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いつもどおりの朝
カァッと一つ、烏がないた。
カンカラカンと下駄少女。
跳んで回って踊りだす。
少女の高い笑い声は――。
そこで歌声は聞こえなくなり、曖昧だった意識は浮上していく。だが、脳は今のが何だったのかを考えることを諦めて、夢うつつに身を委ねようとしていた。僕は再び夢の中に沈みかけた意識を、半ば無理やり引き剥がす。そしてゆっくりと、だが確実に、僕は僕を取り戻し――――夢から覚めた。
薄く目を開くと、いつもと変わらない自室の天井が映った。窓が少し開いていて、涼しい風と共にカーテンが揺れ日が差し込む。眩しさに目を眩ませながらも起きあがり大きく伸びをしながら、ぼぅっと何の夢を見ていたか考えたが、思いだせない。首を捻りながらも、だんだん空腹を覚え、朝食を摂りに一階へ降りた。