表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/14

後編2

 



 銀行の頭取がステージ上の特別審査員席についた。

 司会者が改めて銀行とその銀行の頭取の紹介を始めると、観客席からブーイングの声が上がり多くの観客がそれを聞いて大笑いした。アンジェだろこれ。

 間抜けな司会のせいで上々の出来のプレゼンが台無しにされたにもかかわらず頭取笑顔である。


 司会はケーキ対決のルールを説明する。

 いたってシンプルな今さら説明するまでもないような、そんな事を大げさな身振り手振りを交えてシャウトし始めた。


 要はタカコさんのケーキと俺のケーキを会場の全員で食べ比べて、美味しいと思う方に1票入れる、そして得票の多い方が勝ちである。

 ちなみに特別審査員である大銀行のお頭取サマは1人で100票入れることが出来るそうだ。


 タカコさんがステージに呼ばれる。

 割れんばかりの拍手で迎えられるタカコさんは笑顔でそれに応えている。凛としたとても爽やかな立ち姿だった、姿勢が良過ぎるのは緊張しているからかな。

 次に俺がステージに呼ばれる。

 パラパラとした拍手、そしてアンジェのからかいのブーイング、そしてそれに対してウケている人たちの笑い声が聞こえた。少し緊張がほぐれたよ、グッジョブ、アンジェ。

 俺とタカコさんは握手をした。タカコさんは自信に満ち溢れたいい表情していた。対して俺はどんな顔をしていたのだろう、おそらくひきつった笑いを顔に貼り付けていたに違いない。

 というのもその時俺は、俺の心が、すべて目の前の彼女に、見透かされていると強く感じていたからだ。


 まず運ばれてきたのはタカコさんのケーキだ。

 会場のスクリーンに美しい二品盛りのプレートが写し出される。司会者に促されタカコさんがケーキの解説を始める。

 その説明の間に観客たちにケーキが配膳された。全員に行き渡ったところで一斉に食べ始めるのがルールだ。


 「本日ご用意したのは当店人気のケーキの最新作、悪役令嬢ケーキと異世界転生ケーキの二品盛りです。」


 会場から大歓声が上がる。

 同時に会場のナローケーキファンたちが、よく知った類のケーキが出てきたことに安堵しているのが肌で感じ取れた。

 会場に詰めかけた観客全員にケーキが行き渡った。タカコさんは言霊全開の美声で火ぶたを切った。


 「ではどうぞ!お召し上がりください!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ