前編8
俺とタカコさんの問答は要約すると以下の通りだった。
俺
俺には承認欲求がある
自分が正しいと思う方法で世の中に認められたい
けれどここは特に商業店舗は詐欺師の絵空事に夢見る人が集まっているように見える
タカコさん
私欲に忠実なのは尊敬に値するけど真実は人の数だけあるものだから
自分が努力した分の努力を他人に求めるのは大きなお世話よ?
俺
大量生産大量消費教の信者は白痴かそれでないなら悪人か詐欺師だ
タカコさん
アンジェはどう?彼女もまた素直に欲望に従っているだけよ?本能では?
俺
評価が審査されることが無い
つまり評価は無責任に出しっ放しである
タカコさん
何か問題でも?世の中の評価はすべて無責任に出しっ放しじゃないの
俺
間違っているときはなぜ間違ってるかわからない
タカコさん
自分の間違いを許せないのは勝手だけど他人の間違いを指摘するのは大きなお世話よ?
俺
誰もが心の奥底で世の終末を待ち望んでいるといったバカげた考察が成されるのは
それだけアタマお粗末な連中が溢れ返っているのだろう
タカコさん
不健康な生活をしているのに長生きしたいと考えている人たちは
別に世の終末を望んでいる訳ではないわ
俺
このビジネスは人の本質を狂わせる
大大消教は人間を消費単位として扱っている
タカコさん
あなたは成功経験がある
努力もしてきた
けどそういう人は圧倒的に少ないの
特にこのナロー王国の住人にはね
そういった義憤はお門違いよ?
俺
別に他人の倍努力してきたとかありません
当たり前のことを当たり前にやってきただけです
あと運が良かっただけです
タカコ
あなたもまた自分自身の実像を把握出来ていないのよ
あなたの批判する人たちと同じになってるわよ?
タカコ
最後にこれだけは言っておくわ
タイムマシンが欲しい願望と言うのは誰にでもあると思うけど
ナローケーキの愛好家のほとんどは
タイムマシンに乗って過去に戻ったところで
もう一度同じような退屈な人生を過ごすことがわかっているの
だからナローケーキがお金をここまで産むのではないかしら?
あなたと出会えて
勝負出来て
俺は光栄です
あら嬉しいわね
私もよ
そして決戦当日の朝を迎えた。





