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出会い
階段を上りきり、自室のドアを開ける。朝よりも風が強くなったのか、大きく欠伸をした僕の前髪を揺らした。風でカーテンが踊るように翻り、裾が大きな弧を描く。それをカーテンの中からいきなり現れた手が掴み、左右に分けた。
「…………は?」
口から自然と言葉がこぼれ落ちる。自分は幻を見ているのではないかと思ってしまうほどに、目の前の光景はありえないものだった。
自分と同じ年くらいの男の子が、窓枠にヤンキー座りしている。
「邪魔な布だな。切るか。」
「いやいやいやいやいや、ちょ、何言ってんのお前!?つか誰だよ!?」
「ん?あぁ、失礼した。本当にこの部屋にも人が住んでいるんだな。」
「失礼なのは後の方だ!!僕の部屋はそんな放置されてるように見えるのか!!」
「…………2年程は。」
「よーしこっちに来い。ぶん殴ってやる。」
お前は誰だ、という質問を無視されたのに気づかず、窓枠から降りて部屋の中央あたりまできたそいつの頭を軽くげんこつする。殴ると宣言したはずなのに、そいつは困惑した様子で僕を凝視した。