常識がないんです。
異世界元勇者が住み着きました。
あっという間に朝アラームが鳴った。重たい身体を起こす脳は回らないが仕事がある溜めるなんてできない…寝室からリビングへ進み扉を
開けて
閉める
う?ん?
もう一回開けて
もう一回閉める
…
昔みた映画で「夢だけどー夢じゃなかったー」のセリフがあったなぁ。子供時代って良いよね。
夢で、あって欲しかった景色が見える
リビングの隅に置かれる鎧と武器と道具袋
リビングの座布団に死んだはずの友人が爆睡
リビングのテーブルに干し肉
見なかった事にしようと心に飲み込んで、頭の中を切り替えて出社の準備の為に扉を開ける。
「…ん、あ…。リョウタローおはようー」
「成仏しろ」
「あ…れ?挨拶に悪意が感じる」
「俺は仕事あるから邪魔すんなよ!変なことするな」
気の抜けた返事が帰ってきたのを確認して服を着替えてカバンを持ちアパートを出た。
不安な気持ちが一杯だったが仕事は進める。幸いにも仕事は少なめで定時であがれる量だった。いつもなら仲間と談話しながら出来る仕事だか口が開かない普段なら信じられない集中力で目は仕事に頭は友人の事
「に、西嶋さん大丈夫?顔色わるいわよ」
「大丈夫です。すみません。」
「本当に?少し休憩したら?」
「ありがとうございます。でも終わらせます。」
目を合わさずの会話は失礼だと感じながらも余裕がない。異質な奴が部屋に居ると思うと仕事が加速する。
「…!終わった!」
「マジか!まだ昼じゃん」
隣の同期が驚くが気にせず日報と早退届を提出し太陽の光に駆け出す。上司の声が聞こえたが足は止まらない。一瞬、打ち切りの漫画の1ページが浮かぶ…
「あ、お帰りー」
「異世界に帰れ…何もしてなかっよな?」
「何かだだ漏れの気が…」
「で、お前戸籍とかないんだよな?」
「戸籍って何?どっかの魔物」
「…。あ…じゃ服は?」
「これ1着♪」
「……金は?」
「ん、向こうのお金しか無いよ」
「…」
「ど、毒消し草と復活の水ならあるよ〜!!」
「要らねぇな…死ね」
「え〜魔族に必須のアイテムだよ」
「後…何があるんだ?何を持ってるんだ?」
「呪いのサークレット」
「何故もってんだ?」
「解呪すると高値だから…つい…」
「………。とりあえず服を着替えろ、貸すから」
「わ〜い!ありがとうー♪」
「なんか、お前色々学生ん時とかわらないな…?」
葵、奴の顔と身体は高校の時と変わらない若い姿
少し低いように感じるが自分が大きくなったのだと納得した。
「人生を繰り返したからね〜中身おじさんだよ〜えへ〜」
「笑い事か!?他は…えーと、何て言うんだ…?生前?生前と変わった事はないか?」
「僕ね〜後ね〜魔法がつかえるよグハァ!!」
あ、また奴を殴ってしまった。ストレスだろうか?
「何で殴るのぉ〜!」
「いや、ふざけた事を抜かすからつい」
「ふざけてないよ!本当だよ〜魔族相手は普通の攻撃はむりなんだよ〜こ〜やって〜」
''まて、何故構える"っと突っ込む前に圧迫と緊張感で体が止まる
「うりゃ〜」
力の無い掛け声と共に体が緩むが頬に何かがかすった…後ろの方でカラーボックスが倒れた音
目の前が真っ白になったが声帯を振り絞る
「こっ!こっ!」
「ね!出来たでしょう〜」
「こっの!どアホが!殺す気か!!」
「見ないとしんじない…でしょ?」
「あー、じゃあ…あの防具どうする?あの剣はいかにも銃刀法違反で所持してたらあぶないぞ」
「あれ、加護をうけててさ壊れないし〜隠しといて」
「思い切って実家にかえれば?」
「無理だよ〜病院であんなに壮大な別れを告げたのにぃ17年も会ってないのにぃ」
「…で、どうやって俺んとこに来れたんだ?個人情報だぞ?」
「え?リョウタローのおばさんに普通に聞いた。友達って言ったら教えてくれたよ?僕の顔は覚えてなかったみたいだからラッキ〜だったよ。」
「…母さんめ…」
「早く結婚しろって伝えといってだってさ、孫を見たいって〜」
「…知るか…。」
「なんかねぇ〜鎧きてたけど、なんだか目立たなかったの!警察の人に止められるかなぁと思ったけど、逆に写真撮られた〜」
「それって拡散されてないか?」
「格さん?水戸黄門がどうしたの?」
「えーと、SNSいいや…後、なんか隠して持ってないだろな?」
「う〜ん?隠してないけど戦闘後だったし…もってるの大体のつかっちゃったよぉ」
「異世界にかえれば?」
「帰れれば苦労しなぃよぉ〜!!でも、帰りたくなあぃ〜!」
拝啓神様仏様、何故この男を転生させたのですか?涙を返して下さい。