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第2話 「信託 1」

なかなか、書けなくて苦労してます……。(;_:)

 月日は流れ、俺はもうすぐ三歳だ。

 母さんも心なしか、その綺麗な顔に少し豊齢線が増えてきた気がする。

 時計の針がⅫを差すとき三歳になる。

 魔法についてだが、母さんによると、


 「レデンも、もうすぐ三歳だね~~。レデンはどんな魔法を使うのか。ママ、今から楽しみだわ~」


といっていたので、恐らく三歳になると魔法が使えるようになるか、または何かの儀式をすると使えるようになるか、二つに一つだ。

 まず、この約二年間で得たことを整理すると、この世界には俺たち《人間族》の他に、《獣人族》、《エルフ族》、《龍人族》の四種族で、構成されている。《精霊族》というのも存在しているらしいが、実在は確認されていない。それぞれの特徴をあげていくと。

 《獣人族》は、身体能力が高いが、魔法は使えず、文明レベルは低い。

 《エルフ族》は、身体能力は人間と同じくらいだが、魔法レベルが高い。また、文明レベルが高いのも特徴だ。

 《龍人族》は、身体能力と魔法レベル、ともに高く、四種族の中で一番の力を誇る。しかし、文明はなく数も少ないので、各々で自由に暮らすのが主流となっているようだ。最近は、全く姿を見せなくなったらしいが……。

 特徴を見る限り、《人間族》は、この世界の四種族の中では低い地位に位置していることがわかる。ただ、人数がほかの種族と比べて圧倒的に多いことが、ほかの種族と渡り合える唯一の手段となっているのが現状である。

 何はともあれ、時間はそろそろPM 9:00になるのでそろそろ寝るとしよう。明日は忙しくなりそうだからな。その前に両親に寝ることを伝えに行こう。父さん……は特訓中だからいいや。母さんが目の前にいるし。


 「ママぁ、おやすみぃ~」


 自分で言ってるのに、キモイのが実感できる。自分だけがキモさを知っているというのは、不思議な感覚だ。


 「はい、レデン。おやすみなさい」


過去の両親を知らずとも、その声が慈愛に満ち溢れていて、部屋の扉が閉まった後に一人で静かに涙を流した。

 

 ふと目が覚めた瞬間。そこは、何もない無と言っていいほどの空間だった。距離という概念は存在せず、途方もなく無が連なっているだけの空間。両親の慈愛に触れられていた時のことが夢のように感じる。そう、夢のように。


 (あれは、やっぱり夢だったのかな? そうだよな。俺に家族なんて……)


 今までのことを夢だと再認識してもう一度この空間を見渡すと、そこには一人の少女が突っ立っていた。その姿になぜか神々しさを感じてゆるりと足を進めた。


 「こんなところで、何をしてるの?」


 俺は少女に尋ねた。すると、


 「あなたを待っていたの」

 

 意外な返答が帰ってきた。続けて少女は語る。


 「あなたが産まれ落ちてからの三年間。ずっと待っていた」


 長く分かれていた待ち人に会ったかのように少女は語る。


 「あなたにお願いがあります。私にできればよかったのですが、私にはもう、どうすることもできません

 「ところで、君は何者?」

 

 ずっと気になっていた質問をしてみた。


 「神です」

 「あ、そう」


 まぁ、大体は予想していた。しかし、こうはっきり言われると面喰ってしまう。


 「ところで、あなたはこの世界についてどこまで情報を持っていますか?」

 「種族について、あとは魔法。大まかにはそのくらいかな」


 相手は神様なので、探りあいとかはなしにして、正直に話した。種族や魔法に関しての知っていることもすべて話した。

 話し終えた後、神様は、深くうなずき、


 「では、あなたの情報に補足をつけていきます」

  

 そう言って話し始めた。


 「まず、種族については、補足する点はほとんどありません。一つ補足するとすれば、《人間族》以外の 種族はみな、おおらかであるということです。しかし、《人間族》の度重なる戦争のせいで、日を追うご とに風当たりは厳しくなっています」

 「つまり、《人間族》は他種族に嫌われているということだな」

 「そのとおりです」


 今の話によると、家族を守るためには他種族と戦う必要もあるかもしれないということだ。また、情報を集めておかないとな。


 「話を戻します。魔法については、重要なことを補足しておきます。この世界には先ほど述べた属性の他 に、時、空間、そして、破壊」

 「破壊もあるのか!?」


 これに関しては驚いた。俺の世界では破壊を使えるのは俺以外はいなかった。破壊を使える人たちが、この世界には普通にいるのか。よくこの世界は無事だな。

 しかし、驚いている俺とは裏腹に、神様は首を横に振った。


 「いえ、先ほど述べた三つの属性は、どれもあなたしか使えない属性です。もう、あなたもこの世界の住人なんですから、既存している属性としてとらえてもいいでしょう?」


 神様は笑顔でそういった。その笑顔は、ずっとこんな空間に三年間いたとは思えないくらい、純粋な笑顔だった。

 神様はその笑顔をすぐに引っ込めて、咳払いを一つした。


 「今度こそ話を戻します。ここからは、あなたが得ていない情報ばかりなので心して聞いてください」


 神様はそういい、俺の顔を見つめてくる。いいですね? とでも言いだしそうな顔だったので、こちらも頷きを一つ返した。


 「まず、この世界には魔物が住んでいます。五百年前から急に出現したのですが、それについてはまた後で話します。その魔物ですが、かなり強力で、《人間族》は愚か下手をすれば《龍人族》ですら、負けてしまうかもしれません」


 《龍人族》が負けてしまうとは一体どれほど強力なのか、と考えていると顔に出ていたのか、神様は、あなたほどではありませんよ、と笑顔で答えた。

 俺が、話の続きを頼むと、もちろんです、といって話を再開した。


 「もちろん魔物の中でも強さはピンキリです。《人間族》が余裕で勝てるものもいれば、《龍人族》があっさり負けてしまうようなものもいる、ということです」

 「最初に言っていた、あなたに願いがあります。っていうこと関係がありそうだな」

 「全くとは言えませんが、直接は関係ありません。あなたに頼みたいことは別にあります」


 そう言い放つと、顔を伏せて神妙な面持ちで話始めた。


 「あなたは死ぬ前に、あの星を破壊しましたよね」

 「あぁ、俺は確かに破壊した」


 それは事実だ。生物の一匹もいなくなった世界は、俺が壊した。半分やけくそな部分もあったが、これでみんなが成仏できるといいな、と思ってやったことだ。


 「世界は本来一つの星でサイクルしています。それは、人の想いも同じ。魂と同じように、想いもサイクルしているんです。あの世界には、パンデミックによって、怨念が満ちていました。それをあなたは破壊した。その怨念は各星々へと放たれました。魂に関しては、他の星が受け入れることで落ち着きましたが、怨念だけは、そうはいかなかった。他の星は対処に終了したみたいですが、この星にはまだそれが残っています」

 「なるほど、それがあの魔物たちということか」

 「いえ、少し違います。確かにあの魔物たちは怨念が関係していますが、怨念そのものではないのです」

 

 神様の微妙な言い回しに少し混乱してきたので、詳しく聞いてみる。


 「それは、どういうことだ?」

 「あなたが星を破壊してから、もう二千年が立っているのです。怨念はサイクルしている。他の星はその昇華が終わったということです」


 昇華が終わった。つまりそれは、成仏したと言い換えても差し支えないだろう。では、なぜこの世界だけ昇華が終わらないのか。考えらえる可能性は一つ。


 「そうです。あなたが考えている通り。大きすぎる怨念はサイクルするのに時間がかかってしまう。生きとし生けるものたちが持たない感情であると、なおさら」


 それはそうだ。感情がサイクルすると考えた時、使われないものの回りが遅いのは全く持って道理だ。


 「その残っている感情はどんなのが残ってるんだ?」

 「それは、今ここでは言えません。世界への介入は最小限にとどめなければいけません」


 まぁ、ある程度予想はしてたけど、そういうことか。


 「でも、そうなると神様が俺に頼むようなことは別にないんじゃないか? 感情のサイクルなんて、時間はかかるかもしれないけれど、いつかは達成されるものだろ?」


 そう、俺に頼むことなんてないはずだ。または、それとは関係ないことなのだろうか?


 「関係ありますよ。それを今からお話しします」


 神様は急に目を細め、真剣な表情をした。俺じゃないとできないことだろう。でなければ、二千年も待ったりはしない。覚悟を決める。

 神様の口が静かに開く。


 思えばこの時から、運命の歯車は回り始めていたのだろう。


 いや、もっと前か。みんなが消えたあの日から、この物語は必然だったのかもしれない。


 まぁ、どんな選択をしたとしても、結局は同じ道だったのだろうが…………。

 




誤字、脱字。またアドバイス等あれば、報告お願いします_(._.)_

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