後編4
続いて俺のケーキが運ばれてきた。
会場の観客全員に俺のケーキが行き渡る。会場にはあからさまな嘲笑と溜息が波紋のように広がる。
タカコさんのナローケーキを食べるという目標を達成している者たちにとって、俺のナローケーキは余計な抱き合わせ商品でしかない。
そんな評価は俺にしてみればどうでもいい、まずは食べてもらわなくてはいけないのだ。ひと口でいいから食べてもらえる状況にたどり着けなくては何も始まらないのだ。
会場の観客たちはやれやれといった感じでほぼ一斉に俺のケーキを食べ始めた。
誰もが皆、頭の上に?を浮かべながら食べ進めている。手探りで不可解な味の解釈を見つけようとしている。いいぞ。
そして今!
そのインパクトは突然に訪れる!俺の仕掛けた波は砂の城をぺしゃんこにした!
誰かが大声で叫んだ!
「みんな食べるのやめろ!これは毒だ!」
その声をスタートガンにして会場はカオス。
そう、これは予定調和の地獄絵図。
そこいら中で俺のケーキを食べた者たちが苦しみ悶えている。
ゲロを吐くもの、血反吐を吐くもの、そして泡を吹く者。
中には顔を紫色にして白目をむく者。
中には目鼻口耳など全ての穴という穴から血を吹き出しながら笑っている者。
「どうです頭取、俺のケーキ、気に入ってもらえましたか?」
その地獄絵図の中、ステージの上の俺は目の前で倒れている特別審査員サマに問い掛ける。
「毒か、貴様ケーキに毒を…!」