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プロローグ
色で例えるなら、灰色。
崩れた建物と風の音。誰もいない世界。その世界を灰色が全て包み込んでいる。
そんな灰色の滅んだ世界に真っ黒な色が混じる。
真っ黒な髪に、真っ黒な服。見た目は24歳くらいの少年が灰色の滅んだ世界を歩んでいた。
(本当に人間がいたのか?)
少年は足をとめ、辺りを見渡す。崩れたビルや建物、橋や線路は朽ち落ちている。あるのはゆっくりと吹く風の音と、自分が歩むときに地面を踏みしめる音だけ。
似たような景色が続く中、また歩み始める。
人間が生きていたという確証を得るために。