温
はじめまして、今回小説を書かせていただきます。
よんでいて、気になる点誤字脱字などがありましたら、お手数ですがお知らせいただけると幸いです。
ママはアタシが小さいときに居なくなっちゃったんだって
だから、どんな声か分かんない。どうやって喋るのかも
どうやってアタシを抱きしめてたのかも
mother.
押入れをあけ、綺麗に積まれている段ボール箱をどかし、埃を手ではらい、一つ一つを確認する。
younaと書かれた段ボール箱を引きずり出した所でため息が出る、ふぅー…静まり返った部屋の中には私の息だけが聞こえる。ガムテープを剥がした跡だけが残っている、これを見つけたときは一筋の希望さえも思えた。だけど、それは気のせいに過ぎなかったのだけれども。段ボールを開け綺麗に整理された中身をひとつずつ丁寧に出す。アタシとママの唯一の繋がりだから、なんだか汚したらいけないようなそんな気持ちにとらわれていた。母子手帳やノートアルバム洋服…箱の大きさのわりには中身は驚くほど少ない、空間がありあまっている。ため息をまたもらすと、ノートを手に取りゆっくり開く、ママはアタシが驚くほどに情緒不安定な人だった。それもそのはず、18歳で私を生んだんだから、しかも一人で…6月21日アタシの誕生日、その日はいつもよりも沢山の言葉で書かれていた。
6月21日快晴
本日5時に無事我が子をうめました。幸せすぎて何もいえないけど、ただ単純にありがとうって伝えたい。みんなありがとう!うまれてすぐに、片親だけど…そんなの関係ないよね?私が守ってあげるから。絶対に誰にも何も言わせない。だから、安心して良いよ。ママは今この瞬間に親になれた事を感謝してるよ。ありがとう。
声に出して一部分を読む。ねぇ、ママ?アタシの言葉は届いてるのかな?
携帯が振動してアタシは、我に返る。時刻は19時をまわっていた。慌てて中身をすべて元に戻そうと思ったが、やめた。ママの残した日記だけ残しそれ以外を丁寧につめ、また元あった形に戻す。今日のご飯は何にしようかな。押入れをしめ和室から出て台所に向かう。パパは今日何時になるんだろう。
パパが帰ってきたのはそれからわりとすぐだった。もうすぐ50歳になるパパは他の50歳のおじさんよりも絶対カッコいいと思う、
「ただいま、今日は一日何してたの?」
パパはいつも帰ってくると同じ質問を私にする。私はご飯をよそいながら答える。
「今日は、いつもと同じなんだけど、学校行ってなっちゃんと話して帰ってきたんだよ。何にも無い一日でした」
最後の部分を強めていう。パパは少し微笑んでそっかとだけ言った。笑うと目の周りに沢山皺ができる。それがアタシは大好きだった。食卓にご飯を運び先に座ってテレビを見るパパをずっと眺めた。ママが残してくれたもの、アタシが孤独にならないように?だけど、血の繋がらない他人。パパはそんなアタシを一生懸命に愛してくれた。たまに、わからずや!と怒鳴りたくなるが不器用なりにきっと一生懸命だったんだろう。
「はい、ご飯にしよう。今日はね、しょうが焼きにしてみたんだよー」
「へー良いね。」
本当は色んな事を聞きたかったんだけど、パパはママについてあまり話してはくれない。子供ながらにふれちゃいけない気がしていつも踏みとどめていた。ママはどんなご飯を作っていたの?おいしかった?ねぇ、パパ