:古式ゆかしきボーイミーツガールだなあ。
シリア:ほら、お互い色々深い理由があるわけやし、ちょっと察した感じで。
コミカ:何となく自分の後ろ暗いところを振り返って。
まほそ:あっ(察し)……みたいな笑
シリア:何となく事情をお互い察し合ったところで、外の方を指しながら
シリア:「えっと……あなたは、こっちに行きます?」
コミカ:「いやっ……そ、その、僕は奥の方に向かうつもりです」
シリア:「じゃ、じゃあ一緒に行きますか?」
コミカ:「あ、は、はい……」
一同:笑
奥沢:どういう流れだよ!? まあいいけどさあ!
奥沢:そうすると、2人は遺跡の内側に向かっていく訳ですね。
奥沢:歩き始めてしばらくすると、周囲が震え、ごごごごご……という地鳴りが響いてくるのに気付きます。
シリア:えっえっ!?
奥沢:足元が激しく揺れ、そのうちにがこーんっと地面が崩れ、2人ともそのまま崩れた地面もろとも穴に落ちていく訳です。
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奥沢:と、いうところでシーンが切れます。
奥沢:うん、素晴らしいロールプレイ……かなあ?
一同:笑
奥沢:まあ、とりあえず、経験点をあげましょう。シーン効果を読み上げてください。
GB:はい。山札からカードを補充する、ですね。貰います。
奥沢:うん、じゃあ、そのまま次のシーンにいきましょう。
奥沢:よう分からんノールール領域、これ以上は勘弁してや!
GB:えっ……はい。そうですね。(よそを見つつ頷く)
奥沢:お願い聞いて! 頼むから!




